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「 三分法 」

File 0027
by ”Dr.N”  2002/10/01

  「三分法」…

  先日、TOK先生の日記でDoとLetについて議論されていました。
  先生も、私の「中道」の書き込みに対してご返事を書かれていたので今更ながらと言う面もありますが、それらをヒントに少し書いてみたいと思います。

  ある地方紙のコラムでこんな面白い言葉を発見しました。「三分法」という言葉です。そのコラムの抜粋は以下のようなものです。

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  亡くなった作家の遠藤周作さんのエッセー集から思わずうなずきたくなるような一文に出会えた。言うならば「三分法の考え方の勧め」である。私たちが習慣的に身につけている二分法の考え方は、幸福と不幸、健康と病気、善と悪というように全てを対立した二つに分けて考える思考方法。ところが遠藤さんは、「まったく幸福とは言えぬが、しかしそれほど不幸でもない三つ目の状態だってある。人生や人間は二分法では割り切れず、その中間か、もしくは対立したものを併合している状態だってある。だからこれを三分法と言って良い」としたうえで、「私は皆さんに今後の人生ではできるだけ二分法の考え方を捨てて、三分法の考え方に慣れていただきたい」としている。
  これで思い浮かぶのが米大統領の演説。「どの地域のどの国家も、今、決断を下さねばならない。我々の味方になるか、あるいはテロリストの側につくかのどちらかである」。
  二分法の典型例だ。明快で力強くはあるが、今後の世界に危うい思いを禁じ得ない。
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  ここで言う「三分法」というのは、遠藤周作さんが考えた出した言葉なのかもしれませんが、考え方としては「中道」や「中庸」と同じ意味をもつ言葉だと思います。

  さて、中道と中庸という言葉をインターネット辞書で調べてみると、

「中道」
 
 @一方に偏らず、穏やかなこと。中正の道。「―を歩む」
  A目的を達しないうち。中途。半途。途中。なかば。「其業―にして敗ぶれたり/日本開化小史(卯吉)」
  B富士参詣の登山者が、富士山の中腹をめぐること。「―めぐり」
  C〔仏〕 仏教の基本的教義の一。両極端に偏らないこと。対立する見解や態度を克服した立場。対立の内容については、快楽主義と苦行主義、自己を永遠とみる常見と死後はないとする断見、有と空、空と仮など、教派によって諸説がある。

「中庸」
  @
考え方・行動などが一つの立場に偏らず中正であること。
  A過不足がなく、極端に走らないこと。また、そのさま。
  B古来、洋の東西を問わず、重要な人間の徳目の一とされた。
  C中道。「―を得る」「―にして過甚ならず/西国立志編(正直)」

  このように中道・中庸という考え方は、極端を廃して「バランス良く」を目指すことであって、以前から書いている通り、真中を行くのが良い・・・という考え方ではありません。適正を維持するために「ころあい」を見つけ出すという哲学です。


  その「ころあい」に関してですが、私が読んだ本に、このような事が書いてありました。
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  ジュースが1本ありそれを2人で分けるとしたら、あなたならどうしますか?
  そう聞かれた場合、大抵の人は「丁度半分になるように分ける・・・」と答えるでしょう。 しかし、中道的に考えると「丁度半分に分ける方法」を思案する前に、お互いが半分の量で満足する事を、まず「覚えなければならない」ということになります。つまり、2人がジュースまるまる1本でなければ満足できないとしたらそれは争いに発展してしまうということです。
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  この時の2人の「ころあいは」ジュース半分という事になります。
  中道という考え方で一番難しいのは、「どこが自分のころあいか?を知る」という事に尽きるでしょう。その人にとって必要な「ころあい」というのは、本人はおろか、第3者にもわからないかもしれません。
  以前にも書きましたが、会社勤めをしながらデモ並みのトレーニングをするとしたら、やはり「ころあい」を超えていると言えますが、その方が全日本を目指されているのなら、それはその人の「ころあい」になります。
  しかし、第3者である同僚の目には奇異に映るでしょう。このように、何かを目指す時、ある時期に極端な事に取り組んだとしても、私はそれは「ころあい」だと思うのです。

  ここでやっとスキーの話になりますが、用具の性能を引き出した効率的な滑りをするためには、1本の滑りの中でもDoやLetをうまく使い分け、圧のバランスを取りながら滑る・・・これがスキーの「ころあい」だと思います。
  しかし、書くのは簡単ですが、自分自身の滑りの「ころあい」を見つけるのは本当に難しい・・・ですね。

                                        (2002/10/01 UP)

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