September #2
2000


スキー教師の【TOK】が 日記替わりに日々の雑感を綴るコーナーです。            
100% 個人的な日記です。興味のある人は見てください。(^I^)            
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日記の中のテーマ  What is Today's Topic?


検定(1級,小回り中回り)
検定(2級,小回り中回り)

検定

 (1級コンフォート大回り)

検定(カービング大回り)
検定

 (2級大回りのポイント)

検定(コンフォートターン)
検定(ジャッジ)

スキーの満足感

マッチング#2

合理性(マッチング)

合理性(????)
合理性
(基礎スキー)

合理性
(一般スキー)

合理性

  (スキー指向と合理性)


**********

9/1-9/15は
教師日記 9月 #1

教師日記 8月 #2


教師日記 8月 #1

To 教師日記 7月

To 教師日記 6月

To 教師日記 5月 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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9/30 (土) 晴れ 
 今日で9月も終わりですね…。時の経つのは早いもので,もう10月…。ウインターシーズンはもう直ぐそこです!。今年はどんなシーズンになるのでしょう?。(^I^)
 さて,今日は「1級の小回りと中回り」です。
 1級受験者に良く見られるのは「小回り」という言葉に惑わされ,素早い動きを表現しようとする滑りです。ひと昔前に良く見かけた「ウェーデルン」的な♪♪♪チェック,チェック,チェック…♪♪♪というリズムの滑りをする人が多いのです。ウェーデルンとは,犬がしっぽを左右に振るようにスキーを振って方向を変える,ということから名付けられたのですが,その滑りのイメージがまだ強く残っているようです。ウェーデルンという滑り方を否定しているのではありません。狭い所をスピードコントロ−ルしながら滑り降りる時は大事な技術です。しかし,ここで言う「小回り」は「ウエェデルン」とは似て非なるものなのです。あくまでも「大回りと同じ要素」を残して,回転半径の小さいターンをするのが「小回り」です。円弧を描く事,が要求されます。
 規定種目テストで「中回り〜小回り」というのがあります。この「小回り」は2級の小回りとどう違うのでしょうか?2級でのポイント「横方向のエネルギーの蓄積と解放」はモチロン必要ですが,コンフォート要素ですから,少なくともターン後半はカービング要素で滑らなくてはなりません。ここ数日お話しして来ているように「カービング」で必要なことは「スキーをたわませ続けることです」。2級の合格ポイントと1級のそれの違いは,この点にあると言ってイイでしょう。ターン前半は少しスキーを横に振っても構いませんが,後半はしっかり雪の圧を受けとめたわませることです。みずから踏み込んで(押し込んで)しまうと,その反発はその後瞬間的に戻るだけで,後半の切れと走りが生まれません。切れや走りを作り円弧を描いた小回りをするには,雪の力でスキーをたわませ,その反発エネルギーを瞬間的にではなく,少しだけ時間を掛けながら放してやることが必要です。「圧変化」の調整方法のうち,特に「放し方」が大事になります。この滑りが出来るか出来ないか?が合格レベルに達しているかいないかの判断基準になります。これがうまく出来れば,ターン後半⇒クロスオーバー⇒ターン前半…へと滑らかにつながる「S字ターン」になりますし,出来ないと,ターン一回ごとに止まってしまう「C字ターン」になってしまうのです。【Doスキー】ではなく【Letスキー】が要求されることになります。また,ネジレの力が充分貯まっていないのに次のターンに入ろうとすると,どことなく窮屈なマッチングの取れていない滑りになってしまいます。マッチングが出来ていない滑りは,いくら小回りの速度が早くても評価されません。「タワミとネジレ」の「エネルギーの蓄積と解放のさせ方」,が大事にになります。
 「中回り」は,大回りと小回りの中間的な滑りです。スキーのタワミと,身体のネジレのエネルギーを同時に貯め,そして解放するのですが,そのテンポが小回りほど短時間でなくなります。「圧変化とネジレ変化」のエネルギーを自由自在に調整できる能力が要求されます。両方のエネルギーをコントロールするのは難しく感じるかもしれませんが,中回りですから,結構時間的には余裕があります。焦らず落ち着いて,縦(タワミ)と横(ネジレ)のエネルギーを貯め,そして解放することです。「足裏の圧感覚」と「身体のネジレ感覚」の調整のさせ方に習熟することが大事でしょう。実践種目でも規定種目でも,ロングターンと同様スキッディング要素を出来るだけ少なくした方が評価は高くなります。
 「中回り」から「小回り」へのリズム変化のさせ方ですが,一気に変えるとか,徐々に変えた方がイイとか…いろいろ言われますが,それほど極端に回転半径が変わる訳ではありませんから,そのところに注意を払う必要はあんまりありません。ただ,急激にリズムを変え過ぎると,圧変化やネジレ変化が急激に行なわれることになり,上体のバランスが乱れやすくなりますから注意が必要です。
 1級では「小回り」も「中回り」も,…さらには「大回り」でさえ,縦と横のエネルギー,つまり「タワミ」と「ネジレ」のエネルギーをしっかり意識出来る様になることが要求されます。
 次回は「総合滑降」について…。(^I^)


9/29 (金) 曇り 
 冬型の気圧配置が続いて,昨日も寒さを感じる一日でした。冬の気配が感じられ,夕方のジョギングに一層熱が入っている【TOK】です。(^I^)
 さて今日の話題は「検定」で,テーマは”2級の小回りー中回り”です。
 実践種目の「中回り」はスキッディング要素ですから切ろうとせず,ズレに乗って滑る事です。幾分ロングターンに比べて,「迎え角」を大きめに取り,リズムを早める事でOKです。ロングより円弧を小さくしなくちゃ,という焦りがあると,どうしても自分の力で回し込もうとしてしまいますが,そうすると上体の振りこみや内倒など,不要な運動が起きてしまいますから,あくまでも雪の抵抗にオマカセ!的な気持ちで滑る事です。運動のリズムが途切れない様に注意し,そのリズムの早さも「ロングターンより小さく,ショートターンより大きく…」というくらいの気持ちで滑ると良いでしょう。両者の間にあれば中回り…という風に考え,円弧の大きさにこだわり過ぎないらない方がベターです。
 規定種目の「小回り〜中回り」はコンフォートで…ということになっていますが,実際はロングターンと同じく,後半のカービングにそれほど気を配る必要はありません。2級では,それほど切れのある,カービング的な小回りは要求されませんから,「上体と下半身のネジレとその放し方」に留意し,縦方向の圧変化に惑わされないことが大事です。どちらかというと「ズレを伴なった上体のネジレ」を意識して滑ることです。上下動もあっていいし,スピードも早く無くて結構です。小回りという言葉に惑わされ,クイックモーションで滑ろうとしない事です。小回りから中回りへの移行部分は,少しづつ変えても,急激に変えても,どちらでもOKですが,バランス維持の事を考えれば,ある程度ゆっくり行った方が良いでしょう。中回りは小回りのリズムを少しゆっくりと伸ばす感じで行います。♪♪♪貯めるゥー放すゥー……♪♪♪というような,「口ずさみ滑走」が役に立ちます。中回りでは,小回りより間合いを長くした口ずさみ,を意識すると良いでしょう。
 小回り,中回りでは,なんとなく滑るのではなく「上体のネジレの貯めと解放」を意識し「口ずさみながら」演技したら良いと思います。ターン後半から次のターンへのつなげ方も,連続したS字的運動でなく,一回ごとにしっかりとスピードをコントロールしたC字的運動で構いません。もちろん65ポイント以上の点を狙うのであれば別ですが…(^I^)
 次回は「1級の小回り,中回り」について…。

9/28
 (木) 曇り 
 昨日は寒い一日でした。これまで結構暖かい日が続いていましたから尚更寒さを感じたのでしょう。これまで遅れていた紅葉も急速に山の上から始まることでしょう。
 さて,今日は前回の続きで「1級のコンフォート大回り」について…。
 多くの1級受験者が迷う事ですが「コンフォートはスキッディング&カービング」というが,いつからカービングにしたら良いのか?。この答えは9/25の教師日記でお話ししました。到達度,習熟度という観点からは出来るだけ早くカービング要素に入った方がいいのです。
 素早くカービングターンを開始するには「中間姿勢の保持」と「ベンディング的な滑り」が必要になります。斜面を長く使い,落差のあるターンを心掛け,雪の抵抗をうまく利用して滑る【Letスキー】が要求されるのです。特に後半,スピードに乗った丸い円弧を描きながらのターンをするには,圧を一気に軽くせず,徐々に緩めながらターンは維持し続ける,という技術が求められます。自分から圧を加えてターンすることは出来ても,軽くしながらターンすることができる人は少ないようです。そのためには「落差のあるターン」,つまり斜面移動がしっかり意識して出来なければなりません。そうすることによって,雪からの抵抗をいつも受けていられますから,スキーがたわみ続けターンが維持できるのです。引きながらでも,ターンに必要な圧は確保できるのです。
 このように1級レベルのコンフォートでは,初めからカービング要素のターンをした方が勝ちです。クロスオーバーからターン開始に至る段階で,どんなにスキッディング要素を入れないでターンしようとしても,ほんのわずかのスキッディングは現れてしまう…からです。いくらカービングスキーと言えども,角付けをしない限りターンは始まりません。角付けをするということは,軸が寝る⇒横方向への力が働く,ということになります。横方向への力が働くということはズレの要素が出る,ということに他なりません。このズレが初めにあって,続いてスキーがタワミ,そして迎え角の差が生じ,カービングターンが始まることになるのです。
 ですから,カービングスキーに限らず,ノーマルスキーでも,カービングターンや切れの要素のターンも「初めにズレありき!」なのです。切ろう切ろうとして,ズレに乗って行けない人はいつまでたっても切れないスキー,しか出来ないのです。ズレに乗って滑る=【Letスキー】の基本でもあります。
 次回は「2級,小〜中回り」について…。お楽しみに!(^I^)

9/27
 (水) 曇り 
 昨日は火曜日で【TOK】の Day Off …。長野市まで出掛け,本屋やウインドショッピングを楽しんで来ました。ところで,例年より寒さの来るのが遅れていた白馬岳に一昨日から降雪があり,初冠雪となりました!。この雪は直に溶けてしまうでしょうが,今シーズン最初の雪です。心が踊ります!(^I^)
 さて,今日は昨日の続きで「検定」。テーマは”1級のカービング大回り”です。
 カービングターンとは「スキーをたわませ,サイドカーブを利用して,縦方向に滑らせて弧を描く滑り方」です。サイドカーブがきつければきついほどタワミ方も大きくなるので,カービング要素が強く出ます。
 先ず最初に「カービングターンの原則」についてお話ししましょう。右の図をご覧下さい。矢印がスキーヤーの進行方向(移動方向)です。この進行方向に対してスキーのトップ部は「α」という迎え角で雪の抵抗を受けます。一方,スキーのセンター部分は「β」という角度で抵抗を受けます。スキーがたわんでいる訳ですから,この「α」と「β」の間には「α>β」という関係が成り立っています。つまり,トップ部分がセンター部分より大きな抵抗を受ける事になり,トップ部分はたわんでいる内側,黒矢印の方向に押し上げられます。つまりターン内側にスキーの先端が食い込んで行くのです。この様に,カービングターンをしようとするには「たわんだ状態をキープし続ける事」が必要になります。1回だけギュン,と押しこんでタワミを作っても,それはカービングターンにならないのです。「たわんだ状態をキープし続ける事」がカービングターンの大原則です。

 タワミを作り続ける,ということが大事だということが分かれば,両足に荷重を分散させる方が良いのか,それとも外スキー一本に荷重させた方が良いのか?ということの答えはすぐに出ます。「外スキー荷重」が正解です。ただし,時速60キロ以上のハイスピードになった時は違います。スピードが出れば出るほど雪からの圧が強くなりますから,一本だけに乗っていたのではたわみ過ぎてしまうのです。その時は内スキーにも荷重を分散させる必要が出てきます。あくまでもハイスピードでの滑走,の時です。検定ではそれほどのスピードにはなりませんから,とりあえず外スキー一本で雪面を捕らえるようにすべきです。
 次のポイントはクロスオーバーです。このクロスオーバーを上体を伸ばす運動,ストレッチを伴ないながら行う人と,上体はそのままで,ベンディング的に行う人がいます。目線を動かさないという合理性,次のターンの角付けのタイミングを早くできるという合理性,から評価すると,後者の方が到達度が高いと言わざるを得ません。実践種目,カービング要素の大回り,では早い時期からスキーをたわますことができる人と,ターン中盤からしかたわませない人では,その評価に差が出てきます。ストレッチ的な動きではヒザが伸びてしまう為,角付けを素早く行う事ができません。ですからその分角付けのタイミングが遅れ,スキーがタワムのにも時間がかかるのです。カービングターンでは,中間姿勢が有利,という理由です。
 さらにこのクロスオーバーをより躍動的に行う人もいます。カービングターンは「正対」という風に言われていますが,私はこれは捉え方が違うと思っています。ターン中は左右のスキーに前後差があるわけですから,その差に相当する,上体とスキーの間のわずかなネジレは存在する,と思います。ですから,わずかではあるが「体に対して横方向の,平面的,二次元的な上体とスキーの間の『ネジレ-戻り』の力」を使うことで,次のターンに必要な抵抗を探るポジションに移行できるのです。カービングターンではさらにもうひとつ,「タワミ-フラット-タワミ」という縦のエネルギーも使われます。どういうことかというと,ターン後半スキーがたわんで来ますが,その圧を腰の下に引き込んでやると,一旦スキーはフラット状態になり,続いて少しだけ「逆反り」の状態になります。そしてこのあともう一度元に戻る様にタワミ状態に入って行くのです。つまり,縦方向にしなりが戻り,またしなる,という「しなり⇒戻り⇒しなり」という力も作用するのです。この二つの力,横方向と縦方向のエネルギーが同時に解放されて,まるでロケットの様にスキーが腰の下を通過して次のターンに入って行きます。これを「三次元的なエネルギーの開放」と私は呼んでいます。三次元的にタワミを解放させてやり,板が弦から放たれた矢のごとく,腰の下を通過し,次のターンの捕らえに入って行く…このような滑りができる人の評価は最高のものになります。
 最高評価の技術は技術として,とりあえず,「スキーをしっかりたわみ続ける事」から始めましょう。(^I^)


9/26 (火) 曇り 
 
最終聖火ランナーがオリンピックで金メダルに輝いたのは初めて!かな?…。ともかく,アボリジニのフリーマンの400Mには感動しました!。陸上で最も過酷なレースと言われる400Mだけに,ゴールしてからウルウル状態でした。コメントで「ゴールした後,私の体にアボリジニのいろいろな人達が来てくれたのでしょう…」と言ってましたが…。意図して命名されたのではないと思いますが(スペルも多分違うでしょうが…),女性ですが「フリーマン」…Freeman=(奴隷でない)自由な人自由市民公民…とその偶然にちょっと驚いたのでした。アボリジニの過去に受けた不当な扱いを是正し,その地位向上を果たしたい…と言う彼女の願いが,このオリンピックという大舞台で,二度も強烈にアピールされました。オリンピックという舞台…いろんなことを私達の目の前に提示してくれます。私はチョット大げさかもしれませんが,このフリーマンの活躍を,20世紀から21世紀への強烈なメッセージと受け取りました。(^I^)
 さて,今日は「検定」の話題で,テーマは「大回りのポイント」です。今日は「2級の大回り」ということでお話しをしたいと思います。
 当たり前のことですが,検定員がどこを評価のポイントとして見ているかは,受験生の大きな関心事です。「ナニを見ているか?」が分かれば,それに合った演技,滑りがやりやすくなります。だいたいの検定は「大回り」種目を最初に行います。ここで会心の滑りができれば,その後の種目にも気が入ります。なんとしても気分良く滑りたい種目です。
 2級では「スキッディング要素」ということが歌われていますので,先ずこの意味をしっかり頭に入れて置くことです。「スキーの横滑り要素」を使ってターンするのがスキッディング,と考えれば間違いありません。横滑りですから,スキーのトップとテールの長さの差を利用した回転モーメントをしっかり意識することです。この時,スキーヤーが移動する方向とスキーの向きの間にできる「迎え角」が意識できていないと,状態が安定しません。胸の向きと上体の安定感,が先ず最初のポイントになります。
 「横滑りの幅の大小」も大事な要素です。これが大きければ除雪抵抗が大きくなり,低速になります。同じ横滑りでもこの幅が小さくできればよりハイスピードでできます。
技術の到達度,習熟度でポイントをつけるのですから,もし同じ横ズレ要素で滑って来ても,その幅の大小がポイント差となって現れます。同じ横滑り要素でやっているのに,なんで点数の差が出るの?という人はこのことを考えるみるべきです。結果として,同じ横ズレでも,幅が小さく,スピードのある滑りが評価が高い,ということになります。
 「運動のリズム」も大事です。ターン後半しっかりスキーをたわませ,エネルギーを貯える⇒そのエネルギーを解放させながら斜めの直滑降に入り,クロスオーバーさせる⇒次のターンの外スキーで抵抗を受けとめて行く…という,一連の流れをリズミカルに演技することです。2級では重心が上下にゆっくり動いても構いません。♪♪♪受けるゥー…貯めるゥー…放すゥー…♪♪♪というリズムを口ずさみながら行なうといいでしょう。
「口ずさみ」は不必要な緊張を取り去り,リラックスさせてくれ,体の運動リズムを作ってくれます。これは絶対のお薦めです!(^I^)
 実践種目の「コンフォート・パラレルターン」では,後半をカービング要素にしなくてはなりません。「カービング」というとギクッとする人が居ますが,2級でのカービングは,スキーをしっかりたわませ,迎え角をやや少なくして,横方向から受けていた抵抗を少しだけスキーのトップ方向に変えて滑るだけでOKです。ターン後半スキーがたわめば,一本のスキー板が円くなるので,スキーヤーの進行方向に対してトップ部分の雪の抵抗を受ける角度が,センター部分やテール部分より大きくなる…ということを利用して滑るわけです。詳しくは次回の「1級のカービング大回り」でお話ししますが,検定員は最高のカービングターンを要求はしません。要素としてスキッディングとカービングの違いを使い分けられるか?ということを見ているのです。
 次回は「1級のカービング大回り」…です。お楽しみに!(^I^)

9/25 (月) 晴れ 
 昨日は感動エキサイトの一日でした! こんなことに一喜一憂する自分が大人げ無く思われたり,いや,物事に感動できるって,素晴らしい事だと思ったり…。でも,素直に喜べる自分が好きです。ハイ!(^I^)
 さて,今日は昨日予定していた「検定」の話題で,テーマは”コンフォートターン”…。
 ほとんどの受験生が,「コンフォートターン」というこの言葉に惑わされていたようです。要は「スキッド&カーブ」のすべりなのですが,どこまでがスキッドでどこからカーブなのか?ということに迷っている人が多くいたようです。実はこれには明確なポイントが存在しません。その時々の斜面,滑走スピード…で変わるからです。
 例えば左ターンを考えてみます。右ターンの後半,胸の角度とスキーの間にあった迎え角によるネジレのエネルギーが角付けを外す事で解放され,クロスオーバーしてスキーが右方向に少し振り出されます。そしてこの後,右側面から雪の抵抗を受け始め,スキーの前後差によって左方向の回転モーメントが生まれ,スキーは左方向にターンし始めます。スピードが無い時は,この状況,つまりスキッディングの状態が続きます。しかし,スピードがある場合は,スキーが早い段階でタワミ始めますから,トップとテールの長さの差による前後差の回転モーメントよりも,外スキーの中にできる迎え角の違い,つまりカービング要素でのターンが始まることになります。
 もちろん,スキーをたわませる要素はスピードだけでなく,角付けの仕方や,雪質,スキーの性能…にも依りますから,これらが複合的に絡み合って,スキッディングからカービングに変わるタイミングが作られることになります。一概に,ここがその時期,という風に限定できません。ですから,なかなかカービングターンに入らない人も居ますし,クロスオーバーして直ぐにスキーがたわんでカービングターンに入る人も居ます。しかし,どちらも「スキッド&カーブ」,つまり「コンフォートターン」なのです。
 では,「コンフォートターン」での評価ですが,どちらが高い評価を受けるかといえば…。それは「早い時期にカービングに入れる人」です。…というのは,先シーズンからは,技術の到達度,習熟度でポイントをつけるように変更されたからです。2級受験者でも,素晴らしい「コンフォートターン」をすれば,ポイントは70,72…という風に高いポイントが与えられるのです。
 1級の「規定種目テスト」においても,課題は「コンフォート・パラレル」となっているけれど,もし受験者がスキッディング部分の少ない,ほとんどカービングの滑りができれば,評価は高くなる,ということになります。ただし,2級の「実践種目テスト」では,課題が「スキッディング要素のターン」となっていますから,カービングで滑れば評価は得られません。スキッディングという意味,スキーの前後差を利用し横ズレに乗って滑る,ということを理解し,滑る技能があるかどうか?を評価するのですから…。
 さて,次回は種目の中の「大回りターン」について…。
 ************************************************************
 皆さんが「検定」で常日頃思っておられること,疑問点など,ご遠慮無くおたずね下さい。お便りお待ちしています。
【TOK】への E−mail 


9/24 (日) 曇り 検定(コンフォートターン)
 昨日はサッカー残念でした。(=_=;) 結果は結果として選手の健闘を称えてあげたいと思います!(^I^)。女子水泳リレーは頑張りましたネ!。
 さて,今日は「検定」の話題で,テーマは”コンフォートターン”…。
 昨年度の新システム導入で大きくクローズアップされたのが「コンフォートターン」という名前の滑り方でした。ほとんどの受験生が,この言葉に惑わされていたようです。
 …とここまで書いて,今「シドニー」の女子マラソンが……
 優勝です! 高橋が金メダル!

 済みません! 今日はこの余韻に酔いたいので,UPは中止させてください!
 
やりましたネェー! (^I^) (^I^) (^I^)

9/23 (土) 雨 
 昨日は何か割り切れない気持ちでベッドに入りました。みなさんご存知の様に,柔道での「明らかな誤審判定」,が頭を離れなかったからです。(=_=;)。出場選手は全員,ジャッジの公平性,見る目の確かさを信じて競技します。そのジャッジの判定がいい加減なものだったら,競技そのものが成り立ちません。ジャッジの資質…について考えさせられ,また「柔道」というスポーツの「国際化」についても,少しだけ考えさせられたのでした…。
 そこで,今日のテーマは”検定におけるジャッジ”について…。
 柔道のジャッジ判定を見ていて,これと同じようなことが「基礎スキー技能テスト」,「基礎スキー検定」でも起こり得る…と感じました。というのは,ジャッジに信用がおけなくなったら,受験する意欲も,検定を行なう意味も無くなり,検定そのものが存在する必要が無い!…ということです。
 私の所属するスキースクールでは,検定部長がこのことをしっかり意識し,ジャッジの判定が適正に行われる様努めています。当然と言えば当然のことですが,検定員の資質を高め,見る目,見切る能力を確固たるものにしようと「目合わせ会」を年数会行なっています。どういう滑りをどう評価し,どういう滑りをどう評価しないか…ということを話し合い,合格レベルの目線が同じになるよう研修するのです。
 先シーズン,「検定システム」が大幅に改定され,検定方式が,それまでのやり方と大きく変わりました。「複数の検定員の合議制による判定」の割合が減り,「検定員個人の判定」が大幅に増えたのです。級別テスト「1級」では,個人検定員による判定が3種目,3人の合議制判定が2種目,ということになりました。つまり,「検定員一人一人の見切る目」がより重要になったのです。ということは,検定員一人一人が自分流の見方をしたのでは,検定員による差が出てしまい,適正な検定で無くなってしまう,ということです。
 このことは,特に大勢の方が受験されるスキースクールの検定に大きな影響を与えました。先ず検定員の数が従来より倍近く必要になりました。検定員が個人で判定する「実践種目講習テスト」と呼ばれる種目は3種目あり,最大で15名位の受験生を判定するのが限度です。受験生100人を越える検定では7名の検定員が,50人でも4人の検定員が必要となります。これら7人〜4人の検定員が同じ目で受験生の滑りを判定するのは至難の技です。しかし,検定での不公正さは許されません。各検定員が選択する斜面状況に差が出ないよう,また,同じ視点で滑りを評価するよう,それらを同じ条件で行なう様に努める必要があります。そこで,私の所属しているスキースクールでは新システム初年度でもあり,「巡回検定員」というシステムを採用しました。各検定員の視点や検定斜面選択に差が出ないかを見て周り,もしそれに差があるようであれば調整する,という役目です。12月,1月頃の検定ではどうしても検定員による差が出てしまうことがありました。その時は,その検定員と巡回検定員,主任検定員が話し合い調整を行いました。「巡回検定員」には検定の経験豊富な「A級検定員」があたりました。
 この様にして,先シーズン,検定を終えました。おかげさまで「新検定方式」に対する評価は高かったと自負しております。見定部長はじめ各検定員の「ジャッジに対する信頼確保」の努力は報われたと思います。(^I^)
 【TOK】も及ばずながら,検定員としてかなりの数,検定を担当させて頂きました。判定に差が出ないよう,見切る目をしっかり保つよう努めさせて頂きました。
 そこで,次回からは「検定における滑り」について【TOK】が思うこと,をお話ししたいと思います。乞うご期待!


9/22
 (金) 曇り 
 昨日は柔道の井上が金メダル。女子ソフトボールもメダル確定!。頂点にのぼりつめ,勝った選手の笑顔ってイイですね!(^I^)
 さて,きょうの話題は”満足感”。
 前回「マッチング」について考えてみました。その結果,良いマッチングができれば,私達は「気分良かったなぁー!」という爽快感を味わい,充実感を感じることになります。このマッチングの条件は,ひとそれぞれ違いますが,それぞれのレベルでの満足感を味わうことができます。
 この頃はいろんな指向を持ったスキーヤーが増えて来ました。スキー用具もそれに対応すべく,いろんなタイプのスキーを開発しています。「A」という板ではこういう経験ができるが,「B」という板では味わいにくい…,こういう滑りを経験したかったら「C」という板を使った方がイイ…。ということが現実のこととして起きています。また,スキー場選びも大事なポイントになりそうです。自分の目的に合った滑りを実現させてくれる斜面があり,雪の条件も合っているか?。指向の数が多くなり,それぞれが満足感を味わうには,その条件に適合した条件を選ぶことが必要になり,その選択肢は減ることになります。自分の求めるスキースタイルをしっかり把握し,用具やゲレンデ,はたまたスキー教師の選択に至るまで,それに合った選択をしないと,充分な”満足感”を経験することができない時代になりました。
 今年,これに関連し,興味ある「店」がOPENしそうです。「しそう…」というのはまだ確定ではなく,今その方法,手段を考えている段階だからです。その考えとは,スキー板に関することですが,「いろんなタイプのスキーを体験できるスタイル」のレンタルショップをやろう,というものです。その実現の為には,スキーメーカーの協力や,いろいろな板を使った時,その特性を引き出す為のノウハウを持った指導者の育成,が必要ですが…。特に「八方」という,斜面条件や自然条件に恵まれたスキー場で,この種の「店」がOPENするのは大歓迎です。ぜひその実現を願っています。
 今シーズンは,”スキーヤーそれぞれの指向に合った満足感,を味わっていただく為”,「いろいろなタイプのスキーを使う時の留意点について指導でき,楽しみ方を共に探れるようなスキー指導者」になりたいと思う【TOK】です。(^I^)


9/21 (木) 快晴 
 今朝も本当にイイ天気です! 本当にカラッとした秋晴れで心が明るく!(^I^)
 シドニーでの熱戦が続いています。昨日は「ベストをつくす!」という言葉が過ぎりました。負けて悔いない戦いをするには,ベストを尽くした!といえるほどに集中し,負けた相手を称えられるほどでないと…。さて,私はベストを尽くしているのかなぁー?(^I^)
 さて,今日も”マッチング”について…。
 前回は,合理性について考え,斜面や用具,スキーヤーの持つ能力と体力,それと指向がうまく合致しているかどうか?がその判断基準となることをお話ししました。つまり,滑る場所,使う用具,滑る人間の特性…この三つがうまくマッチした時,合理性が高くなるということでした。しかし,この要素…考えてみれば,時代々々で変わる要素を含んでいます。時代とともにこの三つは変化して行くのです。ですから私達教師がお教えする内容やその方法も時々刻々と変わって行って当然,いや変わらなければオカシイ…ということになります。合理性,という側面から見ても,技術やその指導法は変わり続ける要素を持っている,と言って良いでしょう。
 しかし,私がスキーを始めてから,変わらないことがあります。それは「スキーをしている時の気持ち良さ,快感」です。特にスキーが雪面をグリップし,雪から適度な圧が感じられ,ターンがコントロールされている時の快感は最高です!また,深雪でスキーがタワミ,身体の方向へ押し上げられる時の快感も堪えられません。この快感…「雪とスキーヤーとのマッチング」に他ならないのではないかと思うのです。与えられた情況に合致した滑りができたからこそ感じ得た喜びです。
 昨日 On Line Ski Class のレッスンの為,今年の技術選,「ジャンプ台での小回り」をじっくり見る機会がありました。その中で「雪とのマッチング」がしっかりできているプレーヤーほど,安定したイイ滑りをしているように見えました。急激なエッジングをしている人は,急激な解放になってしまい,ターン円弧のコントロールがイマイチでした。いわゆるマッチングができていない,と思われました。あの急斜面でもしっかり雪面をグリップできるポジショニング,抵抗の貯めと解放ができるということは,合わせること=マッチングできる技量がある,ということになります。腰の位置が上下に動くことは無く,脚の伸ばし方と腰方向への引きこみ方が絶妙で,圧を強弱が滑らかな分ターンが円く描けています。【Letスキー】の極意そのものだと認識したのでした。
 そうやって昨日のオリンピックを見てみると,いやいや,ありますあります!柔道にしても水泳にしても,体操でも…。相手の力とのマッチング,水を掻く時の水と手や足の動きとのマッチング,重心の移動に対する身体の運動のマッチング…。そういう視点で観ていたら,サッカー…みごとにやられました!ブラジルの選手の,日本選手後方から走って来ての見事なヘッディングでのマッチング!
 今シーズンは「マッチング」という言葉が使われそうな予感がします。特に【TOK】のレッスンでは!(^I^)


9/20
 (水) 快晴 
 今朝は本当にイイ天気です! 心がホントに明るくなるような秋晴れの白馬です。(^I^) シドニーでは滝本が金メダル!この滝本選手,他の柔道選手とは一風変わった試合態度のように見えました。どことなく落ち着きが無く,コチョコチョした試合風景の中で,彼の試合態度は落ち着き払っているように見えました。国際ルールの適用で,本来日本で培われた来た試合とは,だいぶ違うように感じていましたが,彼はどことなく堂々として見えました。
 さて,昨日の日記では,訳の分からないことを書いた様な気がしています。あれからまた少し考えてみました。
 生徒さんの滑りを見ると,「ああ,この人はココをこうすればもっと楽に滑れる」,「あの人はアソコをああすれば板が生き生きするだろう」…ということが,直ぐ頭に浮かびます。その人の滑りを,より無駄のない合理的なものにするには,どうしたら良いか?ということが分かるのです。つまり,「〜よりこちらの方が良い」,「〜よりこうすべきだ」という「比較」の問題として考えれば,「どちらが合理的か?」という視点で観ることができます。
 巧い選手の滑りを見る時,その状況々々に応じたスピードがあり,躍動感が感じられ,安定していて,いかにもそこにマッチした美しさが感じ取れます。Mさんが E-mail に書かれていましたが,「中道」という言葉で言い表せることかもしれません。
 こういう風に考えてみると,”合理性”はそれぞれの状況々々にマッチしているかどうか?という「マッチングの程度」,で推し測れる気がします。斜面や用具や肉体的能力がどうマッチし,生かし切った滑りができるか?ということです。与えられた斜面状況は同じでも,個々の持つ肉体的能力や用具が違えば,違った滑りに成り得るし,むしろなって当然!ということです。個々の持つ力や,用具までも含めた「個性」が,それぞれにとっての「合理的な滑り」を生み出すことになります。
 ここ数日お話しして来た「合理性」…チョット重いテーマでしたが,われわれ教師が,生徒さんの滑りを「何を基準に評価し,どうアドバイスすべきか?」ということを考える上で,非常に大事なことだと思います。
 日記に書き込み文にすることで,自分自身の考えをまとめる事ができた【TOK】デシタ。(^I^

9/19
 (火) 晴れ 
 連日シドニーから熱気が伝わって来ます。勝負ですから,勝者と敗者が出ます。これは仕方の無いことですが,勝ちに優る負けがある…という言葉を,敗れた人やチームに心の中で贈りながら観ている【TOK】です。(^I^)
 さて,ここ数日「スキーにおける合理性」とは?ということを考えてみました。なにも合理的でなくたっていいじゃないか?…と思う気持ちもありますが,でも,ひと様にレッスンをしてお金を頂く身となれば,これを無視するわけにはいきません。
 シドニーのオリンピックを見ていて感じたことがあります。同じスポーツでも道具を使うスポーツと使わないスポーツがある。そして道具を使うスポーツは,選手の肉体的な能力の優劣だけでなく,道具の優劣がおおきく勝負に影響を与えている…。…これって本当の勝負なのだろうか?
 スキーも「スキー板」,「ブーツ」,「ユニフォーム」などの用具で結果が大きく左右されるスポーツです。もし選手個人の技量の差や優劣を正確に測るのなら,同じ用具を使い,同じ条件で戦うのが公平なやり方です。
 「合理性」ということを考える時も,使う用具によってそのやり方や生かし方が違うんだったら,道具に左右されるような考え方や理論は,合理的では無いのではないだろうか?…と思ったりします。板や靴の性質や特徴に左右されない,基本的な考え方に基づく理論,があるとすれば,それを踏まえた「合理的なスキー」が存在するのかもしれません。カービングスキー重視のスキーレッスンは,そういう側面で考えると亜流なのかもしれない…と考えたりしてしまいました。
 一方,いろんな特徴を持った道具があって,「それを使っている人にだけ合理的なスキーレッスン」をすることが合理的なんだ!…という気もします。
 「じゃあ,もし生徒さんがいろんなタイプのスキーを履いていたら,どういうレッスンをするのが合理的?」…と聞かれたら…なんにも言えなくなってしまう…。
 みなさぁーん,教せぇーてぇー!
 ”合理性”を考えて,????の深みにはまっている【TOK】デシタ! (^I^)


9/18 (月) 晴れ 
 昨日のシドニー,野球は残念でした! サッカーは頑張りました! TVを見てばかりいられませんので,音声だけ聞いて仕事している【TOK】です。
 
さて,今日も”合理性”についてのお話しですが,テーマは「基礎スキー」につて…。
 要求される滑りによって「合理的かどうか?」の評価は少しづつ違う…ということをお話しして来ました。その中で,技術選を頂点とする,「チャンピオンスポーツ的」なスキーが存在します。「基礎スキー技術選手権」に代表される「技術を競う」ものです。これは明らかに一般スキーヤーが楽しみで行なうスキーとは異なっています。「チャンピオン」とは”One that wins first place or first prize in a competition”ということで,競技で優勝した人のことを言うのですが,スキーレースと似た「競う」,「比べる」という要素が入って来ます。AさんとBさんを比べればBさんが「巧い」とか「下手」だとかいう,「比較要素」が入って来るのです。そこで,この「競う要素」のあるスキーを「基礎スキー」,無いスキーを,仮に「一般スキー」と呼ぶことにします。この名称がイイかどうかは別問題として…。
 能力や技量を競うスキー,上手下手を比べるスキーでは,「高い評価を得るにはどうしたらいいか?」ということを考えなけらばなりません。他人よりも体力をつけ,運動能力を磨き,パワーのある用具を用い,他人ができないウルトラD難度の滑りをすることが必要になるのです。いま丁度,オーストライアではオリンピックが開催されています。タイムや能力を競いあっています。その中に「体操競技」があります。他人の技量以上の演技をしないと勝てません。サーカスのアクロバティックさを通り越した極限の演技が求められます。その為には日夜自分の身体を磨くことに専念しなくてはなりません。「スキー技術選」でも,多かれ少なかれ,このような側面を持っています。技術選で優勝しようとすれば,他人と同じレベルでの滑りではダメなのです。
 「レーススキー」ではタイムが全てです。「基礎スキー」では何でしょう?スピード?躍動感?安定性?美しさ?…どれも大事な要素です。これらの要素を状況に合った形でどう表現するか,アピールするかが問われます。プレーヤーの肉体的な特徴,個性も大事な要素となります。
 技術選を頂点とするスキーが「基礎スキー」という考え方をすれば,「基礎スキー」とは,このように「他人に無いもの,他人より優れたもの」を見せることが必要になります。1級を越えた,テクニカル,クラウンの技能テストでも,このことは言えると思います。
 つまり,ここで言う「基礎スキー」の合理性は,「落下運動を基本とし,用具の特性を生かし,安全に滑る…」という「一般スキー」とは大きく異なり,「肉体的な能力」を含めたものになってくるのです。大げさに言えば「誰にでもできる」滑りでは無く,特別なトレーニング,訓練をし,クリアした人のみが到達し得る領域の滑り…と言えるかもしれません。これはこれで「基礎スキー」における”合理性”といえるでしょう。個々の持つ「肉体的能力」を含め勘案した上に成り立つ「合理性」なのです。
                          ********************
 前回の「躍動感」以来,スキー指導って何なんだろう…?と今一度考えてみました。今回の「合理性」はその延長線で思ったことです。レッスンでは,いつも,「オレの教えていることが,理屈に合っているかどうか?合理的か?」を常に思っていましたから…。
 そして思いました…,今言われている「基礎スキー」って本当に基礎なんだろうか?「基礎」という名前をつけるなら,「土台」であるべきです。レースだろうが技術選だろうが,楽しみのスキーだろうが,スキーというスポーツに「共通の土台」であるべきです。「基礎スキー」と呼ばれる合理性は「基礎スキー」には無いんじゃないか?
 「基礎」は「上から下に落ちる力を使う」ということに他ならない…「指導の基本は落下運動」と確信した【TOK】デシタ!。(^I^)


9/17
 (日) 曇り 
 昨日,オリンピックでの金2個,銀1個は感激モノでした!。簡単に感動してしまうタチの【TOK】ですが,あの,勝負にかける気迫と,戦いを終えた時の開放感…,勝った喜びと負けた悔しさ…,スポーツ好きな私はつい画面に見入ってしまうのです。(^I^)
 さて,今日の話題も”合理性”について…。
 合理的か?そうでないか?を判断する時,その目的や指向によってその見方が違ってくる…というお話しを前回いたしました。スキーは指向のタイプとして「競技スキー」と「基礎スキー」という分け方をします。しかし,前回もお話ししたように,一般スキーヤーの滑り方は,技術選での滑りを頂点と考えている「基礎スキー」とは少し違った側面を持っているように思います。
「老若男女誰にでもできる,生涯スポーツとしてのスキー」をとりあえず「一般スキー」と呼ぶことにし,今日はこの「一般スキー」の合理性について考えてみます。
 先ず前提条件として「特別設定の斜面ではなく,自然な条件のフィールドを,楽しみで滑ることが目的の人」で,「スキーをする為に特別な肉体的トレーニングをしていない人」であること,また「特別仕様のスキー用具ではなく,普通のスポーツショップで買える用具を使用している」こと…,が挙げられます。
 このようなスキーヤーにとっての合理性は「物理的な落下運動を素直にターンに利用しているか?」
,「スキーの形状、長さや幅、サイドカーブ、ビンディングの取り付け位置、スキーブーツの硬さ、前傾角、カント角…などスキー用具の特性を生かしているか?」,「アクロバティックでなく,安全性が確保できているか?」…という側面から推し測ることになります。
 イチバン先に考えるべきことは「落下運動」ということです。スキーというスポーツの特性と言ってイイかもしれません。高い所から低い所へ滑り降りる,という大原則に沿っているかどうか?が合理性に合致しているか否か,の分かれ目になります。技術的な組み立ては,この「落下運動をどう利用するか?」を基本にすべきです。そしてさらに,楽しみの幅を狭めないこと,肉体的なハンディを克服できること,いろいろな斜面を楽しめること,より高度な技術修得のための基本となること,…を考えることも大事です。
 よく「1級とテクニカルの違いは何ですか?」と聞かれることがありますが,私はこの「一般スキー」の頂点に位置するのが1級…という風に思っています。歳や性別などの,肉体的ハンディに関係無く到達できる,最高の滑り方です。「楽に,楽しく,安全に…」がモットーになり,リクリエーションとしてのスキー,健康作りの一環ともなるスキーとも言えます。【Letスキー】がその基本となるべきグループです。
 テクニカルレベルは,よりハードな運動やスピードに耐えられるよう,肉体造りをある程度行なう必要があると考えます。【Letスキー】の基本をしっかり身につけたうえで,場面によっては自ら積極的に働きかける【Doスキー】で滑る事も要求されます。
 1級とテク・クラの違い…ということを考えると,その”合理性”の違いも少しづつ見えてきます。次回は「テク・クラから技術選に至るスキーヤーにとっての合理性」について考えてみたいと思います。


9/16 (土) 曇り 
 昨日シドニーオリンピックが開しました。オリンピックについては,いろいろなご意見をお持ちの方がおられますが,私は経費を掛け過ぎないで,という条件付で賛成です。昨日,開会式を見ていて,オーストラリアの原住民アボリジニの人達の取り上げ方に感動しました。過去の不当な扱いを認め,互いの文化を尊重しながらオーストラリアを造って行く,という白人側の反省が全面に出ているようで,これもオリンピックの「功」の部分かな?と思ったのでした。南北朝鮮の合同入場も,素直に「良かったなぁー」と思いました。さて,競技が始まったようです。どんな感動に遭えるでしょうか?(^I^)
 さて,今日のテーマは”合理性”について…。
 以前に一度
”合理的なスキー”についてお話しした事がありますが,今日はそれを少し掘り下げて考えてみたいと思います。
 
スキーを本当に楽しんだり,指導したりする時,考えなければならないことはいろいろあります。しかし合理性を考える時に大事なことは「目的,指向」をはっきりさせることです。どういうスキーをやりたいのか,どういう風に楽しみたいのか?という指向や目的をじっくり考えてみることです。「合理的なスキー」というのも,目標や目的が先ずあって,それに対して合理性があるかどうか?が問われることになります。特に「競技スキー指向」なのか,「基礎スキー指向」なのか?はたまた「一般スキー」なのか?は,何が合理的か?ということを考える時にに大きく影響します。ここで敢えて「基礎スキー」と「一般スキー」を分けてみました。「技術選」を頂点とするスキーは,われわれ一般のスキーヤーが楽しみで行なう意味でのスキーとは少し違うように思うからです。
 タイムを競う競技では「自然条件」の他に「体力的条件」と「用具の改革」が大きく影響することになります。「身体作り如何」によって,一刻も速く滑り降りる為の「物理的理論」も,また「用具の特性」も,それぞれ異なったものになります。身体の特徴,能力が新しい理論を生み出し,用具の性質を変えて行く,と言うこともできます。また「用具の改革」が選手の「身体作りを要求する」こともあります。用具の特性をより引き出す為,身体の能力をそれに合うように変えざるを得ない,という側面も出てくるのです。
 このように,千分の一秒を競うレースの世界では,その合理性も,わたし達一般スキーヤーのそれとは大きく違っています。競技スキーの「少しでも速く!」という大目的の合理性は,「老若男女誰にでもできる,生涯スポーツとしてのスキー」の合理性とはあきらかに異なるのです。
 わたしは,生意気なようですが,スキーレッスンでは「何が合理的か?」ということを,常に考えながら指導するようにしています。そして思うのです。少なくとも1級レベルまでのスキー技術は,「老若男女誰にでもできる,生涯スポーツとしてのスキー」の合理性に合致したものではないかと…。



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