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スキー道 』 入門 (スキー心理学)

by ”Dr.N”

  このページは 『 スキー道入門 』 と名付けました。
スキーというスポーツの持つ特性の内 『 精神的な高揚,癒し,心理学的な効果 』について共に考えるページです。
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皆さんからのご意見をベースにして作り上げて行きたいと思いますので,興味のある方はぜひ E-mail
でご意見をお寄せください。
尚,このページへのご意見や,ご質問の E-mail の内容は一部リライトして「ご質問」という形で掲載いたしますことをご了解ください。
このページは On Line Ski Class の特別講師 ”Dr.N”が担当いたしますが,記載事項についてのご理解上の責任は負いかねますのでご了承ください。

スキー道           Contents

・ File No.0030 スキーの原点とは?!Part1   現在の日本のスキースポーツのあり方を問う…       (03/05/2003UP)  
・ File No.0029 知足者富   物事の加減(適度)を知る日常生活の中でも大切       (01/22/2003UP)  
・ File No.0028 自然とスポーツ   スキーや乗馬などには生存の根本部分が…           (10/19/2002UP)  
・ File No.0027 三分法   「三分法」… スキーの「ころあい」は?               (10/01/2002UP)  
・ File No.0026 スキーと武道の共通点・・?   武道と【Letスキー】に共通点はあるか?              (08/28/2002UP)
・ File No.0025 イメージ   ある種のイメージによって固定観念が打破できれば…  (05/16/2002UP)
・ File No.0024 リフトの効用 No.2   もしその老木が言葉を発する事が出来たなら…        (04/08/2002UP)
・ File No.0023 リフトの効用   “スキー”を愛する私達は…とんでもない経験をしている… (03/26/2002UP)
・ File No.0022 心の持ちよう      心の持ちようで世界が違って見える…                  (02/17/2002UP)
・ File No.0021 合格の時を待つ   その時が来るまではひらすら精進を重ね…待つ       (02/06/2002UP)
 ・ File No.0020  人生における区切り目とは…   自分自身の中の時間と節目                           (01/11/2002UP)
 ・ File No.0019   ・どうにもならんさ…   時には…どうにもならんさ…で乗り切る                   (12/22/2001UP)
 ・ File No.0018   ・どうにかなるさ…   どうにかなるさ…で乗り切る                              (12/06/2001UP)
 ・ File No.0017   ・「中道スキー No.3」   感じる事、感じさせられる事。
 ・ File No.0016   ・「中道スキー No.2」   普段の生活における「中道」
 ・ File No.0015   ・「中道スキー」   “ころあい”…について
 ・ File No.0014   ・「消費社会と欲望 その3」   モンゴル病とテーマパーク
  ・ File No.0013   ・「消費社会と欲望 その2」    高原を掛ける馬
 ・ File No.0012   ・「消費社会と欲望 その1」   生きることと文明
 ・ File No.0011   ・「プラナ・ヤマ」 bS    まとめ   肉体⇒精神・神経・脳⇒意識・心・自我
 ・ File No.0010   ・「プラナ・ヤマ」bR   精神集中とリラックス   『 フリーダイビングの場合 』
 ・ File No.0009   ・「プラナ・ヤマ」bQ      本能
 ・ File No.0008   ・「プラナ・ヤマ」   メンタルトレーニングの到達目標
 ・ File No.0007 

 ・心の持ちよう…

  気持ちの持ちようで変わる生活の充実感

 ・ File No.0006   ・メンタルトレーニング(bR)   実際のイメージトレーニング
 ・ File No.0005   ・メンタルトレーニング(bQ)   自己分析
 ・ File No.0004   ・メンタルトレーニング(bP)   自律神経訓練法
 ・ File No.0003   ・ 『 スキー道 』 …   皆さんからのご意見
 ・ File No.0002   ・”I” さんからのお便り…   “ あがり” について…
 ・ File No.0001   ・ 『 スキー道 』                 “スキー道”って?
 

『 スキー道 』とは?

 こんにちは。始めまして、Dr.Nです。
 これからTOK先生や皆さんと一緒に、精神面からスキーについて考えて行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 先月、TOK先生の日記の中に出てきたように、スキーにはいろんな楽しみ方があります。純粋に楽しむレジャーであったり、家族や友人とのコミュニケーションの手段であったり、検定合格を目指したり、家計の一部を支える生活の手段であったり、その取り組み方は人それぞれであり、それぞれ素晴らしい事だと思います。
 「スキー道」とはその取り組み方のひとつだと思うのです。TOK先生のHPに良く来られる方は、恐らくスキーを「スキー道」として取り組まれている方が多いんじゃないかと思います。(もちろん私もそのうちの一人です)
 皆さんはこんな経験はないでしょうか?会社の上司や同僚から「また、今週もスキーか。遊び過ぎ!!」と言われ、その「遊び」という言葉に対して素直にうなずけなかった・・・。当然、給料をもらいに行っているのではないので仕事ではありませんが・・(仕事以上の場合もあります)私には自分の活動が「単純な遊び」だとは到底思えないのです。
 ある日、知人とスキーに行き、その帰り道、いつもの場所で渋滞に巻き込まれた時の事です。毎度の長時間の運転は慣れっこで、話題は夏のスキートレーニングから過去のスキーの思い出話へと尽きる事はありませんでした。
 その時、ふとこんな思いが頭をよぎりました。夏、猛暑の中ひたすらトレーニングに励み、冬は冬で渋滞に巻き込まれながら夜を徹して運転をし、早朝にスキー場に到着。仮眠を取って1番リフトを目指す。休息はリフトの上で行い、昼食は車の中。最終リフトまでしぶとく粘り、休む間もなく、渋滞に巻き込まれながらの帰りの運転。帰宅は深夜を過ぎ、翌日は会社。これを毎週のように繰り返す。そして、このような生活が数年の間続いている。こんな生活が楽しいのかな?こんなスキーに女性は誘えないな・・・
 このように考えると悲壮感だけが漂いますが、我々は苦行僧でもありませんし自分を痛めつけて喜んでいる変質者でもありません。(会社の同僚からは変質者扱いでも・・) 良く晴れた日の誰もいないゲレンデで、全てが決まったスーパーな滑りを1本!それで全ての苦労が報われるのです。そしてまたその1本の為に努力をするのです。
 我々のスキーは単なるレジャーではない、遊びと言う尺度で測る事は出来ない・・・。私はその考えを知人に話しました。すると、知人から「それは”スキー道”じゃないですかね?」という答えが返ってきました。剣道、柔道・・武道。何かの真理を求めそれを追究すれば、おのずとそこに「道」が生まれる。そして、そこに技術的向上のみならず精神的向上(自分の精神的成長や礼節・マナーの厳守)を伴うのならば、それはまさしく「スキー道」に他ならない。渋滞の眠気を吹き飛ばす熱い議論の末、我々はそういう結論に達しました。
 その後、その話をTOK先生にメールでしたところ、「川上哲治氏の野球道」の話を返事で頂きました。先生に共感していただいた事で、私の中の「スキー道」という概念は信念に近づいたのでありました・・・。
 しかし、あれですね「スキーに良く行くから女の子をいっぱいナンパできるでしょう」なんて言う方が多いですが、スキーをそういう目で見るのはやめてほしいですね。私は異性に目もくれずに練習してるんですから・・・でもそんなこと言うとTOK先生に怒られそうですけどね。「もっと美しいものにも目を向けなさい」って・・

それでは皆さんのご意見をお待ちしております。


※  『 スキー道 』 …皆さんからのご意見…


【TOK】から…

2001/06/08

 ”Dr.N”さん,Openおめでとうございます!
  『 スキー道 』 …私もこれまで心の中でずーっと考えてきた事です。
 私が小さい頃あこがれた野球の神様と言われた”川上哲治”という人が居ます。皆さんの中には良くご存知の方もおられると思いますが…。その人が,「”野球”というスポーツを通じて 『 人格形成 』ができるし 『 精神的鍛錬 』もできる。その領域にまで達しないと本当に”野球を知った”とは言えないのではないか?」…ということを述べておられました。
 これを 『 スキー 』に置き換えてみたらどうなるか?これがいつもスキーをする時,私の心の中にありました。今回”Dr.N”さんを迎えて,このようなことを皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。
 ぜひ皆さんのご意見もいただいて, 素晴らしいページに育てて欲しいと思います。
 ”Dr.N”さん,ご苦労様ですが,よろしくお願い致します。(^I^)


 ”I” さんから…

2001/06/13

 こんにちは ”I” と申します。…いつもTOK先生のサイト楽しく拝見させて頂いています。
 さて今回、スキー道入門というコーナーができましたね。早速、拝見しましたが、共感するものがありメールしました。
 精神面からスキーを考える…、技術的向上のみならず精神的向上を! まあ私としては、長年スキーを続けてきた中でイロイロとありました。(人との出会い、スキーの上達etc…)つたない経験ではありますが、精神的にも成長させてくれたスキー!今も楽しくて仕方がないんです。
 とまあ共感した事を書き綴るよりも、精神面からスキーを!という事で問題提起をひとつ。私の経験上の問題でもあるのですが、いわゆる「あがり」についてです。特に検定の時のプレッシャー!喉が渇き、心臓バクバク、眩暈がー!滑りはじめても何がどうなっているのか訳わからん状態!これって日常的には経験したこと無い、極度の緊張ですよね。(今、思い出しましたが自動車免許の仮免、これで落ちた!?)紆余曲折を経て、今なんとか1級所持…準指、テクニカル等興味あれど、この問題がー…。人前で演技することに慣れてない…精神的に弱い… 技術が未熟…要因は様々でしょうが、スキー道的にはどのように考える問題でしょうか?

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”Dr.N” から…
 あがり対策について論じる前に、まずは普段の練習で検定に求められる滑りがどこまでできているか?という事が問題になります。本番に強く普段の実力以上の力を出す人もまれにはいますが、私Dr.Nの経験ですと、レベルにもよりますが10本中8、9本ぐらい上手く滑れれば合格圏内だと思います。もちろん、合格圏内でなくても場慣れするためにどんどん検定にチャレンジしましょう。(お金がかかるんだな〜これが・・)
 その為にも、十分に練習をして実力と自信をつけることが大切です。まずは方向性を間違えない様にTOK先生のメソッドを良く理解して、雑誌に書かれている技術選のトップ選手の技術解説なんか無視しましょう。そしてオフのトレーニングはDr.K氏のコーナーを十分に活用しましょう。(笑)
 さて、「あがり」の状態ですが、スキーに限らず嫌なものですね。私Dr.Nは人前でしゃべるのが大嫌いです。しかし、回りの人から見ると「とても落ち着いていたよ」なんて言われる事が時々あります。検定中、落ち着いている見える人だって、結構緊張してるんじゃないでしょうかねぇ?
 問題は過度の緊張によって、普段は合格圏内の滑りをしているにもかかわらず、本番で実力を発揮できない・・という事です。私Dr.Nも良く経験しました。(実力が伴ってなかった・・という声があちこちから聞こえそうですが)私の場合、滑りのダイレクトさが感じられず、ふわふわ浮いているようなエッジングの感触がある時は要注意です。普段何気なくはめているバインディングが上手くはまらない・・何て事もありました。
 こんな時、自分の頭の中はどうなっているのでしょうか?集中して物事ができる時の脳内部は、A−6やA−10といった神経がβエンドルフィン系やドーパミンといった脳内物質の分泌により刺激され活性化された状態にあります。その時、脳波の状態はα波が優勢になっています。「あがり」とはノルアドレナリン等のホルモンが体内に過度に分泌され、その影響でβ波が優勢になりα波が劣勢になった状態です。「あがり」をなくすには、いかにβ波の増大を押さえるかが課題と言えます。
 「あがり」を押さえる具体的なエクササイズは今後2・3回に分けて紹介したいと思いますが、
今回はまず、物事の捕らえ方から論じてみたいと思います。
 「空」という言葉があります。”色即是空”の空です。仏教用語なのですが、(私は宗教関係者ではありません。あしからず)。色即是空とは「物事の実態は全て空である」という意味です。ここで言う「空」とは、空っぽで何も無い・・という事を表しているのではなく「物事には実体が無い」という本来の意味があります。もちろん心の中を空っぽにして検定に望むのは非常に良い事です。
 「物事には実体が無い・・」これはいったいどういったことか?と言うと、人間は「観念」によって
縛られ生活しているという事です。心理学で、描かれた模様を見て何に見えるか?というテストがあります。ある時はそれが羽を広げている鳥に見えたり、怒っている人の顔に見えたり・・・一つの絵の向きを変えてみるとさまざまな物に見えてきます。この様に、人間はその時の心理状態や体調などに影響された「観念」で物事を見ているのです。
 「人間万事塞翁が馬」と言うことわざがありますが、まさしくこれは色即是空を意味したことわざではないかと思います。良いと思われる事がほんとに良いのか?悪いと思われる事が本当に悪いのか?実際、負けから学ぶ事は非常に多いし、負けから何も学ばなかった時、それは真の失敗となるでしょう。人生という長いスパンで見ると、
試合で負けても真の勝者となり得るのは、柔道の田村選手の例をとっても明らかです。物事は取り様によって変わる=実体が無いという事です。
 それを検定やレースに当てはめて考えると、まずは「本番」だという「物の見方」を捨てるべきだという事です。(実際、本番には違いないのですが・・・)。考えてみてください。練習も本番も同じスキーをする事に何ら変わりはないはずです。私たちは、それを「観念」によって「違うもの」と位置付けてしまっているのです。もっと簡単に言うと「普段通りの滑りをせよ」と言う事になります。これができないから困ってるんでが、そんな時は「これは本番に向けた練習なんだ!」と思い込む方法が効果的です。「今まさに、自分は本番さながらの練習を行っている。今回の失敗は次回のデータ取りになる。積極的に検定に望もう・・・」と自分に言い聞かせるのです。逆に、練習時にただ漠然と滑っていては何にもなりません。バーンの斜度。天候、時期による雪の状況。曜日、時間帯による雪面の荒れ方の変化等を普段から注意深く観察する習慣をつけておいて、検定時に次回へのデータ取りとしてそれを行うのです。つまり、練習中は本番を想定して練習し、本番中は練習を意識して緊張をほぐす。このようなトレーニングをを繰り返す事により、練習と本番の垣根を少しづづ取り去る事ができます。これはオフ間にトレーニングする事もできます。会社の朝礼の3分間スピーチなどで緊張してしまう場合は応用して試してみてください。
 とは言うものの、緊張で頭の中が真っ白になって、これらを思いだす事もできなかった、という事もあります。
 次回からは、実際のエクササイズやイメージトレーニングについて書いてみたいと思います。

(2001/06/13)

 
メンタルトレーニング … そのT… 「自律神経訓練法」
by ”Dr.N”  2001/06/20

 梅雨の中、皆さんいかがお過ごしでしょうか?オフトレは順調に進んでいますか?私はオフ活動であるレーシングカートとフリーダイビング(素潜り)が忙しくなってきました。
 さて、トレーニングと言うと肉体的に鍛える事は容易に想像がつくと思いますが、この際、精神面もオフの間に鍛えてみようではありませんか。しかし、精神を鍛えるというのは非常に時間がかかります。いわゆる悟りの境地に至るのは大変な事ですね。
スキーの為に始めたのにスキーをやる暇がなくなってしまうかもしれません・・・。しかし、そこまでやらなくても、時間をかけてじっくりトレーニングすればそれなりの効果は期待できると思います。まずはベーシックな所から・・。

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「自律神経訓練法」
 このエクササイズをご存知の方は多いんじゃないかと思います。
 自律神経とは簡単に言ってしまえば、読んで字の如く、人間の意志ではコントロール出来ない運動をつかさどる神経の事です。心臓や腸の動きなどは自分の意思ではどうにも出来ませんね。(呼吸は意識的・無意識的の両面がある) その自律神経には興奮をつかさどる「交感神経」とそれを押さえる「副交感神経」があります。通常、交感神経が活発に働くと自然に副交感神経が働いてバランスを取るようになっているのですが、この両者のバランスが崩れた時、つまり交感神経の方が優勢になり過ぎると、心拍数の増大、呼吸が乱れ、手足の振るえ、冷や汗、等のいわゆる「あがり」の症状が出てきます。つまり、交感神経と副交感神経のバランスを取りやすくする為に副交感神経を強化しようというのがこのエクササイズです。

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 就寝前の時間などを利用してやってみましょう。仰向けに寝転がってリラックスした状態で、下記の内容で順番に自己暗示をかけてゆきます。
 1.手足が重たい。
 2.手足が暖かい。
 3.心臓が静かに脈打っている。
 4.楽に息をしている
 5.胃の辺りが温かい。6.額が涼しい
 細かい注意点は専門書に譲るとして、私Dr.Nが気を付けている点や気づいた点を書いてみますので参考にして下さい。(あくまで参考としての個人的な内容です。あしからず)

・各項目を意識する時間。始めのうちは意識(手足が重い・・とか)が芽生えるまで続ける必要がありますが慣れてきた場合でも、各項目を1分以上は意識した方が良いと思います。

・寝転がった時に本当にリラックスしているか?人間は無意識のうちのどこかに力が入っているものです。私の場合はあごや眼の奥の筋肉に必ず力が入っています。また、肩こりがある人は無意識に肩の筋肉が力んでしまってる事が多いようです。

・手足が重いという意識。手足の力が抜けていれば自然に重いと感じられるはずです。

・手足が暖かいという意識。自己暗示というだけでなく、実際に血流量の増大が認められ皮膚温度が上がるそうです。

・心臓が静かに脈打っている。リラックス前の心拍数を必ず計っておきます。エクササイズの後では必ず心拍数が落ちるはずです。私の場合は安静時は60回/分になります。

・楽に息をしている。”楽”を意識する事も大切ですが、ここではゆっくりと深く呼吸するようにして下さい。私たちの普段の呼吸がとても浅い事を実感できるはずです。私の場合、ゆっくり吸って5〜10秒、いっぱいまで吸いきった所で10秒(心拍10回)息を止めます。ゆっくり吐ききるまで15〜20秒。
これを心拍にあわせて行っています。

・胃の辺りが暖かい。実感しにくい時は手を当るようにしています

・額が涼しい。私の場合、実感しにくい時は、ゆっくり息を吸う時に、吸った空気を鼻空から眉の間を抜けて脳に吸い上げるような意識をします。スーッとした感触がおでこの部分に広がります。

 また、精神的トレーニングの効果を、機器によって確認しながら行う「フィードバックトレーニング」というものがあります。本来であれば脳波計などが必要なのですが、そこまでしなくても心拍計を購入してエクササイズの最中に確認しながらやってみて下さい。心拍数が落ち着いてゆくのが数値として確認できるはずです。つまり、どれだけやればどれだけ効果があるのかを認識するわけです。

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 これらを毎日のように繰り返していると、そのうち、すぐに全てを意識できるようになります。そして、ここからがスキーと関係してくるのですが、このリラックスした状態をいろんな場所で短時間に作れるようにトレーニングして行きます。会社の休み時間や電車の中などです。
 当然、朝の朝礼の3分間スピーチなどで上がってしまう人は、スキーへのシュミレーションとして応用して下さい。必ず効果があるはずなので、じっくりと時間をかけて行ってみてください。

 次回は「自律神経訓練法」を土台にイメージトレーニングの方へ話題を進めたいと思います。

(2001/06/20)

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メンタルトレーニング … そのU… 「自己分析
by ”Dr.N” (2001/07/02)

 最近、梅雨の晴れ間の空気が湿っぽくなってきた事に気が付かれましたか?
 ついこないだまでは大陸の高気圧の影響でからっとしてたんですが、ここの所、太平洋高気圧の影響でしめっぽいですね。夏が近づいている証拠ですね。
 さてさて、イメージトレーニングの計り知れない効果について、私Dr.Nが今さら書く必要もありません。その効果については皆さんも十分ご存知でしょう。しかし、同じ行うにしても、ただ漠然と滑りをイメージするのではなく、ある技法を使えば「より鮮明なイメージ」が作れて効果も上がります。これから紹介するのはその一例です。
 今回は「自己分析」がテーマです。以前、あるスキー雑誌で紹介されていた技法を中心に紹介します。S大学のT教授の研究によるもので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

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「自己分析」
  
まずは滑りのイメージを作り上げる方法です。滑走中のイメージをうまく思い浮かべる事が来ない方も中にはいらっしゃると思いますが、そういう方は、まず頭の中に画用紙を思い浮かべて、そこにマジックなどで単純な模様を描く事をイメージをしてみてください。(画用紙がイメージできない人は・・まず画用紙を見てから眼を閉じて下さい)
  次は、その単純なイメージを少しずつ複雑に描いて行きます。
  ○から□、人の輪郭から、最後にはスキーヤーのシルエットが描けるようになればしめたものです。そのシルエットに今度は色を着け行き、カラー画像にします。もちろんそれが自分の姿であれば言う事はありません。最後はそのカラー画像を頭の中で動かして行きます。(この場合、前姿、後姿どちらでも良いと思います)どうもカラーでイメージ出来ない・・という場合もあるでしょうが、それにこだわる必要はありません。あくまでメージを強くする為の技法である事を理解しておいて下さい。

  さて、次の段階では実際に自分が滑っているイメージを作り上げて行くわけですが、自己の滑りのイメージも、自分が滑りながら目で見た映像を思い浮かべるパターンと、自分の姿を第3者的立場で後ろから見ている画像を思い浮かべるパターンの2種類があります。どちらが良いかは私には判断できませんが、自分のやりやすい方法で滑りをイメージされると良いと思います。また、イメージその物も、絶対にカラー画像でなければならないと言う事もありません。私の場合、滑りのイメージが自分ではなく、のび太君の場合もありますので・・。
  次に、自分のイメージの基本となる滑りを、下記の要領で過去の記憶から見つけ出してください。過去の滑りの中で「最高のプレイ」だったもの、「最悪のプレイ」だったものを紙に書き出して自己分析します。その項目は次のようなものです。

   1.場所。2.体調。3.心理状況。4.運動感覚。5.自分の姿。6.聴覚。7.視覚。8.色彩。

  思い出す滑りの記憶は、短時間で結構です。1本の滑りを可能な限り鮮明に思い出してください。この場合、滑りの種目はロングでもショートでもどちらでも結構です。短時間でも鮮明に思い出す事が重要です。また、可能な限り周りの状況(雪質、風景、温度、風、音etc..)も思い出してください。

  これだけでは何の事かわかりにくいので、例として私Dr.Nの自己分析を書いてみました。
最高のプレイ
1.場所:地元Oスキー場、平日のゲレンデ。雪がなくなりかけた春スキー。ざらめ雪。
     とても穏やかな日和で風は少し冷たかった。BGMもなくのんびり。遠くの山並みを
     滑る直前に眺めた。青空に少しだけ雲がかかっていた。お昼前11時半ぐらい。
2.体調:軽くて動きに切れがある 
3.心理状況:斜度に向かって行く、強気。
4.運動感覚:身体がスキーより前にある感じ。全ての流れがスローに感じる
5.自分の姿:滑りに力強さがあった。 
6.聴覚:エッジングの音、風を切る音。
7.視覚:直視しなくても、滑りながら下にあるレストハウスが意識できた。 
8.色彩:スカイブルーの空、春スキーの晴天。

最悪のプレイ
1.場所:地元Sスキー場、日曜日の込み合ったゲレンデ。検定の最中に客と接触した。
     時間は2時から3時の間。BGMがうるさくガシャガシャした感じ。
     ざらめでぐしゃぐしゃの雪。雪が汚く見えた。
2.体調:重い、動きに切れがない。 
3.心理状況:混み合ったゲレンデのお客が気になる。荒れてきた斜面が気になる。
4.運動感覚:斜面のギャップが迫ってくる様な感じ。スキーが先にあって体が遅れているような感じ。
5.自分の姿:エッジの感触がなく、ふわふわと浮いてるような感じ。
6.聴覚:無音?記憶なし。
7.視覚:斜面のギャップしか覚えていない 
8.色彩:赤っ恥の赤。午後の光がまぶしい。

 これらの滑りを鮮明に思い出せる場合は、自然にカラー画像のイメージが出来上がっていると思います。この「最高のプレイ」の記憶をイメージトレーニングに利用して行くわけです。基礎スキーの場合、各種目の「最高のプレイ」のイメージがあれば理想的ですね。

  また、T教授は心の色という事にも着目されています(8.色彩と言うやつです)
  教授によると、頭の中の色のイメージが赤色の時は、脳波のβ波が優勢で興奮状態。逆に頭の中の
色のイメージがスカイブルーの時はα波が優勢でリラックスた状態という事です。波長の短い青系の色と脳波のα波が同調しやすいと言う理由もあるそうで、これは統計に基づいた研究結果だそうです。闘牛ではありませんが、赤い色を見るとβ波が優勢になり青い色を見せられるとα波が優勢となり心が落ち着く・・・そんな傾向があるという事でしょうか?なんとなくわかるような気がしますね。

  ですから、試合などで「あがり」の状態になった時は、まず頭の中にグレーを思い浮かべてクリアな状態にして、それからスカイブルーを思い浮かべると、落ち着いてプレイできるそうです。この方法は実際に試合などに応用されていて、その効果は実証済みとか・・。また、選手にキャンバスを青色の絵の具で塗る作業を経験させる事によって、頭の中の色をより強くイメージする事ができるようになるそうです。

  そう考えると、検定で上がってしまう人はブルー系のウェアにブルーの板という組み合わせが良いのかもしれませんね。(赤色そのものが悪いと言うわけではなく、あくまで「あがり」と言う点においてです) ちなみに私Dr.Nはプライベートでは青紺系のウェアーを着用しています。どうも私は昔から赤が相性が悪いようで・・・(どこかのスキー場のスクールカラーは赤でしたよね〜)でも昔2級を取った時は赤の板だったなぁ〜。

(2001/07/02)

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メンタルトレーニング … そのV… 「実際のイメージトレーニング」
by ”Dr.N” (2001/07/09)

  いやー、暑いですね!!本当にたまりません。しかし、心の中のイメージは真冬のゲレンデですよ。
 教師日記に紹介されていたSさんの様に、α波一杯でこの夏を乗り切りましょう。

 さてさて、今回は前回までの内容を利用しながら、実際のイメージトレーニングへと話をすすめます。
 本日紹介する内容は、あくまで私Dr.Nの事例を参考として紹介するものです。これを一例として皆さんに合ったMyイメージトレーニングを考案してくださいね。

 「あがりへの対処法」では試合に対する心構え、考え方を書きました。
 メンタルトレーニング1では「自律神経訓練法」,メンタルトレーニング2では「自己分析」という内容でした。これらを組み合わせて、実際のイメージトレーニングを作り上げて行きます。

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「実際のイメージトレーニング」
 

  寝る前に「自律神経訓練法」を行った後、完全にリラックスした状態で「ゲレンデに立っている自分」をイメージします。そこからイメージの中で滑り始めるわけですが、その時のイメージのベースになるのが「最高のプレイ」で書き出した時の滑りです。ここで重要な事は良い滑りを繰り返しイメージする事です。

  あなたはゲレンデに立っています。非常にリラックスしています。風が顔をなでる感覚、少し冷たい空気、
ゲレンデのBGM、受験者の話し声・・等、臨場感が沸き起こってきます。
  そこであなたは滑る前のイメージトレーニングをしています。ワールドカップの選手が良くやっているやつです。十分にイメージが出来上がったあなたはスタートラインに立ちます。そして、ゲレンデに溶け出すように滑り出します。滑る事がうれしくて、つい滑り出してしまうのです。あなたは最高の滑りをしてゲレンデの下のゴールラインでピタリと止まります。素晴らしい滑りができました。振り返ってピステを見上げます。満足感があなたを包みます。周りにいた友達も「素晴らしいすべりだったよ!」と祝福してくれます。喜びのあまりガッツポーズが自然と出てしまいます。
  ・・そこで終わりです。また、あなたはスタートラインに立ちます。

  また、失敗した時をシュミレーションするのも良いでしょう。だだし、下記の様な感じで肯定的なイメージをしてください。
  あなたはスタートラインに立っています。これから滑るゲレンデは少し荒れてきています。しかし、この荒れた斜面を前にして、あなたの心の中にムクムクと闘志がわいてくるのです。これぐらいのゲレンデだったら練習の通りにやれば滑れる・・自信が沸き起こってきます。そしてゲレンデに溶け込むように滑り出します。しかし、何ターンか滑って致命的なミスをしてしまいす。でも、あなたはくじけません。逆に吹っ切れたように、残りの斜面を滑ります。そして、あなたはゴールラインで止まります。
  失敗をしたにもかかわらず、すがすがしい気分で満ち溢れています。ミスを乗り越えて最後まで精一杯滑りきることができたからです。友人たちも「よくやったね!」と拍手をしてくれます。これは失敗ではありません。次の種目、次の検定の為の予行演習なのです。次回の成功に胸が高鳴りわくわくしてきます。
  ・・これで終わりです。

  これらのイメージは私の一例なので、皆さんは各自で自分に合ったものを考えてみてください。このようなイメージトレーニングを繰り返していると、TOK先生の日記にもありましたように、身体が自然にビクッと反応したり自然と笑みが浮かんでくるようになると思います。ここまで来ると、人から変に見られたとしても「メンタルトレーニング」としては大成功です(笑)

  さて、実際の検定現場では、室内でのイメージトレーニングとは少し違った感じで集中力を高める事になります。
  まず、リフト待ちとリフトに乗っている時間を利用して「自律神経訓練法」でやった事や「頭の中のキャンバスにブルーを描く」事を実行して下さい。スタート地点に到着した頃にはリラックスした状態が作れているはずです。しかし、それでもスタートエリアの雰囲気は嫌でも緊張を高めてしまいます。その場合は「ゆっくり深く呼吸する」「全身の力を抜く」だけでも実行してみてください。逆に、十分にリラックスできた人は、太ももを2・3発、顔を2・3発パンパンと叩いて気合を入れて下さい。自分なりに「リラックスと集中のバランス」を調整する事を忘れないで下さい。「程よい緊張感」が理想です。
  次に、これから滑るゲレンデを思い浮かべてください。その時にイメージする滑りは「最高のプレイ」がモデルになりますが、滑走距離は長くなくても結構です。ゴールエリアまで完全に滑るイメージでなくてもかまいません。ここで重要なのは、スタートからプレターンを経て滑りの序盤をイメージする事です。ショートで20〜30m、ロングでも2,3ターンが適当でしょう。(ロングで3ターンもしたらゴールまで行ってしまうかな?) ワールドカップの選手のように身体を動かしながら滑りのイメージを高めていって下さい。イメージと身体の反応を連携させて行くのです。じっとしていると冷えてしまう場合もありますので身体は必ず動かすようにして下さい。オーバーなアクションがどうも・・という方はTOK先生のマジックハンドのイメージを利用されると良いでしょう。
  そして、短いけれども「最高の滑りのイメージ」をプレターンからリズムが安定するまでの自分の滑りに当てはめて下さい。最初にリズムが安定すれば、ほぼ間違いなくそのリズムでゴールまで滑る事ができるはずです。そして、ゴールした後は結果がどうであれ、すぐさま今の滑りを忘れて次の種目へ集中して下さい。ただし、滑った感触を分析して次の種目の雪面の荒れ具合などを予測しておく事は大切です。

  これだけやってもやはり緊張するかもしれないし、失敗もあるでしょう。しかし、「あがりの対処法」でも書いたように、その場を精一杯プレイする事が大切です。失敗は敗北ではありません。次回に向けてがんばりましょう。「あがり」の症状を上手く押さえる事ができたなら、それだけでも成功ですよ。

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  さて、メンタルトレーニングについていろいろと書きましたが、いかがだったでしょうか?
  私自身、いろんなスポーツをやってきた影響で、メンタルトレーニングの漠然とした知識がありましたが、この度の「癒しのスキーページ」の担当をさせていただく事になり、更に知識を深める良い機会になりました。
  また今後、私のスキー以外の活動の中から、スポーツ心理学的要素を紹介して行く予定ですが、漠然とやってきた部分を改めて掘り下げる事ができ、非常に勉強になりました。
  この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

(2001/07/09)

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