May
2003

八方尾根スキースクール教師【TOK】の個人的な日記です。興味のある人はどうぞご覧ください。(^I^)  
Ski Top   【TOK】への Mail
※ 映像をご覧になるとき。
当ホームページの映像がご覧になれない方は,下記の「Windows Media Player」をダウンロードしてご覧下さい。
  

 What's Today ?

What's Today ?

05/31 板を乗りこなす…
05/30 始めと終わり…
05/29 お気に入りの斜面
05/28 つぶやきの効果
05/27 老教師の願い…
05/26 勘違いも時に有効
05/25 素直に単純に
       スキーを楽しむ
05/24 指導現場へ向かう
          教師の心
05/23 検定合格の心
05/22 キャスターで
        感受性を磨く
05/21 場当たり的な
          キャスター
05/20 大げさかな ?!?!
05/19 センサーキャスター
05/18 長年の疑問に答え!
05/17 先人の研究努力
05/16 キャスター意識の
       角付けの切り替え
05/15 キャスター効果
05/14 キーキャスターと迎え角
05/12 息子に学ぶ…
05/11 タワミがもたらすもの
05/10 カミソリ周司さん
05/09 生きていた師匠の言葉
05/08 雪の遊び方…
05/07 新人教師の成長
05/06 シーハイル!
05/05 美しい滑り
05/04 検定の過程…
05/03 S字ターンとキャスター
05/02 オフのイメージ作り
05/01 腰の回る…の意味

*** これまでの日記***


* 2003年4月
* 2003年3月

* 2003年2月

* 2003年1月

* 2002年12月

* 2002年11月

* 2002年10月

* 2002年9月

* 2002年8月

* 2002年7月
* 2002年6月
* 2002年5月
* 2002年4月
* 2002年3月
* 2002年2月
* 2002年1月
* 2001年12月
* 2001年11月
* 2001年10月
* 2001年9月
* 2001年8月No.2
* 2001年8月No.1
* 2001年7月
2001年6月


*  以下 2001年

教師日記 5月

教師日記 4月
教師日記 3月
教師日記 2月
教師日記 1月

*  以下 2000年

教師日記 12月
教師日記 11月
教師日記 10月
教師日記 9月 #2
教師日記 9月 #1
教師日記 8月 #2
教師日記 8月 #1
教師日記 7月
教師日記 6月
教師日記 5月 


 * 以下 1998-2000

2000年4月 
2000年3月
2000年2月
2000年1月
1999年12月
1999年秋
1999年4月
1999年3月
1999年2月
1999年1月
1998年12月

 

 

 

 

 

 



May/31/2003 (土)  雨   
  「台風情報」によると,どうも台風4号は,昼頃白馬の付近を通過するみたいですね?! でも,「北アルプス」という大きな屏風がありますので,風の影響はそんなに受けないと思います。(^I^)
  雨の週末ですが,みなさんはいかがお過ごしですか?
     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbQ4。今日は「スキー板を乗りこなす…」ということについて…。
  昨日はスキー板で雪の表情を探りながら滑る…ということをお話ししましたが,今日はその「板の性能」について…。昨日の日記で,「板を通して雪の感じをつかむ…」と書きましたが,そのためにはスキー板は「センサー」として優れていることが必要です。もちろん,その板からの情報を,的確に感じ取り,受け止める身体の性能も大事ですが…。
  すると,センサーとしてのスキー板と,それを最終的に受け止めるスキーヤーの感性がマッチすること,これがいちばん重要になって来ます。良く「
スキー板を換えることで上手く滑れる…」とお考えの方が居られるのですが,これが間違いとは申しませんが,そうばかりではない…と思います。スキー板のセンサーとしてのポテンシャルの高さと,スキーヤーの技量がマッチしているかどうか?ということが大事なのです。スキー板を技術選で大活躍している選手と同じにしたからと言って,その人と同じような滑りができるわけではありません。センサーからの情報を的確に受け止め,それに身体が素直に反応し,的確な運動ができるようにために技術を学ぶのだと思います。そして,生徒さんが上達されて,スキー板の能力よりポテンシャルが高くなった時は,板そのものもよりパワーのある,感度の高いスキー板に変えることが必要になって来ます。
  でも,もしもスキー板のパワーが生徒さんの技量に比べてあり過ぎてセンサーとして使いこなせなければ,あたかも,ボールが厚い壁に跳ね飛ばされる様に,全く意味が無いばかりか,上達の妨げになって逆効果にさえなります。例えば,ギンギンのカービングのスキー板を使っているとします。中斜面や緩斜面の整地なら,技術がそのレベルまで行っていなくても,なんとなくある回転半径のカービングができて,楽しい!と思われるでしょう。ところが,このようなハイパワーの板で回転半径を変えたり,急斜面に行ったり,ザクザク雪を滑ったりすると,思い通りには行かなくなります。そこで無理やりターンをしようとして,身体をいろいろアアでもない,コウでもない…と使い始めることになります。これが実は「悪癖」の付き始めなのです。もしこれが長時間にわたり,クセになってしまうと,このこびり付いた垢を取るのが大変なことになってしまうのです。もし,もう少しパワーの少ない板を使えば,切れの感じとズレの感じなどのコントロール能力も付き,いろいろな情報の違いもしっかり感じ取ることができる様になるはずです。スキーヤーとしての感性の豊かさを磨くことができるのです。パワーのある板は,それだけ高いエネルギーを持っているだけに,鋭敏過ぎるほどの感度を持っています。もし,スキーヤーの感性が充分磨かれていれば,その情報の違いを即座に,そして敏感に感じ取り,滑りこなして行くことができます。
  つまり,スキーヤーとしての自分の能力とスキーのパワーがマッチすることが大事なのです。板がイイからうまくなった…というのは実は逆で,スキーヤーにある能力が付いたから,ハイパワーの板を乗りこなせるようになった…ということなのだと思います。「車」でも「馬」でも,「テニス」でも…“道具を使う”モノは,その道具を使いこなせる能力があってこそ,その道具が本当に活きる!ということなのです。
  “スキー”でよく言われる,「乗せられている」と「乗りこなしている」の違いもここにあるのだと思います。(^I^)



May/30/2003 (金)  晴れ (^I^)  
  今日もイイ天気の白馬です!(^I^) この時期,5月の下旬…山には残雪があり,里の草木には生命の勢いがあり,私の好きな季節です。
  昨日,機会があり北尾根から黒菱まで出掛けて来ました。(右の写真) 谷間にところどころ雪が残っていますが,ほとんど解けて草木が太陽の光線を求めて,勢い良く背伸びしているようでした。(^I^) この北尾根も今シーズン,深雪や新雪,悪雪でお世話になりました。私の好きなゲレンデのひとつです。…さて,昨日の日記を読まれた“S.F”さんから次のような E-mail を頂きました。ご紹介します…。
   『  …「みなさんのお気に入り」はどのスキー場のどの斜面でしょうか?(^I^) ということでしたので、私の意見です。私は八方尾根では名木山の中壁が大好きです。幅、長さ、斜度、これほどまで見事な1枚バーンは他のスキー場では見当たりません。特に雪が降った翌日に圧雪された中壁は、上から見ても、下から見ても最高です。1日中滑ってても飽きません。反対に嫌いなバーン(苦手なバーン)ですが、私の場合ウスバです。あの途中のクニックというか軽いウェーブというか、小回りをやってるとあそこでいつも体が遅れるような気がします。テク・クラや技術選でよく使えわれますけどね。。。(^^) 』
  “S.F”さんありがとうございます!。みなさんからご意見などを頂きますとホント嬉しいです!(^I^) そうですね!好きな斜面だけでなく,苦手な斜面もたしかにありますネ!。
     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbQ3です。今日は「始めと終わり…」ということについて…。
  一日のレッスンの始まり…いつもは,生徒さんとスキースクールで落ち合い,名木山第三トリプルリフトのゲート前で板を付けるところから始まります。スクールからゲートの前まで約100mあるのですが,ここはいつもスキーを履かずに歩くことにしています。それは,歩くことで少しでも足の関節を柔らかくしよう…という意図もありますが,本当はスキーブーツを通して,その日の雪の感触を確かめるためです。その後スキーを履き,スケーティングでゲートをくぐってリフト乗車口に向かうのですが,その時ことになります。ブーツと板では雪からの感覚が微妙に違っているのです。ブーツでは「雪の柔らかさや硬さ」みたいなものが,スキー板からは「雪の肌の滑らかさ」みたいなものが感じられます。そして,実際のターンの始まりは,名木山第三トリプルリフトを下り,リーゼンクワッドの乗り場に向かうか,もしくは八方第一リフト線下をくぐって名木山ゲレンデの頭に向かって滑り出すか,のどちらかになります。その時に,その日の「身体とスキーと雪の一体感もしくはマッチング」の感触が掴めます。自分の身体の調子,みたいなものが解るのです。(^I^) この時,全身で雪からのメッセージを聞くようにしています。一日のうちでいちばん緊張し,全身のセンサーの感度を最高に上げている時です。ほとんど毎日,このパターンで私の“スキー”が始まるのですが,最も至福の時,と言っていいかもしれません。「今日も雪の上に立てた。雪や自然のの力を借りることで,心地良い風を感じることもできるし,五感全部で自分が生きていることも実感できる。素晴らしい環境の中に今日も居るんだ!」という想いがするのです。
  …そして,一日の終わり…。生徒さんとお別れの挨拶をし,名木山のゲレンデ下部からスクールの建物に向かいます。いつも決まったように直滑降で向かう数秒の間ですが,この時,雪の表情を観ている自分が居るのに気付きます。「今日も一日無事に終わりました…。この私が,今スゥーッと滑っている雪,足の裏を通り過ぎて行っている雪…この雪が今日も一日,私を楽しませてくれました。大きな舞台をありがとう…」そんな思いに浸りながらの直滑降です。 そしてスクールにたどり着きます。ビンディングをはずして,雪を払い,今度はスキー板への挨拶です。「素晴らしい快感,大自然の情報を私に伝えてくれたあなたは,今日の喜びの立役者だった。キミのおかげで自分の身体が生きていることを実感できた。ありがとう…」。そうスキー板に語りかけながら,時にはチュッと軽くキスをすることもあります。ホント…。(^I^)
  スキー教師生活が長いせいでしょうか…「雪」とか「板」とか「自分の身体」に対して「サンキュー!」と言いたい気持ちが強くなりました。特に一日の始まりと終わりにそれを感じます。人が何かを“感じる”ためには,その感じる相手が要るのですが,“スキー”ではそれが「雪と板」なのですね!(^I^)



May/29/2003 (木)  晴れ (^I^)  
  今日は朝から結構強い陽射しが差し込んでいました。気温が上がって30度近くに…という予報が出ていますが,今私の居る部屋には適度に風が入り込んで来て,気持ちイイ朝を楽しんでいます。(^I^)

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbQ2です。今日は「好きな斜面でうまくなる…」ということについて…。
  おかげさまで「八方尾根」はゲレンデの多様性という点で,日本では群を抜いています。標高1900m,ゲレンデ最高部の第一ケルンから750mの名木山まで,標高差で千百メートルあります。気温差だけで約7度違いますし,さらに風があればもっと気温差は大きくなります。雪質が全く違うのも当然で,それに加えて地形の多様さもありますから,本当にいろいろな条件の場所を滑ることができます。八方尾根でスキー教師をしていられることの幸せを感じます。
  そういう恵まれた環境の中で,今年もレッスンでいろいろな場所を滑りました。私の好きな場所で,レッスンに多用する所があります。天候に左右されず,いろいろな斜度に恵まれている「白樺ゲレンデ」が最も多く,続いて滑りやすい「パノラマコース」,いろいろな条件で滑れる「スカイライン」…の順でしょうか…。
  今年はこれに加えて,パノラマから咲花,国際に至る急斜面,通称「タテッコ」での滑走が,かなり多くありました。このコースは,はじめにかなりの急斜面が約300mあり,その急斜面が終わると緩斜面が約1キロ続きます。急斜面でしっかりコントロールすることを習ってからの緩斜面ですから,結構気持ちの上でも楽で,スピードに乗ったターンが楽しめます。コース全体はきれいに圧雪されていますので,基礎的な練習をするにはもってこいです。また朝早くなどは,新雪や深雪も楽しめます。
  ところで,生徒さんと滑っていると面白いことに気付きます。それは,あるゲレンデのある場所にお連れすると,決まってイイ滑りをされる場所がある!…ということです。もちろん生徒さんそれぞれ技術的な習熟度のちがいがありますので,同じように滑れる…ということではなく,その生徒さんなりにそれまでの滑りと違う滑りをされるのです。その場所は白樺第一リフトの乗り場前の斜面です。ほんの50mほどの短い斜面なのですが,この場所に来るとたいがいの生徒さんは落ち着いたイイ滑りをされるのです。多分,斜面が比較的短いので安心感があったり,ゲレンデ最下部でその後が無いのでもうリフトに乗れるという安堵感があったりするからだと思いますが,不思議なことです。かく言う私自身,この場所が好きで自分の調整にも良く使います。(^I^)
  この外にも皆さんなりに「お気に入りの斜面」があると思いますが,こういう場所で基本的なことを身に付け,それがひと通りできたらいろいろな斜面に出掛けて試してみるとイイと思います。ものごとの上達には「自信」が欠かせません。良くコブがうまくなりたい!といって,コブの斜面ばかり滑っておられる方を見かけますが,うまくいかず自信を無くしてだんだん暗くなる人が多いようです。野球でも打撃練習の初めには簡単な「トスバッティング」から「フリーバッティング」に移行します。テニスでも「つなぎのボレー」そして「基本ストローク」という風に順序だててよりハードルの高い練習へと進みます。スキーも同じで,「上達する」ということを目的とされるなら,先ず自信を持って滑れるお気に入りの斜面で基本的な練習をし,その後,武者修行に出掛けるのが良いと思います。(^I^) これはスランプ脱出の時などにも有効です。

  「みなさんのお気に入り」はどのスキー場のどの斜面でしょうか?(^I^)



May/28/2003 (水)  晴れ (^I^)  
  今日は山には少し雲がかかっていますが,晴れの白馬です。クッキリとした雲が天空の約半分を,ところどころ覆っていますが,気持ちの良い天気です。(^I^) 
  昨日葉,久しぶりにマウンテンバイクで村の道を走って来ました。普段はジョギングをしている場所ですが,少し速いせいでしょうか,後方に流れていく風景が違った感じで見えました。また,ジョギングの時とは違った風が身体に感じられ,気持ち良く走れました。(^I^)

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbQ1です。今日の話しは「つぶやきの効用」について…。
  私のレッスンを受講された方はご存知のことですが,わたしはレッスンで声を出しながら滑っています。そして,生徒さんにも極力声を出したり,つぶやいたりして滑るよう,お勧めしています。これはどうしてか?というと,身体の緊張を解きほぐし,滑らかな運動をするためです。つぶやいたり,声を出している時は口から息が出て「呼気」をしているのですが,呼気をすれば肺に空気が足りなくなりますから自然に空気を吸うことになって「吸気」がおこります。つまり「呼吸」をすることになります。ですからつぶやきの方法は「呼吸法」と呼んでもいいと思います。
  「呼吸」をしている時,身体の筋肉はある弛緩状態にあります。ところが歯を食いしばったり,ギュッと力を入れたりする時は呼吸が止まり,筋肉が固まります。つまり,滑らかな筋の運動が一時ストップしてしまうのです。皆さんもご経験があると思いますが,スキーでも,小回りの時など,ターンの後半,次のターンに入ろうとして角付けを強くし,雪の抵抗を瞬間的に求めたりすると,このような状況に陥ってしまいます。瞬間的な角付けをされる方に良く見られる運動ですが,身体が一時,硬直してしまうのです。これを連続していたら,長い距離を小回りで滑り続けることなど,できるはずがありません。歯を食いしばって筋を緊張状態に置くと,滑らかな筋運動が行われないばかりか,疲労の原因にさえなってしまいます。
  ですから,スキーの運動を滑らかに行おうとしたら,息を吐きながら行なえばうまくできます。特に指導員や準指導員の受験などで,プルークボーゲンやシュテムターンを演技する時は,この「つぶやきの方法」が効果的です。例えばシュテムターンの演技の時は♪♪♪シュテェーームタァァーン…シュテェーームタァァーン…♪♪♪とつぶやいて行なうのです。モチロン検定員に聞こえても構いません。むしろ聞こえた方が検定員に「ハハーあの受験生はシュテムターンをして来てるんだな?!」ということを知らせることになり,評価が高くなる…ナンテことはありえませんが…(^I^) そんな効果は無いにしても,身体の動きがスムーズに滑らかになることだけは確かです。ぜひお試し下さい。
  そして,スキーは大自然に囲まれて行なうスポーツです。つぶやきをし,呼吸をすることで身体の中に新鮮な空気が入り込んできます。肌で雪を感じ,風を感じ,精神的にリラックスできるだけでなく,身体の中も健康になります。
  ホント,“スキー”っていいスポーツですネ!(^I^)

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  ♪♪♪シュテェーームタァァーン …♪♪♪ は音声にリンクしています。
 お聞きになれないときは
   でPlayerをインストールしてお聞き下さい。



May/27/2003 (火)  曇り  
  今日は文句なしの「曇り」です。 でも,今日は夜の仕事が オ・ヤ・ス・ミ の日なので,どことなくリラックスしています。ある人に言わせると,【TOK】は毎日が日曜日みたい…ということらしいですが…。(^o^)

  ところで,昨日の「スクリュードライバー・ターン」の勘違い…数人の方から勘違いしてた…との E-mail を頂きました。教師として恥ずかしい限りでゴザイマス…(=_=;)
     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbQ0です。今日の話しは「カービング神話にかげり…」です。
  こういうことをテーマにすると,またアンチカービングビングの【TOK】が要らぬことを!という人が居るかもしれません。でも敢えて言いたいのです。私も「切れの快感」や「ハイスピードの快感」は好きです。“スキー”の持つ魅力の大きな部分を占めていることも認めます。でも,やはり「スキーはカービングだけではない!」と言わざるを得ないのです。
  この日記に何度も書いて来ましたが,大自然の斜面は,カービング技術だけで滑り切れるほど単純ではないし,楽しみ味わいつくせるものではありません。何度も言うように,ズレがあったり,ヒネリがあったり,ローテーションがあったり…いろいろな技術を使えてこそ,自然と一体となって雪との会話を楽しめ,スキーの面白さを実感できるのです。
  幸い,今年の検定では「カービング要素」という“要素”の部分が強調され,なんでもかんでもレールターンのような滑りをしよう…というような人の技術評価は低いレベルとして認知するようになりました。これまで,カービング,カービング,カービング…で,カービングでなければスキーヤーにあらず!的な言われ方をして来ましたが,この見方に疑問を持つ検定員や教師が増えて来たということです。
  深雪やコブ,春のザクザク雪では,カービングで滑ろうとするとかえって滑れなくなります。…というのは,これまで「カービング」と言えば,「スキーのトップからターン方向に切り込んで行く滑り方」とか「軸を倒した角付け重視での滑り方」,あるいは「できるだけスキーを遠くに離す滑り方」…というように言われていました。でも,これはある一部のスキー板にしか通用しない滑り方であって,トーションが弱かったり,オールラウンド向きに作られた一般的なスキー板を使った時の合理的なスキー操作とは矛盾している滑り方だと思います。カービングターンをするには「スキーのタワミ」は絶対必要条件なのですが,これを角付けだけに頼ってスキーをたわませようとするから,腰の下からスキーが離れ過ぎたり,過度の角付けから逃れられなくなったりしてしまうのです。またスキートップで抵抗を受け過ぎてその反発力に耐え切れず,圧迫骨折などの重大事故を起こしてしまうことになってしまうのです。角付けだけに頼らず,最小限の角付けと雪面移動によって「タワミ」を作るような意識を持てば,腰の下からスキーを離し過ぎなくて済むし,軸が寝ていない分,基底面の広いバランスの取れたスキーができるようになるのです。(^I^)
  多くのスキーヤーは,ズレがあってもイイんだ! ズレに乗って行けば自然にコントロールのしやすい切れのある滑りになるんだ!(^I^) …ということが,スキーヤーの心をどれだけギンギンカービングをしている時の閉塞感や緊張感から開放し,“スキー”の持つ本来の“楽しみ”につなげてくれるか?ということを感じ始めて来ていると思います。現場の多くのスキー教師も「カービング一辺倒の矛盾」に気付いていますし,実際の指導もそのことを念頭に置いてレッスンをしています。
  願わくば,日本のスキー界をリードするS○Jは,そのことに気付き,教程の改定を含め,特に検定については,その種目や方法を考え直して欲しいと思います。
  スキーを愛する一老教師【TOK】から,切なるお願いでした…(^I^)




May/26/2003 (月)  曇り  
  ここのところ,気温は毎日15〜16℃で,春ですがどこかピリッとした感じが…。(^I^)
  皆さんの週末はいかがでしたか? そういえばもう6月の声が…。

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP9です。今日の話しは「イメージアプ能力や感性を豊かに!」
  スキーを指導させていただいていて思うことがあります。教師としての自分の伝えたいことが正しく伝わっているんだろうか?ということです。高額なお金を頂いていながら,もし正しく伝わっていなかったら…???と思うと恐ろしくなる時があります。ですから,言葉を変え,イメージをいろいろな表現で表しながら自分が伝えたいことを理解していただこうと努めています。その努力は努力として,教師としては当然のことですが,最近「もし,正しく伝わらなくてもそれはそれで別の効果があるのかもしれない…」と思うようになりました。
  今シーズン初めに多用した「スクリュードライバー・ターン」の話しをさせていただいていた時のことです。ドライバーを回すには回すのだが,どの方向に回すのか?ということで大きな勘違いを生んだことがあります。かかとの内側にドライバーのグリップはあるのですが,そのドライバーの先がどの方向を向いているか?ということの理解が違えばスキーの旋回運動にもなり,角付け意識にもなるのです。私がお伝えしたかったのは,上の図のように,かかとにドライバーのグリップがあり,そのドライバーの先は親指の方向にあるイメージでした。つまり,このドライバーをねじると,スキーのインサイドエッジ軸に沿った回転が起こる…というイメージ,だったのです。このイメージでターンすると,かかとが支点となって必要以上に角が立たなくなるのと,圧を減らすことなく角付けを強くしていくことができる…という利点が生かされるのです。ところが,ある生徒さんは,グリップの位置はかかとで良かったのですが,その先端が雪面の中方向,つまり下の図のように縦軸方向にドライバーをイメージしてしまったのです。このイメージの滑りでは角付けのコントロールではなく,かかとを中心とした旋回運動になってしまいます。
  ところが,この勘違いが結局彼のこれまでの小回りのイメージを変えることになったのです。彼はどうしても小回りで「ネジレ-戻り」の力を使えないでいました。その理由はターン後半に上半身も回り込んでしまっていたからです。ところが下の図のスクリュードライバー意識をする様になって上半身と下半身のネジレ状態がうまく作れるようになったのです。かかと中心にスキーのトップをターン内側にひねり込もうとすることで,上半身がその反作用で逆向きにひねられたからです。とにもかくにも,「上半身と下半身のネジレ状態」ということを彼は体験したのでした。そして,この経験を経て,仕舞いにはスキーをひねらなくても雪の力でひねられてネジレができる…ということも理解されました。「ねじられる」ということの意味を,ある勘違いイメージで彼は会得したのでした。
  ある教師のひと言で,滑りがガラッと変わる…ということが良く聞かれます。その生徒さんに,あるイメージが沸き,今まで意識できなかったことが意識できるようになったからです。ですから私たちスキー教師はいろいろなイメージを話し,語れる能力が必要になります。そして生徒さんは,ある言葉からいろいろイメージを膨らませる資質があればあるほど経験の引き出しを豊かにすることができ,スキーの上達も早い…ということが言えます。
  いろいろなことを思いながら滑る…。時には雪の状態を推し量りながら,またある時は自分の身体のセンサーを研ぎ澄ませながら…。そしてそれらがいろいろなマッチングをすることで新しい自然とのコミュニケーションが生まれる…。自分自身の感性が優れていればいるほど“スキー”の楽しみ方は広く,そして深くなる…。そんなことを思った【TOK】でした。(^I^)



May/25/2003 ()  曇り  
  今朝の気温は16℃で,天候は曇り…。穏やかな白馬の里…といった感じです。皆さんもユッタリした日曜日,楽しんでますか?

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP8です。今日のテーマは「気持ちの持ち様…」ということについて…。
  今シーズンのレッスンでチョッと気づいたことがあります。それは皆さんの多くが,「どんな斜面でも圧雪整地の時のように気持ちよく滑りたい!」というお気持ちを持っている…ということです。また「右ターンも左ターンも同じ感覚で滑りたい!」…と仰るのです。そして,その願望がかなり高い…ということです。コブの斜面や悪雪でも,急斜面でも,ザクザクの春の雪でも…とにかく整地の時と同じ様に,ピッタリとした雪面とのコンタクト感があり,カービング的に滑りたいし,左ターンだけがうまくいって,右ターンがダメ!…というのは「気にクワナイ!」と言うのです。
  でも,良く考えて欲しいのです。人間の身体は「左右非対称」に出来ています。実はこれには深い訳があり,ものの本によると,それは宇宙の起源にまでさかのぼり,
非対称性の構造は,人体・生物,分子の左手系・右手系,反物質の不思議な世界,素粒子と宇宙…にいたるまで影響を及ぼしている,ということらしいです。細胞の非対称分裂が無ければ人間という生物の存在も無かった…。詳しいことは調べていただくとして,ともかく人間という生き物は「左右非対称」だから今が在るのだということです。そのように右の特性と左の特性が違うのだから,スキーで左右のターンが同じようにできたら,逆にオカシイ!ということなのです。左右のターンに違和感があって当然だし,むしろそうでないと人間的で無い!ということです。
  また,どういった斜面でも同じ満足感を!…というのも欲張り過ぎです。世の中にはいろいろな人間が居て,それぞれ違っているから付き合っていて面白い!のです。皆がみな同じ性格をしていて同じ考え方だったら,つまらないと思いませんか?それぞれ偏屈だったり,気が良かったり,短気だったり,こだわりがあったりするから面白いのです。雪の世界も同じで,粉雪もあれば悪雪もある。整地もあればコブもある。アイスバーンもあればザクザク雪も…。それぞれ違った特性を持っていて,その違いをそれぞれに味わえるから面白いのです。全部が全部同じフィーリングだったら逆に面白くない…。そう考えれば,違った雪質ではその違っている所を,緩斜面なら緩斜面を,コブではコブを,その特質を特質として楽しめなくては,楽しみ方がお粗末!ということです。(^I^)
  ですから,もし左右同じように,あるいはどんな斜面でも同じように…ということにあんまりこだわり過ぎると,逆にそれができないことにフラストレーションを感じてしまいます。本来楽しみのため,気持ち良くなってナチュラルキラー細胞や活性酸素を減らし,精神的にも肉体的にも健康になるために行なうスキーが,逆効果になりかねません。むしろ「自分の身体は悪雪を悪雪として良く感じ取ることができた!」とか「小回りは左ターンが良かった!。大回り系は右ターンが!」という風に,良くできたことに主眼を置いてスキーをすることが大切だと思います。
  まさに「気の持ち様」でその人のスキーライフが大きく左右されてしまうのです。素直に,そうもっともっと素直になって単純に“スキー”を楽しむ…これが大切ですネ!(^I^)



May/24/2003 ()  晴れ  
  今朝も気持ちの良い晴れの白馬です。 今朝はその気候に惑わされ,ゆっくりしたスローペースで物事が進んでいます。気負わず,ユッタリゆっくり,もなかなかイイもんですね!(^I^)
  さて,昨日の日記の主人公お二人“M”さんと“K”さんに,「合格おめでとう!」の言葉を忘れてしまいました! ゴメンなさい! 「本当に合格おめでとうございます!。合格を誇りに,自信を胸に,さらにスキーを楽しんでください!」

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP7です。今日のテーマは「生徒さんに合った指導の言葉」…ということについて…。
  今シーズンも本当に多くの方々からレッスンの申込を頂き,指導を担当させていただきました。今シーズンのプライベートレッスンをまとめてみたら,80日を越えていました。その方々全員の方に「良かった!」と思っていただけたかどうか不安でもありますが,自分としては精一杯努めさせていただいたと,思っております。本当にありがとうございました!。(^I^)
  受講していただいた皆さんは,それぞれ個性をお持ちです。これまでのスキーの履歴も異なっておられます。スキーの技術的なことの認知度も違います。この方々とご一緒に,どうやったらもっと楽に,そしてもっと気持ちよく滑れるようになるんだろう?というようなことを考えながらレッスンをさせていただいています。それぞれ異なった“スキー環境”におられる皆さんにいちばん解りやすいのは,「スキー技術の解説を,皆さんが日常生活で良く経験する事柄に置き換えてお話しする…」ということだと思っています。
  そういう訳で,私のレッスンは「オレンジ」だとか「キャスター」が良く登場します。そのオレンジやキャスターもいつも同じ使い方…というわけではありません。その生徒さんのこれまでの経験に即した形でアレンジしています。技術レベルが上がれば,同じオレンジターンでも,その使い方やイメージアプの仕方は変わって来ます。良く,「先生,前はコレコレこーだ…と言っていたのに,今度はソレソレそーだ…という風に変わっちゃうんですか?」というご質問を受けるのですが,多くの斜面状況に対応できるように,いろいろな滑走感覚を身に付けていただくためには,こういうことが起こるのです。むしろ,いろいろなイメージの滑り方が教師の口から出るようになったら,ご自分のレベルは上がっているのかも知れない…と思っていいと思います。ワンパターンでない,いろいろな滑りができてこそ,千差万別な自然の山を,心ゆくまで楽しめるのですから…。
  私たちスキー教師も,生徒さんのこれまでのいろいろなご経験やご知識を,リフトの上での会話などを通して推し量るようにしています。それらの会話の中から,この生徒さんにはこの言葉で,あの生徒さんはあの言葉で…という組み立てを行うのです。レッスンでいろいろな言葉が思い付く…というのはスキー教師にこのような気持ちがあればこそ,だと思っています。
  お一人お一人に合った言葉…それが見つかった時のスキー教師の喜びはひとしおです! この喜びを求め,【TOK】は今日も指導の現場へと向かうのでありました…(^I^)





May/23/2003 ()  晴れ  
  今朝も気持ちの良い白馬です。 さて,気が付いてみるともう週末です。白馬は梅雨に入る前の今の時期がいちばん植物に勢いがあります。白馬に限らず日本全国,今の時期は緑がきれいでしょう。この週末,ぜひその緑の中を歩いてみませんか?(^I^)

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP6。レッスンを通じて感じたことをお話したいと思います。(^I^)
  おかげさまで,今シーズンも多くの方のレッスンを担当させていただきました。私がこのホームページで話していることを実際に試し,技術向上したい…という方が約50%で,1級やテクニカル・クラウンの受験に関係する方のレッスンが約50%でした。検定に関するレッスンを受けられた方がみんな合格!というわけにはいきませんでしたが,それらの検定を通して,“スキー”の本質を学んでいただいたと思っております。
  その中で,お二人の方の合格が私の思いの中に強く残っております。
           ☆★☆
  お一人は1級を合格された“M”さんです。彼とのお付き合いは,もう4年になるでしょうか?その間何度かレッスンを担当させていただきました。普段のレッスンでは,もうテクニカルも受かるのではないか?!というほどの滑りをされる方なのですが,「検定」という場所に立つと人が変わったようにガチガチの滑りになってしまうのです。もう2年も前に合格されても不思議は無い人なのですが,その方がついに合格されました。(^I^) その方からの E-mail …」一部をご紹介しましょう。
   『  … 検定受験を振り返って、なぜ、今回合格できたのかを考えてみると、その第一番目の理由には、検定が最も緊張感無く受験が出来たことが、あげられると思います。 では、なぜ、緊張せずに受験できたかを考えてみると、今シーズンほとんど一人で滑っている中で、今まで以上に、スキーの楽しさや、操作に対する安心感を自分の中で膨らますことに重点を置き、そこに充実感を感じながら滑れたことで、1級合格に対する熱意が少し落ち着たことが要素として挙げられると思います。 二つ目は、自分が好きと思える雪質を選んで受けたこと…そして、技術的には、シーズン初めに教えていただいた、「外スキー運び方」と、「面で踏む意識」、(多分これが、今シーズンのニューキーワードとなったキャスターに発展したのではないかと考えているのですが…)それから“F”先生にしつこいくらい言われた「板から腰を離さない(付いていく)」…この3つが今シーズンの私の上達のキーワードであったと思っています。これらの意識して滑ることで、自分自身でより安定感が増したことが自覚できました。以上が、私が考えた1級合格の理由です。「楽しくすべることが出来る技術の獲得」が合格のキーワードのようです。…』
           ☆★☆
  もうおひと方はテクニカルを合格された“K”さんです。この方とのお付き合いも4年越しになるでしょうか…。
  大変器用な方で,エッジの使い方は天下一品!というほどの人です。初めてお会いした時は,パッパッ…と角付けの切り替えを瞬時に行なう滑りが特徴的で,大回り系よりも小回り系がお得意のようでした。急激な加重・抜重的な要素が強い分,じっくりと抵抗を捕らえ続けたり,ゆっくり開放したり…ということが不得意でしたが,オレンジターンやパワートライアングルの練習で,メキメキ大回り系の滑りをモノにされて来ました。ところが,小回り系はどうしても以前からの「チェック的な要素の強い滑り」が顔を出してしまうのです。これが悪いわけではありませんが,テクニカルレベルですと「S字」的な要素の,円弧を円く描く滑りがおできにならないと合格点は無理です。器用な方ですから私の言うところの円い円弧の小回りもできることはできるのですが,それでは回転半径が大きくなり,ユッタリとしたリズムになってしまう…というご自分なりの判断が強く反映し,そういう滑りをすることに,しっくりせず,納得できない…というお気持ちがありました。
  テストの当日を迎え,種目ごと検定が進みました。始めは大回りのテストから始まったのですが,その種目で75ポイントに1ポイント足りない得点を出してしまいました。さて,その後,彼の心境はどのように変わったのでしょうか? 彼からの E-mail を…。(^I^)
   『 …(あの検定での小回りが)…
もう一度同じことをしろと言われてもできるとは思えません。検定での滑りの中で小回り以外はある程度意図してやっていることなので、足裏感とかスピード感が残っています。その点では良くも悪くも普段の滑りの中の一つだったように思います。でも小回りに関してだけは覚えていないというのが正直なところです。大回りで合格点が出ていたら、いつもの感覚を優先させた小回りで望むつもりでした。でもそうではなかったので、前日の夕方名木山で3本だけやってみた、(スクリュードライバーの)ネジ回しでいくことにしました。身についていないことですからネジを回すことしか考えていませんでしたしその時の感覚がどのようなものかを感じる余裕は到底ありません。その点では本当に練習の一本だったのです。結果的にはそれがよかったのでしょうが、それにしても出来すぎた結果なので未だに不思議でなりません。… 』
  検定の前日,彼と小回りでの
「スクリュードライバー・ターン」意識の練習をしました。急激な圧変化を極力避け,滑らかな円弧を描くための練習でした。この滑りを彼が実際のテストで演技できるかどうかは解りませんでしたが,このような滑りもあることをお話ししました。大回りで合格点が出なかった彼は,このスクリュードライバー意識の小回りをやったのでした。その結果,ナント!彼の整地小回りでの得点は「77ポイント」だったのです!
  彼がテクニカルに合格したのはいうまでもありません。(^I^)
           ☆★☆

  検定…いろいろな思いを持ちながら多くの方が受験されます。お一人お一人にそれぞれストーリーがあります。皆さんのストーリーもぜひ伺ってみたい…。そんなことを思っている【TOK】です。(^I^) よろしかったら E-mail で,ぜひ!




May/22/2003 ()  快晴 (^I^) 
  今朝は快晴の白馬です。春の空ですから,冬のようにクッキリ!…というわけにはいきませんが,この季節はこの季節なりの雰囲気が漂っています。(^I^) チョッと八方尾根…登ってみたくなりました。(^I^)

     *****
  さて,今日も「2003シーズンを振り返って…」でそのbP5。続きシリーズ…シーズン初めの目標「高い姿勢で滑る…」がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの最終回です。(^I^)
  これまで30数年,スキー教師を努めさせていただきました。その間いろいろな教え方をさせていただきましたが,手前ミソ的な表現を許してもらえば,今年の「キャスター・ターン」はその集大成だ…という気がしています。まだまだいたらないところはありますが,“「身体の特徴・用具の特性・自然条件」を生かす”という意味で,これをクリアする「ひとつの方法」と言えると思います。
  指導の現場に立たせていただいている「高齢のわたし自身」が,急斜面でも思い切って突っ込んで行けるし,コブでもそれなりの滑りができます。それは「自分自身の身体を信じて,スキーと雪に“身を任せる”」ということが原点にあるからです。先ず,スキーが最もその性能を発揮できる場所に乗ります。そして,自分はこの方向に行ってみたい…というシグナル,つまり「合図」を送るのです。スキーはその方向に移動を始め,雪の抵抗をもらってスキーの性能に合った方向にターンを開始します。そのターンに身体が自然に反応し対応姿勢を取ってくれます。もし行き先を少し変えたければ,その変えたいという合図をスキーに送ってやればいいのです。これは馬に乗って原野を駆け回っている時の感覚と似ています。「スキー」が「馬」に相当し,「スキーヤー」が「騎手」です。「馬に手綱とかかとで合図を送る」のが「キーキャスターに乗って進行方向を決める」ことになります。もし馬が自分の行きたい方向と違っていたら,再度手綱でシグナルを送ることになります。スキーでは迎え角の方向を変えたり,センサーキャスターの位置を変えたりすることがこれに相当します。要は「馬やスキーに乗り手が合図を送ること」が大切なのです。その合図に沿った答えを,原野の状況や,雪の斜面に合った形で,馬やスキーが出してくれるのです。決して馬のお尻を横に動かしたり,頭を行きたい方向に向けるのではありません。馬が行動を起こしやすいように「的確な合図を送る」ことが,馬と騎手のコミュニケーションを良くし,マッチングのとれた動きを生むのです。このことを,馬では「手綱さばき」といいますが,スキーではさしずめ「キャスターさばき」とでも言ったらいいのでしょうか?(^I^)
  「合図を送る」ということと「スキー操作する」ということを混同してしまう人が居ますが,これは全く違うことです。「合図を送る」というのは「意志を伝える」ことであって,力を掛けたり,力を入れたりすることではありません。自分がああしたい,こうしたい…という願望をスキーに伝え,それにスキーがどう反応してくれるか?ということを感じ取る作業なのです。「…を送る」という言葉から,向こう向きにナニかを伝えるという風に捕らえがちですが,そうではなく,レーダーで電波を送るようなものです。レーダーは電波を送るには送りますが,その電波がどういう状況の情報を送り返してくれるか?ということが目的なのです。キーキャスターで斜面を移動して行くのはセンサーキャスターで情報を得るため,と言っていいのかもしれません。
  こうみてくると,「高い姿勢で滑る」ということと「キャスター意識の滑り」とは,やはりおおきな関連があります。キャスター意識で滑ると適度に高い姿勢になりますし,雪の斜面を位置エネルギーを使って滑る,という感覚になります。「高い姿勢」はもともと「疲れの少ない滑り」ですから関節の曲げが少ない滑り,つまり運動量の少ない“重心”の高い滑り,ということです。そして,この両者に共通している大きなことがあります。それは「感じ取る滑り」だということです。
  「高い姿勢で滑る…」このことをシーズンインの目標として掲げた【TOK】でしたが,このことを追求しているうちに「キャスター・ターン」に行き着きました。このターンの特徴は,大げさに言えば“人間の感受性の豊かさ”を味わえる滑り方…そう言えると思います。スキーが上手いとか未熟だとかに関わらず,どのレベルでもその人の感受性に応じた雪とのコミュニケーションが図れるのです。どのレベルだろうと,等しく雪の自然と戯れることができるのです。
  だから…スキーは楽しい! (^I^) (^I^) (^I^)




May/21/2003 ()  晴れ 
  今朝の白馬…夏のような雲が「八方尾根」に掛かっています。
  兎平に僅かに雪が残っていて,その上の稜線には雪はありません。稜線から少し下がった斜面にはまだまだ雪がありますので,滑ろう!と思えば滑れないことは無いのですが…上り下りが大変ですね!(^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP4。続きシリーズ…シーズン初めの目標「高い姿勢で滑る…」がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの十一回目です。
  このホームページをお読みいただいている“N.M”さんから次のようなご質問の E-mail が届きました。私の説明不足…という風に思いますので今日はこのご質問にお答えしたいと思います。ご質問の要旨は…
   『  …キャスターターンのキャスターを転がす具体的な方向がイメージできません。転がす意識の方向はターンの局面によって変わることは間違いないと思いますが、主たる方向はどちらなのでしょうか?@マシンガンのように進行方向より若干外側? Aスキーの進行方向そのまま? Bスキーの進行方向内側? …HPには「自分の身体とスキーをターンしたい方向に積極的に移動させること」「キーキャスターを転がして行く方向を意識すること」とありますが、例えば上記Bは車で言えば曲りたいハンドルを切る方向を意識する事になると思います。上記Aは車が今、進もうとしている方向。上記@は圧力の来る方向になると思うのですが・・・。案外、「曲りたい方向」という文言に関してはイメージし難い人が多いとに思うのですが?どうでしょう。もし宜しければ、日記の今のキャスターシリーズのどこかで発表して頂けたら幸いです。…』
  結論から言えば,@に近いと思いますがこれだけではありません。
May/14/2003”の日記に書いたように,「斜面移動意識」が先で,その斜面移動する時のスピードや迎え角が,結果としてターンの方向を決めてくれる…ということなのです。つまり,実際滑り始めて,その局面々々でスピードや迎え角,雪質,斜度に応じた方向が決まり,その状況をフィードバックして次の方向を決められて行く…という図式なのです。つまり,キャスターを転がして行く方向がそのままターン方向ではないのです。例えば「1番」のキーキャスターを時計の1時の方向に転がして行くとします。すると雪からの抵抗を「2番キャスター」が受け止めタワミが生じます。このタワミは,スキー板の持っている性能や雪質,斜度,スピードの如何によっていろいろ異なります。ある時はタワミが大きくなるでしょうし,またある時は小さくもなります。つまり,キャスターを転がして行く方向が同じだからといってたわむ量は同じではないのです。その時々の斜面状況によって違ってく来ます。そして,たわむ量が大きければ大きいほど,スキーのトップ方向は内側に入り,ターン円弧は小さくなりますし,逆にたわみ量が少なければ大きい回転弧になります。スキーヤーはこの情報を時々刻々「2番キャスター」で感じ取り,もし自分の進みたい方向と違っていたら,その都度修正して行かなければならないのです。例えば,自分が想像したより小さい円弧になったら,「1番キャスター」の転がり方向を「1時方向」から「12時30分方向」に変えていくことや,昨日の日記で書いたように,「2番キャスター」の位置を「L」の方向に移動させる意識が必要になります。「そんな“感じて修正…感じて修正…”等ということが,すんなりできるはずが無い!」とおっしゃる方が居られるかもしれませんが,そんなことはありません!。人間の持っている修正能力,適応能力は素晴らしいものがあります。時々刻々の状況を修正し自分の進みたい方向に行ける様に身体全体が協力してくれるのです。足裏で感じて滑る…といことは,実はこういうことなのです。(^I^)
  ですから,「キーキャスターを転がす具体的な方向」は,実際のスキーのターン軌跡より外側なのですが,その転がそうとする方向その向きにターンが起こるわけではありません。その方向よりは少し内側になります。どの程度内側になるかといえば,それは雪とスキーとのコンタクト状況によって,その時々の条件で決まってくる…としか言えないのです。車の例で言えば,同じようにハンドルを切っても,道路状況によって,その車のタイヤのグリップ力の違いによって,またはハンドルの遊び量の違いによって,あるいはホイールベースの長さの違いによって,それぞれ車の進む方向は違ってきます。運転席に居る私たちは,この程度の速さで,路面がこの条件なら,これくらいのハンドル量でこれくらい方向が変わる…ということをその都度確認し,運転しています。スキーも同じで,ある特定のスキー板を使っていたとしても,その時々の条件で回転要素は違ってきます。その時々の条件に応じた板の反応を感じ取り,その情報に応じて修正して行くことが大事です。
  キャスター・ターンでは,「迎え角の修正」だけでなく,
センサーキャスターの位置の修正」も含めて,May/14/2003”の日記のように,「移動」⇒「修正」⇒「移動」⇒「修正」…の繰り返しが大事です。先ずは,「キーキャスターである方向に移動してみる」。その結果生じたターン方向がそれで良ければそのままの方向に移動し続ければよいし,もし変えたければ内側に,あるいは外側に向きを少し変えて移動してみる…ということなります。まことに「場当たり的」なキャスター・ターンなのです。(^I^)



May/20/2003 ()  曇り 
  今朝の白馬…「曇り」です。この日記の5月18日のところで,「快晴」「晴れ」「曇り」の違いについて教えて!…ということを書きました。早速“のぼ”さんから丁寧な E-mail を頂きました。それによると…「快晴」は天空の雲量が10%以下,「晴れ」が11%〜89%,「曇り」が90%以上…ということだそうです。ありがとうございました!。これでこれから間違いなく「晴れ」or「曇り」の情報をお送りできます。(^I^) …ということで,今朝は「曇り」ですが…アレレ「晴れ」になりそうな…?!?!

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP3。続きシリーズ…シーズン初めの目標「高い姿勢で滑る…」がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの十回目です。結果としてキャスター・ターンというイメージの滑り方に行き着いたのですが…。(^I^)
  さて,前回はキーキャスターとセンサーキャスターの役割の違いについてお話しました。このセンサーキャスター…一般的に足裏感覚として捕らえるときには右の図のように,親指の付け根「2」に意識します。でも,この感覚を充分磨いた後は,ターン円弧の大きさによってその位置を左の図の様に変えることが必要になります。小回りのときは「S」に,中回りは「M」に,そして大回りの時は「L」の位置にセンサーキャスターを意識するのです。
  これによって何が変わるかといえば,先ずキーキャスターとセンサーキャスターの長さが変わります。自動車で言えば「ホイールベース」の長さが変わる,ということになり,それぞれの回転半径が決まってきます。もうひとつは,身体のウエスト部分から上の対応姿勢が違ってきます。もし,「S」の位置にセンサーキャスターがあれば,その部分で雪からの情報を得ようとしますから,ウエスト部分から上,みぞおちの付近の向きはその「S」の方向を向くようになります。もしそれが「L」なら,みぞおちの付近の向きはスキーのトップ方向になります。「S」からの情報を「みぞおち」でキャッチしようとすれば,ウエストから上部の上半身はかなりねじれた状態になります。逆に「L」からの情報をキャッチしようとすれば正対に近くなります。「みぞおち」付近を「パラボラアンテナ」のようにして情報を受け止める…というのはこの時のイメージです。センサーキャスターをどこにイメージするか?で上半身の向き,つまりその時々の「対応姿勢」が自然に決まってくることになります。そして,キーキャスターを支点としてセンサーキャスターがテコの先端部分として働くイメージが沸いて来るのです。「スキーのトップで雪面を読み取って滑る…」というのはこういう意味です。(^I^)
  もちろん,スキー板の性能によってこの「S」〜「L」の位置は微妙に違ってきます。ですから,各スキーヤーは,自分ではどの位置にセンサーキャスターを意識したらどの位の回転半径になるか?ということをそれぞれのスキー板について探し出さなければなりません。
  スキーのテールを支えとして,トップで雪の抵抗を受け止めて行く…という滑りは,スキーの先端で切り込んで行く,という感覚とは全く違う!と言って良いと思います。受け止める意識は,圧の方向が手前側へやって来てスキーが内側に回りこんで来るのに対し,切り込む意識は,圧の方向が向こう側へ働き,雪を外側に押し退ける動きになりトップが流れてしまいます。パッキングされた硬い雪やアイスバーンなどでは,スキーのトーションが充分であれば,雪面をグリップしてくれるので逃げることはありませんが悪雪や深雪では,圧が向こう側に掛かればスキーは外側に逃げてしまいます。

  「高い姿勢で滑る…」ということを考えることは,ある意味で「スキーの合理性」ということを考えることになるのではないか?そんなことをシーズン終わりに感じ始めた【TOK】でした。(^I^) 大げさかな?!?!



May/19/2003 ()  うす曇り 
  今朝の白馬…すこし春霞的な天候です。これから雨になるそうですが…。
  皆さんの週末いかがでしたか? 私はトレーニングを兼ねてのテニスでした。(^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP2。続きシリーズ…シーズン初めの目標「高い姿勢で滑る…」がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの十回目です。
  さて,高い姿勢で滑るには角付け操作をできるだけ少ない量で行うことが大事です。これまで,数年前からお話ししている「パワートライアングル・ターン」とも共通することなのですが,最小の角付けで最高の効果を得るには,かかと付近を「支点」として,スキーのトップ部分で雪面抵抗を受け止めて滑るのがイチバンです。
  普通,「かかと支点」と話しますと,「後傾ですか?」と聞いてくる人が多いのですが,そうではありません。自分の身体を支えるポイントとしてかかとを意識するのです。斜面移動して行く時には雪から来る抵抗と,自分の身体の間で「バランス」を取らなければなりませんが,そのバランスを取る足裏の場所を「かかと」に意識するのです。要するに「バランスを取るための基軸」を“かかと”と“重心”の間に想定する…ということです。ですから,ブーツの後ろに寄り掛かるものではありません。
  この方が雪からの強い圧にも対抗できますし,アニメーションのように,スキー板がかかとを中心として「ちょうつがい(蝶番)」のように働くので,トップ部分での雪面抵抗をいろいろ感じ取りながら滑ることができます。コブや深雪斜面では,このちょうつがいが大活躍をすることになります。コブの裏側を滑る…とよく言われますが,これが可能になるのです。かかとを中心とした意識でコブの頂点に入って行くと,スキーのトップが圧を受けてアニメーションのように上方に上げられ,足の甲とすねの間にエネルギーが貯まります。そしてコブの頂点を過ぎると,その足首に貯まっていたエネルギーが開放されてスキーのトップが元に戻ろうとします。つまりスキーの先端がコブの裏側を捕らえるように自然に働いてくれるます。自分でスキーの先端をコブの裏側を叩くように操作しなくていいのです。“重心”と“かかと”の間のバランスラインは,軸の長さが変わることはあっても,その傾きは変わりませんから安定した滑りができるのです。
  キャスターのうち「1番キャスター」が重要な役割を占めている理由はここにあります。レッスンでは,そういう意味でこの「1番キャスター」を「キーキャスター」と呼んでいました。そして,かかとを支点とした場合,膝の左右への自由度はかなり制限されます。母子きゅうを支点にすると,膝はけっこう左右に振れるのですが,かかと支点ではそんなに深くはできません。運動の量が制限されるのです。…が,実はこのことが角付けを最小限で食い止める役割を果たしているのです。
  「キーキャスター」に意識を集中することでそこが「支点」となり,スキーの先端部分,トップ部分で雪の表情をしっかり読み取ることができるようになります。「2番キャスター」と「4番キャスター」を“センサーキャスター”と呼ぶようにしたのはその意味を込めてのことでした。(^I^)
  代表的には四つのキャスターですが,それぞれいろいろな役割を持っているのです。シーズン後半には「スキーのトップで雪面を読み取って滑る…」という表現が多くなった【TOK】でした。(^I^)




May/18/2003 ()  うす曇り 
  今日の白馬,山肌が少しだけ見えているて,陽が少しだけ射しているのですが,雲が多いので…うす曇なんでしょうね? 昔,理科の授業で「快晴」「晴れ」「曇り」の違いは天空の雲の量による…という風に習った記憶があるのですが…。皆さんの中で,この区別について詳しく知っておられる方,お教え下さい! (^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP1。続きシリーズ…シーズン初めの目標「高い姿勢で滑る…」がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの九回目です。この「高い姿勢で滑る」ということを考えて行くと「角に頼り過ぎないスキー」ということになり「キャスター・ターン」が登場した…ということにつながっていたわけです。これまでこのことについてお話してきました。(^I^) 
  そして,このキャスター・ターン…私がこれまで疑問に思っていたこと,「角付けの切り替え時は,舵取り期の時よりもスキーの移動速度が速くなるのが合理的ではないだろうか?」ということの答えを導いてくれたのでした。言葉を変えて言えば,腰の下をスキーが通過する時には,角付けをしている時よりも,スキーの進行速度が速くなった方が安定したターンができるはずだし,そうならなければならない…とずーっと思っていたのです。
  例えば,小回りを例にとってこのことを具体的にお話ししましょう。舵取り期には,もし重心が図のように a→b と移動すれば,スキーは A→B と移動することになります。角付けの切り替え時には重心が c→d と移動し,スキーは C→D と移動します。ところが A→B と C→D は同じ長さではありません。 A→B より C→D の方が長くなります。重心の移動 a→b と c→d が同じ長さなのに C→D の方が長い…ということは, A→B より C→D の時のスキーの速さが速くなくては理屈に合いません。つまり,重心移動が滑らかに行なわれている安定した滑り… a→b と c→d の移動速度が同じということを想定すれば,角付けの切り替え時 C→D でスキーのスピードは速くなければならないのです。実際の滑りでこういうことが起きているのか?あるいはしているのか?もしくは本当にできるのか?…という疑問をこれまで持っていたのです。
  キャスター・ターンをしてみて,このことが可能かもしれない!と思うようになりました。どうしてか?というと,キャスターイメージでは C→D の時も抜重することが少なく,つまり,雪とのコンタクト圧を軽減することなく,角付けだけを変え,フラットにする動作になるため,面での捕らえが多くなってスキーが走るのです。抜重してしまうと圧が軽減されてしまうのでスキーは走りませんが,四輪意識で,あるいは「1番キャスター」と「3番キャスター」で雪面移動を心掛けるとスキーの速度は変化し速くなるのです。昔,フランススキーでこれと似た「ジェットターン」というのがありましたが,これは自分から意識的にスキーを運ぶ…というものでした。ですが,キャスター・ターンでは二輪意識から四輪意識に変えるだけで,自然にスキーが走り,身体下をスキーが通過してくれるのです。
  大回りや中回りでは,重心とスキーの移動軌跡の相対的な位置関係が小回りほど離れませんので,スキーの移動速度の変化はほとんど感じられませんが,程度の差こそあれ同じ現象が起きていると思います。
  キャスターイメージのターンが,抜重に頼らない滑らかな角付けの切り替えをはじめ,多くの合理的なスキーを可能にしてくれる…そんなことをレッスン中に感じた【TOK】でした。




May/17/2003 ()  晴れ 
  今日の白馬,久しぶりに,白馬の山々の稜線が見えています。やっぱり,この景色を見ると,白馬っていい所だナァー…と思ってしまいます。私は北アルプス,特に白馬近辺の岩山…つまり日本の“Rocky mountain”が好きです。(^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbP0。続きシリーズ「シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの八回目です。(^I^) 
  前回は,キャスターイメージを膨らませて,「3番キャスター」の転がりを意識することで角付けの切り替えもスムーズに行なえることをお話ししました。右の図の“A”から“B”への移行を意識する…ということなのですが,次のターンの内スキーに少し乗っていく感覚があるので,ある人に言わせば「内足主導のターン」とか,「テールコントロールのターン」という表現を使う人も居るようです。いずれにしても,それまでターンをリードして来たスキーに,「圧」を軽減することなく乗り込み続け,スキーの滑走面が斜面にフラットになるまでそれをキープする…ということなのですが,そうすることによって,スキーが走り,
重心とスキーの交錯がうまく行くようになるのです。
  「高速系での角付けの切り替えは,身体を次のターン内側へ運ぶようにして行なう…」という言い方をする人も居ますが,その意識では“重心”の移動速度が速くなったり遅くなったりすることになり,合理的だとは思いません。高速での安定性を増すには,“重心”移動の速度はできるだけ一定の方が良いのです。そういう意味で,“重心”移動をそのままにして,その重心の移動軌跡の下をスキーが通り過ぎる…という角付けの切り替え方法はこの欠点をおぎなうものだと考えます。
  “B”では身体の下をスキーが通り過ぎますので,一時的にかかと荷重になり,後傾かな?というフィーリングになりますが,これはこれでOKです。図で,“A”“B”のようにそれまでターンを
リードして来た方のキャスターが四輪全部の転がり意識に変わり,さらに「3番キャスター」での転がりまで意識できれば,次の外スキーの角付けの切り替えはすでに終わっており,“C”のように,「1」と「2」のキャスターで雪面を捕らえることができる状況になっているからです。「圧」そのものは“A”“B”の方に多く掛かっているものの,雪面にフラットに近く,一方“C”は,圧は弱いものの少し角が立っている…という状況なので,“C”の方がターンをリードして行くことになるのです。
  実は
今思い返すと,10数年前,私の師匠の“太谷多喜男”さんが,このような滑りを盛んに研究しておられました。その時は,内足でのターンの練習かなぁー…???という思いで拝見していましたが,今シーズン,「キャスター意識のターン」をするようになって,「そうか!角付けの切り替えをスムーズに行なうための研究だったんだ!!!」と気付いた次第です。
  “スキー”の先人の研究努力…それにはまだまだ及ばない…そう思った【TOK】です。(^I^)



May/16/2003 ()  晴れ 
  今日の白馬…曇りと言ったらいいのか,それとも晴れ?…気持ちの上では晴れにしておきたいので,「晴れ」とうことに…。(^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbX。続きシリーズ「シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの七回目です。(^I^) 
  「キャスター・ターン」は,エッジコントロール意識よりも面コントロ-ル意識だ…といことをお話しました。で,この面コントロール…実はこれを意識をすると,角付けをコントロールするために身体の細部をアレコレ動かそうとしなくなる…というメリットのほかに,私が期待しなかった別の効果が出て来たのです!。それは「角付けの切り替え」の局面においてでした。
  右ターンから左ターン,あるいはその逆の,左ターンから右ターンに回転方向を変えていくには,身体の軸の傾けを変えなければなりません。この不分のことを「角付けの切り替え」と呼んでいます。この切り替えのやり方にはいろいろありますが,主に身体(重心)を次のターン内側に運ぶ意識のものと,抜重動作でスキーを左右に動かして行なうもの…の二つの方法があるといわれています。前者は高速系での意識,後者は低速時の意識だと解説されています。で,キャスターを意識して行う方法はこの二つの方法の中間的なもの…と言っていいのかもしれません。
  先ず典型的なキャスターイメージのターンでは,四つの
キャスターを足裏に意識し,舵取り期では外足の内側の二輪で滑り,角付けの切り替えに移行しようとする時に,徐々に四輪全部で滑る…という意識を持つのです。次のターンの内側のスキーに角付けが切り替わるまで乗り込んで行く意識,あるいは,体の下スキーがしっかりクロスするまで,それまでの外スキーに乗り込んでいる意識…ということもできます。この時,二輪が四輪に変わり始める…ということは,面での捕らえが多くなる,ということです。角で滑っている時よりも,面で滑る時の方がスキーは速くなりますから,スキー板は身体の下を勢い良く次のターン外側に向かって進むことになります。身体の下をスキーが通過するのですから,身体(重心)とスキーの位置関係が変わり,結局軸が入れ替わる…ということになるのです。この時,二輪から四輪に転がしの意識を変える時には抜重をしないことです。抜重をしながら四輪にしてしまうと,キャスターの回転が止まってしまいますので,あくまで四輪の回転を持続させる…という意識が大事です。すると「圧」を減じることなく面での捕らえに移行しますので,スキーが前方へ走るのです。結果として,身体の下をスキー(キャスター)が通過して行けば,前輪の「2」と「4」の捕らえは薄くなり,さらにその後は「1」の捕らえ感も薄くなって,しまいには「3」キャスターだけが回転している感覚になります。その後は次の外足のキャスターの内側二輪「1」と「2」に乗り込んで行くことになります。意識の上では上体を次のターン内側に運ぶと言う意識はそれほどありません。むしろ重心位置をそのままにして,スキーを左右にクロスさせる…という意識が強くなります。それで,この意識の滑り方を“クロスオーバー”に対して“クロッシング”と呼ぶことがあります。
  この感覚で滑ることの大きなメリットは“重心”の移動を滑らかな状態にキープしながら角付けの切り替えが行なえる,ということにあります。合理的な物体の運動,ということを考えると“重心”が極端に動き過ぎるのはよくありません。できれば等速度,もしくは等加速度的に移動するのが理想的です。このキャスターイメージの角付けの切り替えは,そういう意味で“重心”の移動を制限したり,意識して動かしたりすることは必要ありません。このことが角付けの切り替えをスムーズにさせてくれる大きな理由だと思っています。
 
  ターンコントロールに加え,角付けの切り替えが楽に行なえる,ということはスキーヤーにとって大きなメリットになります。今シーズン,このキャスター・ターンを皆さんにお伝えしながら,“スキー””にとっていかに“Image”が大切か!ということを思い知りました。
  何十年もスキー教師をして来ても,毎年々々いろいろと教わることがあるものだと,つくづく思った【TOK】でした。(^I^)





May/15/2003 ()  曇り 
  今日の白馬…曇り空です。早い所では八方でも「田植え」が終わった所も…。季節はもう春から夏に入りかけているのですネ!?(^I^) 皆さんの地域はいかがですか? そう言えば沖縄は梅雨入りだそうです…。

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」の8。続きシリーズ「シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの六回目です。(^I^) 
  さて,「斜面移動意識」を強調するために意識したイメージ「キャスター」,この感覚を持って斜面を滑ってみるとこれまでと次の点で違いがあることに気が付きました。その第一は「急斜面を滑ることの恐怖が無くなる!」ということ。第二は「ギルランデのような不規則なターンが思いのまま!」。第三が「∞ターンが容易!」点ということでした。
  この理由を考えてみると,それは「角付けに頼り過ぎない…」ということにあります。
  急斜面では,角を立てれば立てるほど重心位置がスキーから離れ,山回りの局面で斜面下方に落とされますが,面で乗ろうとするため,軸が寝過ぎず斜面に垂直近くに設定できるので,下方に落とされる量が少なくて済むのです。また,角を立てる動作は雪の面を押す動作になりがちなので,ターンに必要な圧が重心から「外向きの力」になりやすく,スキーをターン外側に押しやる結果になってしまうのです。ところが,かかと支点で面で滑ろうとすると,落下することでスキーのトップ部分で雪の圧を受け止めようとしますから,ターンに必要な圧を,身体の重心方向に向かってやって来る「内向きの力」で起こすことができます。つまり,外へスキーを押しやる力が少なくて済み,角を立てて頑張らなくてもいいわけですから,急斜面で安定して居られるのです。キャスターに乗り込んでいくつもりで,急斜面に安心して突っ込んで行けるのです。突っ込んで行けば行くほど雪からのプレゼント,「ターンに必要な力」がやって来るのです。急斜面ほど角を立てるのではなく面で滑ろうとする意識が必要な理由はここにあります。誤解の無いようにコメントさせていただきますが,角付けが全く要らない…というのではありません,必要最小限度の角付けは必要です。「1」のキャスターに乗る…ということは内エッジに乗るということで,この意識が最小必要限度のエッジングをする…ということになります。
  第二点の「不規則なターンが思いのまま…」というのは「さすがキャスター・ターンならでは!」と言えるのほど効き目のある特徴です。右ターンでは左足の四つのキャスターを,左ターンでは右足の四つのキャスターをイメージし,それぞれのキャスターがどのようの転がっているか?をイメージするだけ…という実に簡単なことなのですが,効果絶大です。普通は山回りの部分で抵抗を受け過ぎて減速したり,重心を次のターン内側に移動しようとしたりして,次の谷回り部分がやりにくくなるのですが,そのようなことがほとんどありません。みなさんもぜひキャスターをイメージしてやってみてください。
  第三点の「∞ターン」ですが,ギルランデがやりやすいことと同じで,重心のクロスオーバーということを意識したり,角付けの切り替えということを意識しないで軸を次のターン内側に自然に持って行けるため,フォールラインに直角以上回り込んでも次の谷回りが楽にできます。このポイントは「キャスターに乗って移動し続ける!」という意識があるかどうか?に掛かっています。キャスターが回ってさえいればターンに必要な圧が雪からやって来る!ということなのです。
  「キャスター意識」の特徴は“斜面移動によって雪からターンエネルギーをもらう”ということにあるのです。そのためには,エッジコントロールならぬ「面コントロ-ル」的な意識が重要になるのです。
  さて次回は,この面コントロール意識による「角付けの切り替え」についてお話します。(^I^)




May/14/2003 ()  高曇り 
  今日の白馬…穏やかです。スキーシーズンから夏のシーズンに向けて,衣替え…と言ったらいいのでしょうか,農作業は忙しそうですが,観光に携わる人には少しの間の気分転換の時期です。(^I^)
  昨日は私用で留守にしました。きょうから再開です。(^I^)

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbV。続きシリーズ「シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの五回目です。(^I^) 
  前回,息子のスキー滑走から「キャスター感覚」のイメージをより具体的にすることが出来たこと,を話しました。その滑り方は,私にとっては,結果として「線(エッジ)で滑る」というよりも,「面で滑る」という感覚でした。舵取り期での話しですが,ここでは「ターン方向を積極的に決めて行く」という意識よりも,「斜面移動意識」が先で,その斜面移動する時のスピードや迎え角が結果としてターンの方向を決めてくれる…という感覚です。つまり,実際滑り始めて,その局面々々でスピードや迎え角,雪質,斜度に応じた方向が決まり,その状況をフィードバックして次の方向を決めて行く…という図式です。面倒くさいの感覚ですが…

  滑り始め最初の迎え角の設定雪質,斜度,スピードに応じたターン方向の決定
    情報のフィードバック希望する方向へ行くための,二回目の迎え角の設定
      二回目の雪質,斜度,スピードに応じたターン方向の決定情報のフィードバック
        →
希望する方向へ行くための,三回目の迎え角の設定……

 …という,「時々刻々の情報を足裏で感じ取り,迎え角を調整して行く」…ということの繰り返しです。ここでは希望する方向へ行くための調整する項目を,「迎え角」だけに設定していますが,ここにひとつの特徴があるように思います。普通はこの調整項目として「角付け」を挙げる人が多いのですが,あえて「迎え角」だけの設定を意識します。その理由は位置エネルギーを使うことを最優先したいからです。
  ところが,この「迎え角優先」の意識,キャスター・ターンではキーキャスターを転がして行く方向を意識すること…がターン円弧の大きさのコントロールにおおきく関わってくることが解ったのです。このことの原理は「パワートライアングル・ターン」で解説したこともあるのですが,「支点と作用点」という,「テコの意識を使って滑る」…という感覚と同じもので,「かかとを支えとして,スキーのトップ部分で雪の抵抗を受け止め,圧や方向を探って滑る…」という滑り方になります。「スキーのトップを押して滑るのでは無く,雪からの情報を受け止めるセンサーとして使う」という感覚になるのです。「速く動く物体に共通した“物体後部の安定性”を重要視した滑り方」とでも言える滑り方です。
  角付けだけに頼らない,高い姿勢の滑り方…の方向性が見えて来たのでした。(^I^)




May/12/2003 ()  曇り 
  今日の白馬…気温は17度で曇り空ですが,平地には陽が射し始めました。
  今日これから私用で出掛けます。明日夜には白馬に戻りますが, オ・ヤ・ス・ミ となりますのでヨロシク…。

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbU。続きシリーズ「シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?」ということの四回目です。(^I^) 
  その日は,たまたま名木山の主任をした日でした。ちょっと時間が出来たので巡回に出掛けたのですが,そこで久しぶりに私の息子“K.S”に会いました。白馬で生まれ育った関係でスキーをします。小学校から大学まで一応スキー部に所属しアルペン競技をやってきました。大きな大会での実績はありませんが,今もレースが好きで,SJ社主催の「スーパーG」の大会などには出場させて頂いていて,何度か優勝しています。
  その“K.S”とリフトで数本滑ったのですが,彼がなぜスピード系でまあまあの滑りをするのか?ということのなぞが解けたような気がしました。それは「“線”で滑るのではなく“面”で滑る」…ということにありました。“多喜男師匠”の「高い姿勢」も,“周司さん”の「細長い横滑り」も,角は使うものの,線で切る意識はそれほどありません。エッジで滑ると言うよりむしろ滑走面で滑る感覚になります。“K.S”の滑りもそのものでした!。ターン前半から腰の位置が高く,ターン中盤に向けても決して自ら角付けを強める意識はありませんでした。ターンし,方向を変えて行こうとする気持ちはありますから,もちろんスキーをたわませる必要があります。普通はこの時,「角を立てること」で抵抗の量を増やしスキーをたわませようとします。でも“K.S”の滑りはそれと違っていました。角はそのままにして,「自分の身体とスキーをターンしたい方向に積極的に移動させること」でタワミを作ろう…という意識が強いように見えたのです。“周司さん”の「細長い横滑り」と非常に似た感覚の滑り…だったのです。
  角を立てずスキーに乗り込んで行く…という意識が強くなりますから,スキー滑走ラインと重心の移動ラインとの位置関係は離れにくくなり,常にスキーの真上に身体が乗っかっている…というような滑りになります。その滑りを見ていた私は,彼の滑りが角付けに頼ったカービングターンとは異質な滑りだと思いました。まさに「“線”で滑るのではなく“面”で滑る」…という滑りだったのです。「高い姿勢で滑る」ということを目標にして来た私は,これに触発されて,みようみまねでやろうとしました。いつも人の真似をする時は,どんなイメージだろう?どんな感覚なんだろう?ということを考えなら滑るので,この時もいろいろなイメージを描きながら,何度か滑ったのでした。
  そして,ある滑りで,彼から「今の滑りだよ!」と言われたのです。その時のイメージ…それは,「足裏にキャスターを!」なのでした。(^I^)
  息子に教わった【TOK】デシタ!(^I^)




May/11/2003 ()  曇り 
  気温は19度ですが,曇り空の白馬です。これから夕方にかけて雨模様だとか…。
  みなさんはどのように日曜日を…?

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbT。シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?ということの三回目。続きシリーズです。(^I^) 
  そういうわけで,周司さんの「細い線の横滑り」…というあの言葉の意味が「タワミを作れ!」ということだったのだと解ったのはそれから10数年たってからでした。何で細い線なんだろう?幅広い方が「外向傾姿勢」がしっかり作れて,抵抗に対処できるのに…と思っていたのですが,ある時,線を細くすることにより移動速度が速くなり,切れにつながるスキーのタワミができることに気が付きました。横移動の幅が広くてもタワミは作れるものの,ズレ要素の多いタワミで,切れにはつながらないのです。移動方向「T」への線の細い横滑りは,迎え角“α”が小さいということで,それだけスピードに乗った移動が可能になります。この移動のしやすさが図のようなスキーのタワミを作り続けることに効果的に働くのです。
  すると一本のスキー板に“β”<“γ”<“θ”…という状況ができあがります。一本のスキー板の「Cポイント」の方が雪面抵抗を受ける角度が大きいので「U」の方向に押し上げられます。一方「Aポイント」は「Cポイント」より圧倒的に少なくなり,ほとんど雪の抵抗を受けませんのでそのまま直進しようとします。スキーのテールが直進し,トップがほんのわずか角付けされた内側に入り込んで行くのです。つまりタワミ状態が持続できれば,テールを支点としてトップが雪の抵抗をテコのように受け止め続ける…ということになります。テールで切れるターンが始まるのです。細い線での横滑り意識が「テールで切るカービングターン」をもたらすのです。
  この滑りがお出来になっていた“周司さん”の滑りが,切れの鋭いターンであったのは当たり前のことです。世のスキーヤーに「カミソリ周司」と言わしめたのも無理はありません。
  タワミさえ作り続けることが出来れば,落下して行く身体を支え続ける支点をかかとにしてもOKです。むしろかかと支点の方がスキートップで抵抗を受け続けるには好都合です。このことを以前「パワートライアングル」という言葉でお話しをさせていただき,レッスンでも多用した時があります。
  さて,“移動することに躊躇しない”で「細い線の横滑り」をやりやすくするためには,そのイメージとして「キャスターに乗り続ける意識」が有効だ!と気が付いたのは今年の2月でした。それまで「ドライビング・ターン」や「レーシングカー・ターン」ということで説明させていただいていた四輪のイメージを「キャスター」に置き換えてみたのです。効果がありました!2月15日からの一連のレッスンの中でこれを確信したのです。
  でも,これには伏線がありました。それは2月10日に息子と一緒に滑る機会があり,その時彼の滑りの中に,「異質だけれど滑走性の良い滑り」を見たことにあります。実はその彼の滑りが,「キャスター・ターン」を生キッカケとなったのでした。

  この続きはまた明日…(^I^) 
                                        …… この項 続く ……



May/10/2003 (土)  快晴 (^I^)
  花は一杯咲いていますが。気温が低く,パソコンのキーボードをたたく手がすこし冷たく感じます。
  今朝の朝日新聞,「be on Saturday」に載っていた記事…南海の酋長ツイアビの演説だといわれている言葉を集めた本「パパラギ」に載っている言葉…「目的地に早く着くことがたいした得になるわけではない…」,ちょっと心に響きました。こうも書かれていました…「丸い金属と重たい紙,彼らがお金と呼んでいる,これが白人たちの本当の神様なんだ。…笑いも,名誉も,良心も,幸せも,それどころか妻や子までもお金のために捧げてしまった人がたくさんいる」,「物がたくさんなければ暮らしていけないのは心が貧しいからだ」 
  少し考えさせられます…(^I^)

     *****
  さて,今日は「2003シーズンを振り返って…」のbSで,シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?ということの二回目。(^I^) 昨日の続きです。
  そういうわけで,12月中旬には頭の中に「高い姿勢」ということが今シーズンの目標事項として入っていました。世の趨勢は「カービングターン」です。検定でも一般レッスンでもこの言葉が常にお客さんからの要望として聞かれます。そこで元々「カービング」という言葉の意味はどういうことなんだろう?ということの検証からはじめることになりました。辞書でいろいろ調べてみると“carve”というのは,「石・木などを刻む,像・図案などを彫る,彫刻する,料理した肉を薄く切る,切り分ける,運命・進路を切り開く,川などが土地を浸食して峡谷などを形成する…」とあります。そして十数年前,カナダで買った英語版のスキー雑誌を見てみると,そこにはすでに“carving technique ”という単語が載っていたのです。これは世にカービングスキーなる新しい形状のスキーが出現する前の話です。つまり「カービング」という言葉は明らかにずーっと以前からあった言葉で,スキー界では俗に「切れるターン」という表現をしていたのです。
  昔のスキーはズレやすく,そのズレやすいスキーでどうやって切れのあるターンをするか?が技術の上手い下手を分けていました。切れとズレの違いはひとことで言えば「直進距離に対してどれだけ横方向に移動するか?」ということになります。例えば10メートル進むうちに30センチ横に行く人と,1メートル横に行く人とでは,30センチの人の方が切れの要素の多いスキーをしている…ということになります。昔“カミソリ周司”と異名をとった「丸山周司さん」はスキースクールの大先輩ですが,その方の滑り方は本当に切れの要素に溢れていました。その周司さんの口癖は「教えてもらおうとするな!盗め!」でしたが,その周司さんが,私たちに少しだけヒントを与えてくれたことがあります。それは「出来るだけ細い線の横滑りを練習しろ!」ということでした。今思い起こすと,周司さんのあの言葉の意味は「タワミを作れ!」ということだったのだと思います。(^I^)
  この続きはまた明日…(^I^) 
                                        …… この項 続く ……
  “周司”さんにしろ“多喜男”さんにしろ,その大先輩の残された言葉の中に「光り輝くダイヤ」があることを,今また思い知りました。「先輩!ありがとうございます!」




May/09/2003 (金)  快晴 (^I^)
  桜の花は散りましたが,芝桜やタンポポ,菜の花が陽の光を一杯浴びてきれいに咲いています。
  白馬はもうすっかり「春」です。この週末はみなさんもスキーが出来ませんが,どのようなPlanでお過ごしになるでしょうか?(^I^)

     *****
  今日は「2003シーズンを振り返って…」のbRで,シーズン初めの目標がどう展開され,どういう結末になったか?ということをお話ししたいと思います。(^I^)
  今シーズンの初滑りの初ターンは「右山回りから左ターンへ」…そして最終のターンは「左の大回りターン」でした。どことなく,雪の硬さや湿度など,その時の感触が身体に残っているものです。そして,今シーズン最後のパノラマコースでの滑りでは,自分の今シーズンの目標を思い起こしながら滑っていました。
  今年の目標はある日突然決めた…というわけではありませんでした。シーズンインの前から漠然と,昔,私の師匠が話していた言葉を思い出していました。それは「高い姿勢で滑る」…ということでした。以前この日記でも書いたことがあるのですが,「高い姿勢と低い姿勢の得失は?」ということを私の師匠である“太谷多喜男”さんと話したことがあります。このことに関する記事は,「スキーQ&A」の「低い姿勢はどうやったらできる…?」や「どうしたら、長い距離を楽に滑れるか?」に書かれてありますので参考にして欲しいのですが,ここのところカービングスキーが台頭して,怪我が多かったり,疲れてロングコースを滑れない…などの話を聞くと,この「高い姿勢で滑る…」ということが大事なのではないか?と思うようになっていたのです。
  カービングの滑り方の特徴みたいに言われている「軸を倒す」,「スキーを外に放り出す」,「スキートップのインサイドエッジで抵抗をとらえる」,「低い姿勢で滑る」…というようなことが本当の“スキー”なんだろうか?という思いが心の中にあったのです。「高い姿勢」で滑ることはこれらのことを否定することになります。先ず第一に高い姿勢ですから“重心”が高くなる分,軸が起きます。スキーを外側に放ることも出来ません。腰の下に常にスキーがある…そんな滑りになるのです。今のところS●Jの指導の基幹になっているこれらのことと,真正面から対決するような滑り方を,自分の今年の目標として設定していいんだろうか?という気持ちは正直ありました。
  でも,12月に入ってこの「高い姿勢で滑る」ということを目標にすることに決めました。師匠であるスキーの大名人“太谷多喜男さん”の言葉が間違っているわけは無い!…という思いがあったのです。そして実は,このことが,「キャスター・ターン」につながり,クロッシング意識の重要性に気付かせてくれたのです。
  師匠の言葉…生きていました!しっかりと!(^I^)
                                       …… この項 続く ……




May
/08/2003 (木)  雨
  新緑の草木も久しぶりの雨で,活き活き…という気がします。晴天があり,曇天や雨がある…四季の彩と同じように,天候の彩を感じます。(^I^) 

     *****
  昨日は「2003シーズンを振り返って…」のbPでした。今日はそのbQです。
  昨日は新人教師がたくましく育ったくれたことをレポートしました。今日は,各スキー教師が思ったようなレッスンが出来ただろうか?ということについて…。
  おかげさまで,私の所属するスキースクールは,全国いたるところから多くの教師が集まって来てくれています。育ちも性格もいろいろです。それだけに,それぞれの個性を生かした指導ができるという,利点があります。そこで,2003シーズンは,画一的な指導に走らず「教師の個性を生かす」ということをひとつのキーワードとして指導するよう,お願いをしてきました。各スペシャルコースの設定も,教師側からの「ああいうレッスンがしたい!」,「こういうレッスンがしたい!」,という提言を元に企画しました。
  シーズンも終わって,その集計が出始めましたが,それを見るとプライベートレッスンやスペシャル企画のレッスンの受講生が増えています。各自のレッスンスタイルが評価されてきていることの証だと思います。ただ技術追求型や検定受験のためのレッスンが多く,単純に「楽しみとして“スキー”をする」人たちへのレッスンが少なかったように思います。もちろん検定受験を目的にスキーをすることも“楽しみ”のひとつと言えなくもありませんが,“スキー”の持っている本来の楽しみ,「リラックスして活力を回復する」というスタイルのレッスンが少なかったようです。スキー教師は,技術を技術だけに終わらせず,それを活用できるようにお教えしてこそ,その意味があると思います。そういう意味でこれまでのようなカービング一辺倒的な指導は少なくなりました。各教師が,テレマークスキーやスノーボード,歩くスキーなどに挑戦したりして,いろいろな雪の遊び方を追求し始めました。これが来シーズン生き,より幅の広いスキーレッスンができることを期待したいと思います。
  私自身も,このシーズン終わりに「スキーテスト」をさせていただきましたが,その時に感じた「スローで滑ることの楽しさ!」,「景色を楽しめるスピードでのスキー」をもう少し皆さんと共に味わえられたらいいナァー…そう思いました。
  来年度…どういう企画が立ち上がるのでしょうか? 楽しみです。(^I^)



May/07/2003 (水)  曇り
  さすがの快晴も昨日で終わり…。連続六日間でした。この時期に滑り収めを楽しんだスキーヤーの顔は間違いなく真っ赤っかでしょう。シーズン中に焼け焦げていた私でさえ,太陽の日差しが少し痛いくらいでした。(^I^) 
  さて,今日からはこの教師日記,夏バージョンに…。その為,というわけではありませんが,パソコンを夏用の部屋に移動しました。冬は寒いのでベッドルームに移動して設置していたのですが,夏は少し涼しい部屋に…プリンターからスキャナーなど周辺機器を含めた一式の集団引越しでした。

     *****
  このシーズンもいろいろありました。
「新人教師選考会」から始まった2003シーズンでした。この選考会で採用された20数名の新人は,スキー教師としての経験を重ね,シーズン終わり頃には皆たくましく成長してくれました。そして,また来シーズンも!元気で会えることでしょう。
  この日記でも何回も書いてきたことですが,“スキー”という共通のスポーツを愛する者同士が,縁あって一緒に生活し,互いに影響しあいながら人生経験を積んで行く…。
人生の経験として影響しあうモノは何も人間という生身のものだけに限りませんが,人と人の触れ合いは“感情”を主とした“感性”を磨いてくれると思います。しかもその舞台が「雪山の大自然」ということであれば,言うことなし…といえます。
  右の写真のような環境の中で,お客様と接し,“スキー”をお教えする…という仕事をするわけですが,生徒のみなさんは,白の世界に身を置くことということだけでもうすでに素直な気持ちになられている方が多いのです。そして私たちがお伝えするスキー技術を一生懸命実践してくれます。これまで出来なかったことが出来るようになり,雪上を滑る快感を楽しんでくれます。顔がほころび,声が弾みます。リフトの上ではスキーの話だけでなく,趣味や生活のことなど,いろいろな話題に花が咲きます。これまで知らなかった世界をお互いの会話から感じ取ることができ,未知の世界の扉が開きはじめます。(^I^) このようなお付き合いは,パソコンなど無機質との付き合いが多くなった最近の生活スタイルではほとんど不可能です。でも,白い世界の上では,これまでは全く他人同士だった者同士が,生身の血の通っている生き物,人間同士として,互いにコミュニケーションを楽しめるのです。
  スキー教師は,その機会を毎日のように得ることができるのです。ひとシーズン終わって,たくましく成長しないはずがありません。毎日々々お会いした生徒さんから「人生」の勉強をさせていただいていたのです。(^I^) 
 考えてみれば,私などは30年以上もお客様から人生を学ばせていただいている勘定になります。ありがたいことです。(^I^)





May
/06/2003 (火)  快晴 (^I^)
  今日も快晴です!(^I^) トップページにも書きましたが,連続六日間…は私の知るところ,新記録です! 
  八方尾根…11月初めからスキー滑走が可能になり,昨日まで約180日の長いシーズンでした。そして,スキー滑走可能期間が長いだけでなく,降雪にも恵まれ,悪天候も例年より少なく,黄砂もほとんど無い…という本当に恵まれたシーズンでした。来シーズンはどうなるかわかりませんが,この恵まれたシーズンに感謝したい気持ちで一杯です。(^I^) みなさんはどんなシーズンでしたか?

     *****
  さて,昨日は今シーズン最後のお勤めで「兎平教室」の主任でした。上級クラスだけのレッスンでしたが,上達を願う生徒さんが熱心に受講されました。
  そのクラスを送り出した後,兎平教室の受付及び教師の待機場所の片づけと清掃をしました。大勢の受講生の方に来ていただき,受付をさせていただいた場所ですので,心の中で「ありがとうございました…」という気持ちを込めての清掃でした。(^I^) 受付カウンターで,初めて生徒さんと対面しお話しをするのですが,これが出会いの始まりになります。“スキー”という共通の言葉を介してお互いが知り合う,「はじめの一歩」の場所です。今シーズンも大勢の方と教師がスキーのお仲間になりました。ありがとうございます。良い思い出を作られた方も,ヒョットすると残念な思い出が残ってしまった方も居られるかもしれません。それらいろいろな出会いを通して「経験」が積み重ねられて行きます。楽しい経験も苦い経験も人生のひとコマとして記録されていくのです。そんなことを思いながらの片付けでした。(^I^)
  そして,午後…スキー場のトップ,標高1980メートルの第一ケルンからパノラマコースの下部まで,スキー場に感謝を込めながら今シーズン最後のスキーを楽しみました。(^I^) 雪質はザクザクでコブの多い状態でしたが,「今シーズンも多くの楽しみを提供してもらってありがとう…」という気持ちを込めての滑走でした。連休最後の日でしたので,お客さんの数もそれほどではありませんでしたが,一人一人のスキーヤーやスノーボーダーは終わるシーズンをいとおしむ様に「雪との会話」を楽しんでおられました。(^I^)
  午後3時半,受付をCloseし,教師の詰め所に鍵をかけてスキースクールのレッスン終了としました。

  みなさん!今年も本当にお世話になりました。また来シーズンも ヨ・ロ・シ・ク!お願い致します。(^I^)
  Schi Heil ! シーハイル! 



May
/05/2003 (月)  快晴 (^I^)
  昨日昼前,少しだけ雲が広がり,陽がさえぎられましたが,すぐに回復しました。そして今朝も良い天気です。(^I^)五日レンチャンでの快晴も記録ではないかと思います。(^I^)

     *****
  さて,昨日は今シーズン最後の「検定」でした。1級44名,2級10名の受験でした。
  午前中は実践種目講習テストでしたが,私は裏方役で受付の整理や午後の規定種目の準備をしました。
  午後,規定種目テストの検定員を務めさせていただきました。春のグサグサ雪で小さいコブも少し出来ていて,滑りづらい状況でしたが,大半の受験生は果敢に各種目に挑戦されていました。
  シーズン最後の検定のせいか,しっかりとポイントをつかんだ演技をされる方が多くおられました。春の雪は滑りを上達させる…と言いますが,検定でもうまさの差が歴然と出ます。1級2級に関わらず,その質は異なるものの「雪とのコンタクト」のさせ方をしっかり意識している人ほど安定した滑りをしていました。言葉を変えて言えば,雪とスキーヤーとの信頼関係というか,マッチングのさせ方がうまい人ほど良い演技をしている…と感じました。雪はザクザクでも“美しさ”が感じ取れました。(^I^) 
  結果は1級が7名の合格,2級が3名の合格でした。
  シーズン締めくくりの検定…目的が達成できた人も,残念ながらクリアできなかった人も,スキーをすることの楽しさを忘れないで来年につなげて欲しい…そう思った【TOK】でした。(^I^)




May
/04/2003 (日)  快晴 (^I^)
  今日も快晴の白馬です!(^I^)(^I^)(^I^) 先月後半の連続の雨模様も珍しいことでしたが,ここ四日連続の快晴…これも珍しいことです。でもせっかくの連休ですから良い天気でよかったですね!(^I^) しかし,おかげさまで顔は真っ黒! 痛いくらいです。(^I^)
  八方尾根スキー場…今シーズンはいよいよ明日5日で営業終了です。今シーズンは本当に長くて,雪にも天候にも恵まれたシーズンだったと思います。大自然の恵みや,スキーヤーの皆さんに,心からお礼を申し上げたい気持ちです。(^I^) お世話になりました。ありがとうございました!

     *****
  さて,昨日は今シーズン最後の検定に向けた「検定スペシャルレッスン」の担当でした。このスペシャルは,検定の行なわれる前日,受験生に検定上のポイントを解説し,アドバイスしながらレッスンを行なうものです。このスペシャルも今年最後の一回でしたが,16名の方が受講されました。
  私は1級受験班を担当し,受験上のポイントとなることを解説させていただきました。いろいろな表現方法がありますが,私は…
 @傾け操作だけに頼らないカービング
 A“重心”の滑らかな移動
 B滑走スピード,抵抗に応じた対応姿勢
 C道具の特性と身体の特徴を生かしたスキー
    ……ということについてレッスンをさせていただきました。つまりは,「安定・安全・確実」をキーワードとする基礎スキーという点から見た合理的なスキーがどの程度できるか?ということに尽きると思います。もちろんその尺度としての「スピード」があります。中低速やイージーな斜面なら出来るが,高速になったり,斜面が少し荒れたら上記の項目が安定して確実にできない…というのであれば,1級合格のレベルには達していない,ということになります。具体的に,どれ位のレベルか?と聞かれれば,「見本として見せられる程度の滑り」ということになります。
  受講された皆さんには,私の解説のポイントをご理解いただけたと思っています。今日はみなさん,最善を尽くして欲しいと思います。(^I^)
  検定でいつも思うことですが,大切なことは,これを通して合理的なスキーとはどういうことか?ということを考え直す…ということだと思います。その結果として合格,不合格ということはありますが,その結果だけにこだわらず,受験の過程を役立てて欲しい…そう思います。
  さて,今日はこれから,今シーズン最後の検定です。気持ちを引き締め,皆さんの滑りを拝見したいと思います。
  では,行って来ます!(^I^)




May
/03/2003 (土)  快晴 (^I^)
  今日も快晴!(^I^)(^I^)(^I^) このGWは本当に良い天気に恵まれています。皆さんも晴れの良い天気…充分に楽しんでいますか?(^I^) 

     *****
  さて,昨日は“Nor”さん“KeI”さんご夫妻と,ご友人の“Miy”さんのプライベートレッスンでした。この4月に一度お三方でレッスンを受講されていて,“Miy”さんとはスプリングキャンプでご一緒しましたが,三人揃ってのレッスンは今回で二度目になります。当面の目的,「1級合格」を目指してのレッスンでした。
  滑りを拝見すると,
“Nor”さんはこびり付いていた急激な圧変化という“クセ”が少なくなっており,“KeI”さんは滑りはソフトながらスピードに乗ったターンができるようになっておられました。“Miy”さんは今シーズンからスキーを始められたとは到底思えないような滑りをされていました。ただお三方とも,滑りが安定していていつも安心してみていられるか?基礎スキーとして,滑りの合理性が演技できているか?という視点で見ると,もう一歩…と言わざるを得ません。1級合格のためにはどういうポイントで合理的な滑りをしなければならないか?ということを先ずしっかり理解し,それを確実に安定して演技できないといけません。
  そこで,1級の大きな演技ポイントとなる「カービング要素のS字ターン」をするにはどうしたらよいか?ということを“キャスター・ターン”で学ぶことにしました。この日記をご覧頂いている方には何度もご紹介しているように,このターンの特徴は,「斜面移動によってターンに必要な圧を作り出す」ということにあります。スキー板だけでなく,身体の重心も引力,重力の力(Gravity Works)に従って共に斜面移動することによって,つまりは位置エネルギーを利用することによって回転力を得ようとするものです。その結果,ターンが左右一回ごとに停止動作が入る「C字ターン」ではなく,ターン後半のエネルギーが次のターンに途切れなくスムーズに伝わる「S字ターン」になるのです。
  前回の午後このキャスター・ターンを練習しましたが,まだ消化不良のところもあったので,再度初めからやり直しました。午前は中回りでこの基本的なことを学び,午後は1級の種目ごとにこのキャスターをどう意識したら良いか?を学びました。ポイントは「1」のキーキャスターへの乗り込み方の要領と,「2」のセンサーキャスターでどう雪からの情報を読むか?にありました。
  お三方とも,全部が全部合格ライン…というわけにはいきませんでしたが,かなりの線で合格レベルに近くなりました。4日の検定を受けるとすれば,あと今日一日余裕があります。ぜひ滑りに磨きをかけ,明日は最善を尽くして欲しいと思います。(^I^)





May
/02/2003 (金)  快晴 (^I^)
  今日も晴れの良い天気です!(^I^) 
昨日は気温が少し低めで,スキー場の雪の湿り具合もまあまあで,気持ちよく滑れました。(^I^) スキーレッスンの後,夕方身体をほぐすつもりでテニスをしたら,夕方足の腱がつってしまい,冷や汗モノでした。(=_=;) やり過ぎはイカン!とみんなに笑われてしまいました…。
     *****
  さて,昨日は“Sug”さんのプライベートレッスンでした。“Sug”さんは私のホームページを良くご覧頂いている方で1級をお持ちなのですが,シーズン終わりを良い形で締めくくり,シーズンオフを良いイメージを持ちながら過ごしたい…ということでの受講でした。
  滑りを拝見すると,良い滑りをされているのですが,角付け主体の滑りで姿勢がやや低く,角付けの切り替えも抜重的な要素のものでした。角付けメインでも悪くはありませんが,長い距離を滑ったり,いろいろな斜面での応用…ということを考えると難があります。“「身体の特徴・用具の特性・自然条件」を生かす”という立場に立てば,もう少し雪の力を借りて滑る意識があるといいと思います。
  そこで,この冬のシーズン後半皆さんにお話している「キャスター・ターン」の練習をすることにしました。何度もお話ししていますので繰り返しになってしまいますが,このターンの特徴は「斜面移動を効率良く行ない,“重心”の軌跡を大事にしたターンを行なう」ということにあります。
  “Sug”さんにもこの「キャスター」の意味を理解していただくことから始めました。そして…
  @キャスターの転がりに乗っていく意識は“感じる”筋肉を使うことになり身体の特徴を生かすことになること。
  Aタワミ状態を維持して行くため,かかと支点意識,つまりキャスター「1」の転がりに乗り続ける意識を大事にすること。⇒テールでの雪面ホールドと切れの重視
  B「1」のキャスターがどの方向に転がっていっているのか?という迎え角方向をしっかり意識すること。⇒バナナシェープ,適度な外向傾の形成
  C角付けの切り替えの時は,「1」の転がりを「3」に伝えてから次の外足の「1」の転がりに乗って行くこと。⇒クロッシング
  D大回りではセンサーキャスター「2」をスキーのトップ近くに,小回りでは母子きゅう付近に,中回りではその中間に意識すること。⇒ターン弧の調整
  Eセンサーキャスターからの情報は,自分のウエストから上の部分を「みぞおち付近」を中心としたパラボラアンテナに見立てて受け止めること。⇒安定したポジションのキープ
  Fコブ斜面小回りでは,コブの頂点でクロッシングを行い,その後外足の「1」キャスターで探りを入れながらズレに乗って行く感覚を大事にすること。⇒適度な脚の曲げ伸ばし
 ……とレッスンを進めました。
  “Sug”さんのご希望で,昼休み無しの一気4時間半のレッスンでしたが,アッという間に時間が過ぎてしまいました。(^I^) クロッシングではこれまでのクセが顔を出して少し苦労したものの,レッスンが進むに連れてこの要領を理解されたようでした。もともとポテンシャルが高い方だけに,低かった上体の姿勢がみるみる変わって腰の位置が高くなり,かかと支点で滑る…ということがお出来になられました。(^I^)
  一日のレッスンで私のお話したかったこと全てが伝わったとは思いませんが,上記「@〜Fのイメージ」,そして「レッスンの最中にお話したこと」を大事にしてシーズンオフを過ごして欲しいと思います。来シーズン,キット何かが違っているご自分に気付かれることと思います。
  一日どうもありがとうございました。またご一緒に滑りましょう。(^I^)
 



May
/01/2003 (木)  快晴 (^I^)
  今日は晴れの良い天気です!(^I^) まさに五月晴れ!ですネ!?
  ところで,五月晴れ…という言葉はもともと,
梅雨が旧暦の五月にあたっていて,その「梅雨の期間中の晴れ間」のことを言っていたのですが,最近では本来の意味よりも,「五月のさわやかに晴れわたった天気」をさすことが多い…と辞書に載っていました。時代と共に言葉は変わって行くのですネ?(^I^) “スキー”も…?
     *****
  さて,昨日は最初の予定ではプライベートレッスンが入っていたのですが,雨天でカミナリ予報もあったりして中止とさせていただきました。
  この一日を利用して先日行なった Spring Camp のVTR編集とコピーをしました。そして気が付いたことがあります。それは,「キャスター意識の小回りはスラロームレーサーのポジショニングと似ている…」ということです。同じ小回りでも,角から角を意識した横にスキーを振る感じの小回りでは腰の向きがフォールライン側を向くようになりますが,キャスターを転がして行く意識の小回りをすると,腰の向きはスキーのトップ方向を向くようになり,ウエストから上部がフォールラインを向くようになります。過日キャンプに参加いただいた皆さんの小回りが,ほとんどレーサーの小回りに似た小回りになっているのを発見して正直(*_*)ビックリでした!(^I^)
  そういえば,20年以上前の話で小回りをウエーデルンと呼んでいた頃の話を思い出します。私の師匠と仰ぐ人との話の中で,「競技選手の腰は回っているかいないか?」ということを議論したことがあります。どう見てもその頃の一流選手の腰は,ターン中盤から後半にかけてスキーのトップ方向を向いていたのです。しかしその頃,基礎スキー界では腰からの「く」の字姿勢,つまり腰で決める外向傾姿勢を基本としていました。何かが違うんじゃないかな?…ということで議論したのですか,「使っている用具が違うんじゃないのかな…」とか,「円弧が縦長だからだよ…」というようなことしか思い浮かびませんでした。当時,「“スキー”というスポーツはスキー板を動かしてターンするものだ!」という考え方が主流で,雪の抵抗でターンする,という考え方はほとんどありませんでした。思い起こせば,当時のオーストリーのトップデモ“エディ・ハウアイス”が言っていた言葉,「雪があなたを回してくれる…」ということの真意をまだ理解していなかったのです。
  その後十年ほど経って,切れの良い小回りには「腰の正対・みぞおちの外向」が大切…ということが言われ,そのフォームを作ることに躍起になったことがあります。でも,スキーを操作する,という滑り方ではこのフォームはなかなか作れませんでしたし,作れたにしても「切れ」には直接結びつかない人が多かったのを覚えています。雪の力で方向を変える…という意識になって初めて「雪からの抵抗に対処する姿勢」が生まれ「腰の正対・みぞおちの外向」が出来るようになったのです。キャスター・ターンはモロ雪の力でターンするという滑り方ですので,自然にこのポジションが出て来ます。昨日のVTR編集で,キャンプに参加いただいた方々の小回りがこの「腰の正対・みぞおちの外向」姿勢が出ていることに驚いた背景はここにあります。むかしの選手はハイスピードで落下することでスキーのタワミを作り,腰でその力に対処していたのです。その為には腰が正対気味でないと大きな圧に耐えられなかったのです。今はカービングスキーのおかげで,それほど落下速度が無くてもタワミが作れます。しかしそのタワミを持続させ,小回りをし続けていくためには腰は正対気味の方が良いのです。キーキャスターを転がして行く…という意識の滑りが,小回りに限らず,中回り大回りでも腰の正対を伴う姿勢を作り出してくれるのです。
  「腰が回る」という言葉の意味が昔のそれとは違った意味で評価される時代になった…そう思った【TOK】でした。そして,長年思っていたひとつの疑問に答えが見えた一日でした。(^I^)



 
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