Oct./31/2003 (金曜日) 晴れ
ここ四日ばかり,白馬は連続で良い天気です。
さて,昨日,私が頼んでおいた今年の「Newスキー板」が届きました。この板に今シーズンお世話になるんだ!という思いが沸き,どことなく愛おしさを感じた【TOK】でした。
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さて,今日は「流れ」ということについて…。
昨日久しぶりに,以前良く走っていたジョギングコースを走ってきました。今は,その頃はまだ無かったオリンピック道路ができてしまって,田園の風情が無くなってしまったので,ほとんど走りに行かなくなったコースですが,昨日はどことなくその近くを流れている「姫川」の清流が思い出されて行って来たのでした。(^I^)
約5キロのコースをゆっくり28分ほどで走って来ましたが,走りながら「ものの流れ」…ということを思っていました。ジョギングでもマラソンでも,ある所から別の所へ自分の身体を運んでいるのですが,その「運び」は一気にはいきません。一歩ずつ一歩づつの積み重ねです。また,その一歩さえ,一気に歩幅の距離だけ足が出て行くわけではなく,キックしてから少しかかとが上がり,つま先が上がって,さらにひざが上がって,脚が次第に伸び,地面を捉えて着地…という順序を経ます。つまり,時々刻々の「よどみない流れ」があってひとつの動作が完了し,それが積み重なってある距離を移動することになります。結果とすればある状態から別の状態に変わっているのですが,それは「水が高い所から低い所へ流れる」ように,連続的に変化している現象があってのことです。
今,私たちは多くの「デジタル」現象の中で生活しています。今私が打ち込んでいるパソコンはその最たるものかもしれません。最近は音楽も,TV放送までもがデジタル化されています。少しづつ物事が変化する…という「アナログ」的な変化よりも,ものごとがパッパッっと紙芝居的に変わる生活に慣れて来ている感じがします。でも,昨日のジョギングでは,「自分はいまアナログの世界に居るんだ!」という感じがしたのです。ある連続運動の結果として,現象の変化が起きている…という意識が沸いて来たのです。実は,このことを“スキー”に置き換えてみたのですが,すると面白いことが見えた気がしました。「重心を次のターン内側に素早く移動…」とか「角付けを一気に切り替えて…」といような表現を良く使いますが,これなどはちょっと間違うと「デジタル的な変化で!」ということになりかねないなぁー…という気がしたのです。でもこのようなデジタル的な急激な変化は,人間の行なう運動をバランスよく行なうという意味ではあんまり良いとはいえないと思うのです。水の流れでも急激な変化は,白いさざなみを作ったり,よどみを作ったりします。本当にうまい人のスキーは,このようなよどみを感じさせません。滔滔(とうとう)とした水の流れの上に乗っかって,悠然と高い所から低い所へ移動している…そんな風に見えます。まさに,アナログ的スキー術…です。
よどみのない滔滔とした滑り…これを私は,枯れ葉が水の上を流れている状態にみたて,「枯れた滑り」と評しているのですが,この「流れ」に乗った滑りができれば,それはもう「スキーの達人」だといっていいでしょう。時々刻々の「流れ」がつかめ,その時々刻々を楽しめるスキーヤー…そういうスキーヤーになりたい,と思った【TOK】でした。(^I^)
Oct./30/2003 (木曜日) 晴れ
白馬は静かに晩秋の雰囲気に包まれています。紅葉も終わりに近づき,雪が来る前のちょっとうら寂しい時期を迎えました。でも,雪が来ると,魔法を掛けたように,一夜にして白銀の世界に入ります。あの深紅交じりの茶色の世界が白い世界に変わるのです。(^I^) それもまた,楽しみ楽しみ!
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さて,今日は“A.H”さんから頂いた E-mail をご紹介したいと思います。
『 つい最近「ONLINE SKI SCHOOL」のページを見つけ大量の文章を徹夜で読みきり、深くうなづかせていただきました。私滋賀県在住の39歳になるビールスキーヤー(上達は2の次でゲレンデでビールを飲むことに重きを置くスキーヤー)です。今年から、ごく内輪の同好会を作ってホームページの運営もしてます。素人スキー道みたいなのもコラムで書きはじめたりしてます。ぎゅ〜ぽん隊:TEAM GYUPONG.COM ぎゅ〜ぽんという言葉は、「ぎゅ〜」っと踏んで「ぽ〜ん」と抜重するリズムをやしなう為に、同好会のメンバーの一人が口癖にしてたのを取って付けました。さしずめ、オレンジターンの私ら流解釈とでもいうのでしょうか?・・・(^^) それ以外にも、技術解説というより、脳内感覚を想起させてくれるイメージ解説でとても楽しく拝見できました。八方も行った事がなく、近場で仕事の癒しの為のスキーばかりしてる素人スキーヤーですが、これからも楽しみなページにさせていただきます。これからスキーシーズン。忙しくなると思いますがお体にお気をつけてがんばって下さい。』
…という内容でした。早速ホームページにお邪魔して拝見させていただきましたが,拝見していると次第に気持ちが明るくなって来ました。ホームページの雰囲気もあるのでしょうが,第一に,ここにいろいろ書かれている方々の人間性が現れているんだなぁー…と思いました。そこで,この教師日記への掲載依頼の E-mail
を差し上げたところ,快く了解いただきました。(^I^) そして,そのご返事の E-mail にさらに次のような文章がありました。
『…なんとなくスキーを続けるつもりになったのは10年以上前のある日、もう70歳近い風貌の老人が、広いバーンを端から端までいっぱいに使って、口元に笑みを湛えながらゆっくりと雪の感触を楽しみながら滑り降りてくる姿を見て「あ〜俺もあんな老人になりたい」と思ったからのような気がします。ガッツスキー(いわゆる体育会系スキー?)でもなく、メディアに仕掛けられるファッションスキー(レジャースキー?)でもなく、雪の中に身をおける幸せを感じれるような生涯スポーツとしてのスキーを実践する為に、ホームページも自分のスキーの足前も気負わずゆっくり充実させていくつもりです。…
』
…というものです。こちらの文も読んでいて嬉しくなりました。(^I^) “A.H”さんのような,このような“スキー”ができたら本当に楽しいだろうと思います。上達指向も悪くはないけれど,自然の中に身を置き,その息吹を身体の五感を通してじっくり感じる“スキー”…。今年はぜひ皆さんもこのようなスキーの楽しみを味わって欲しいと思います。
“A.H”さん!ありがとうございました。(^I^)
Oct./29/2003 (水曜日) 快晴
トップページにも書きましたが,地元の人たちがゲレンデの芝刈りをしてくれています。それでお客さんが来てくれて潤うんだから当たり前…といえばそのとおりですが,それにしても八方尾根の大きなゲレンデを良いコンディションにしよう…という気持ちには,スキーヤーとして率直に「ありがとう!」と言いたいと思います。
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さて,今日は“H.K”さんから頂いた E-mail への返事です。
『 初めまして!HIROと言います。…夏くらいにオンラインスキースクールのHPを発見して毎日読ませて頂いてます。…先シーズンまでは、なかなか上達せずに悩んでいましたがこのHPを読ませて頂いて色々感じたことがありま
した。 昨シーズンまでは「カービング」=「内向、内脚」など色々言われていて形にとらわれたスキーをしていました。…板にちゃんとのってあげて、そしてどういう風に雪と接してあげればよいか(足裏感覚)、そしてその結果としての運動(上体)であるということを頭において今シーズンは練習に励みたいと思っています。
前置きが長くなってしまいましたが、質問が2つあります。まずは「S字、C字イメージ」ということです。 以前のオレンジターンでターンは「S字イメージ」と書かれていた記憶があります。 これは自分は「ターンMAXから次のターンMAXへ(Sの始点から終点へ)、外脚を(次のターンでは内脚になるわけですが)100%から0%へ移行させる(受けて、引く)」という風にうまく「S字」をイメージできていました(解釈が違っていたらすいません)。 しかし、キャスターイメージではどうしてもターンイメージが「C字」になってしまいます。切り換えをはさむと動きが途切れてしまう気がします(意識する脚が変わるせいだと思いますが)。 キャスターターンでも「S字」意識なんでしょうか? 違うのでしたら、どのような意識なのででしょうか??
2つめは、少し考えすぎ(?)な質問かと思うのですが、滑り始めというのはどうやって始めたらいいのでしょう?? 例えば谷回りからとか、山回りからということです。 自分はまだまだレベルが低いこともあって1ターン目の切り換えからリズムを崩してしまいがちです。 キャスターターンの切り換えでは、2輪を4輪に戻すことによって、圧の変動を抑えてそのまま乗り込み続けることによりスキーが体の下を通過して次ターンの外脚の足場ができあがる、いわばオートマチックな感じの切り換えができるイメージでいるのですが、1ターン目というのはどのようにおこなったらうまく2ターン目につなげやすいと思いますか??…』
“H.K”さんこんにちは! E-mail ありがとうございます。
先ず初めのご質問ですが,オレンジ・ターンとキャスター・ターンの違い…ということだと思います。この両者の違いを結論的にお話しますと,実はオレンジターンはカービングタイプのスキーでなくても滑れる感覚のものです。もちろんカービングタイプのスキーでもこの感覚で滑ることはできますが,昔のスキー板でもOKです。一方キャスター・ターンはどちらかと言うとカービングタイプの板で効果がある滑り方だと言った方がいいと思います。どちらも雪の力で滑る…ということに変わりは無いのですが,角付けの切り替え時におおきな感覚的な違いがあります。端的に言うと,オレンジターンは♪♪♪ギューッ…ポォーーン…♪♪♪というような「ターンに必要な圧」の伝達であるのに対して,キャスターターンは「キャスターの転がり」の伝達あるいは「移動意識」の伝達,と考えていいでしょう。キャスターターンも結果的には雪からの抵抗を受けますから「圧」の伝達になるのですが,意識的には「斜面移動のエネルギー」を二輪⇒四輪⇒次の外足の二輪…という風に伝えて行くことです。ですから,むしろキャスターターンの方が「C字」ではなく,ハッキリとした「S字ターン」になります。それじゃ,キャスターターンができればオレンジターンは必要ないのか?というとそうではないと思います。カービングタイプの板はサイドカーブが深いので,ある程度角付けがされた状態で前に進んでいけばターンしようとする力が生まれるのですが,サイドカーブがそんなに深くない板では,スキーの「たわみ」が大事な要素になって来ます。ですから♪♪♪ギューッ…ポォーーン…♪♪♪的な感覚の滑りもできた方が良いのです。むしろ,このことができれば,「サイドカーブ+たわみ」という滑り方が可能になり,カービングタイプのスキーの性能をより引き出すことにもなって,より幅の広いスキーイングが楽しめるようになります。足裏感覚の練習の順序とすれば,オレンジターンが先でキャスターターンがその後…ということの方が良いでしょう。
二番目のご質問,最初のターンの入り方…ですが,このことについては「連続ターン要素の山回り」に詳しく載っています。直滑降から最初の山回りに入っていく時のキャスター意識について述べていますので,参考にしてください。
“H.K”さん,今シーズンは足裏感覚に磨きをかけ,思いっきりスキーを楽しんで下さいネ!(^I^)
Oct./28/2003 (火曜日) 晴れ
昨年の今日は,里でも雪が舞い,29日には兎平が1mの大雪になったのでしたネ!?。今年はそうはいかないと思いますが,11月中旬には欲しいですネ!(^I^)
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さて,今日は「理屈で滑る…」ということについて…。
今年,新教程が発刊されました。スキー指導に携わるものとして,勉強が必要だと思い一冊購入して読みました。読みましたが…読み終わって,何だがスキーが楽しくなくなってしまいそうでイヤァーな気分になりました。理屈や理論は大事だし,それを学んで知識を身に付け,より多くの人が楽しめるように指導法を工夫するのは,スキー指導者として当たり前のことですが,でも読み終わった後に,なんとなく暗ァーい気持ちになってしまったのです。“National
Ski Method of Japan”とうたっているのですが…。
どうしてかなぁー?と考えてみました。そして,その理由は「理屈」が前面に出ているからではないか?と思ったのです。普通人が興味を持ってものごとをやるには,先ず体験があります。理屈が先にあるのではなく,感動が先にあります。そしてその感動をより深く追求しようとした時に,どうやったらもっと楽しさを追求できるかな?と思い勉強します。でも,この本はそういう人のために参考になる本ではありません。そこで,「教程」と言う言葉の意味を辞書で調べてみたら
『 きょうてい(ケウ‥)【教程】 1 教授する際の順序、方式。 2 教科書。』…とありました。そこでそうなんだ!と初めて気がつきました。この本は「教授する際の順序、方式」を述べた本であって,スキーヤーがうまくなるための「教科書」じゃ無いんだ!。
水平面がどうのこうの,内傾が外傾がどうのこうの…ということは多くの一般スキーヤーには必要の無いことです。それよりも,どうしたらコブが滑れ,深雪が滑れて「アア楽しい!」と思えるか?です。理屈で滑り始めると,このような体感をメインとした喜びが消えて行くような気がします。そして,思いました。スキーを人さまにお教えするときは,できるだけ理屈は言わないようにしよう!感じ取る喜びをこそ大事にしよう!…と。
そして,この“National Ski Method of Japan”を読んで少し暗い気持ちになった後で,スキービデオを見ました。そこには「トップコントロール」だとか「水平面」だとかとは無縁と思えるような,飛んだり跳ねたり,転んだり…の自由なスキーヤーが居ました。気持ちが明るくなり,よぉーし!今年もスキーを楽しむぞ!という気になった【TOK】でした。(^I^)
Oct./26/2003 (日曜日) 曇り
今日は曇り空の白馬です。昨日から「鹿沢ハイランド」がOpenしました。そこで滑ってきた人と話ができましたが,まあまあの入りだったようですネ!。白馬から約2時間で行けるので,機会を見て行きたいと思っています。
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さて,今日は「映像を観る」…です。
最近はいろいろなところで映像を見ることができるようになりました。雑誌の付録にもDVDが付く時代になりました。もちろんInter Netでもイロイロな所からスキー映像が配信されています。そのどの映像を見てもスキーヤーの特徴が出ています。見ているとゾクゾクして直ぐにでも滑りたくなる映像もあれば,見ていて少し気分が重くなるものもあります。これらの映像をどう見たら,より楽しめるのかなぁ?と少し考えてみました。
私はいつもその主人公,映像で滑っている人物になりきるような意識を持ってみるようにしています。
先ず,映像の中のフィールドの空気に注目します。気温は?湿度は?そして匂いは?…ということから感じ取るようにします。匂いなんてあるかい?と思われるかもしれませんが,その日の天候によって,あるいは時刻によって,微妙な違いがある…と私は思っています。朝早いときの冷気がピィーーンと張りつめた時の空気と,午後の昼下がりの空気はまるで違います。するとその空気に反応して体のコンディションや高ぶりの程度が違ってくるのです。さて,映像の中のフィールドはどんな色の空気なんだろう?…これが先ず映像を楽しむ第一歩です。(^I^)
次に,今,映像の中の彼は何を意識しているのだろうか?どんな気持ちの高ぶりを感じているのだろうか?…ということに思いを馳せます。斜面度や雪質など,その斜面条件で,足裏はどういうメッセージを雪面から感じているんだろうか?そのメッセージに下半身や上半身はどう対応しているんだろうか?そしてさらに,顔や身体は風を切る感触をどう感じているのだろうか?…これまでの滑走経験に照らし合わせ,映像が伝えてくれるフィーリングを自分の身体に現実に起こっていることとして感じ取るようにするのです。映像の中のスキーヤーがお尻から転んだら,自分のお尻が衝撃や痛みを感じるくらいに,その映像の中の人物になり切るのです。
医学療法の手段として,あるいは行動スタイルを変革させる手段として,「演劇療法」あるいは「パフォーマンス療法」…というのがあります。身体的な欠点や精神的な障害を克服する方法として考えられた方法です。演劇の中の「役」を演じるのに似ていて,ある特定の人間になり切り,まるで自分がその人間であるかのように行動するのです。すると,今まで感じたことの無かった感覚を感じ取ることができたり,これまでと違ったがモチベーションが生まれたりして,自分流の生き方やスタイルに,より豊かさを持たせることができるのです。私は,スキー映像を見るときも,このような意識を持つようにしています。映像の中の主人公になり切るのです。すると,いろいろな人の滑走感覚を感じ取ることができ,自分の滑りにより大きな幅を持たせることができるようになると思います。
ただ漠然とスキーヤーの動きだけを見たり,フォームを見るのではなく,スキーヤーの内面をも見る…ということで私は「映像を観る」という表現を使っています。(^I^)
シーズンイン間近です。貴方もぜひ多くの映像をご覧になり,いろいろな体験をしてみてください。きっと雪の上で役に立つと思います。
Oct./25/2003 (土曜日) 快晴(^I^)
今日は本当にイイ天気です。こうぽかぽか良い天気だと,踊りたくなりますネ!。(^I^) マ,踊りたい…と言っても,身体を動かしたくなる…という意味ですが…。今日は昼の暖かい時間にテニスでもしようと思います。(^I^) 皆さんも身体動かしましょうね。(^o^)
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さて,今日は「佐々木明」の滑りで思うこと…です。
私と同じ「佐々木」姓ですので,どことなく親しみがあり,注目していたのですが,その彼の滑りを映像で見る機会がありました。また Ski Journ○lの12月号で彼の特集が組まれ,それも読みました。 “スコット金田”さんからも彼の滑りに関するご意見を E-mail で頂きました。また“にしだ”さんからは「内向内傾」に関するご意見を掲示板に頂きました。今日の私の日記はそれらに関することです。
私の一番の関心事は,彼の滑りに現れるフォーム…「腰から下の下半身の正対,ウエストから上部の上半身の外向」です。Ski Journ○lの12月号24ページで詳しく書かれているとおり,彼の滑りの大きな特徴のひとつはここにあると思います。実はこれに似た滑りに初めて気付いたのは,今から20年位前のことです。その頃はもちろんカービングスキーなどありませんでした。今のカービングターンのように,切れて走る滑りのことを俗に「切れる滑り」と言っていた頃の話です。その頃FISの国際大会が日本で開催されるようになり,私も競技役員で彼らの滑りを身近に見る機会がありました。そしてその時見たのが,「世界の強い選手は腰が正対している!」ということでした。ターン外腰がスキーのトップ方向を向いているのです。その頃はまだ外向姿勢が全盛の頃でしたので,世界の強い選手の滑りが異質に思えたのです。でも,レースで速いのだから,どこか合理性があるのだろう…?という風に思っていました。レースの世界と一般スキーヤーの世界は違う次元なのかもしれない…という気持ちがその後ずーっとありました。
そしてカービングスキーが台頭して来ました。この板を使って滑ってみると,20数年前に見た世界の選手のフォームに似た滑りが,自分でもできていることに気付いたのです。その時の滑走イメージが,今私が皆さんの話しているキャスターイメージなのです。特に小回り系の滑りでは,上半身と下半身の間に「ネジレ状態」のあることが必要なのですが,キャスターイメージで滑るとこれが自然にできてきます。キーキャスターを自分の行きたい方向に転がそうとするため,ひざの向きはもちろん,腰の向き,骨盤の向きがその行きたい方向を向くようになります。そしてその結果センサーキャスターが抵抗を受け,ウエストから上部の上半身がそれに対処しようとします。このセンサーキャスターが抵抗を受ける向きは,キーキャスターと“重心”を結ぶ「サポート軸」を中心としてスキーのトップがターン内側に入り込んで来るため,キーキャスターを転がして行こうとする向きに比べて,ターン外側になります。つまり,腰の向きは正対に近くなり,ウエストから上部の上半身はより外側を向く…ということです。昔疑問に思っていたことがひとつ解決した…そんな思いです。(^I^) 小回りでは大回りに比べこのフォームが顕著に出てきます。大回りではキーキャスターの転がし方向が小回りに比べれば12時の向きに近くになるので,腰の向きはより正対気味になり,胸の向きも,つまり外向の程度も少なくなります。でも,12時を越えてターン内側に向くということはあり得ないと,私は思っています。
ですから,“にしだ”さんが仰るとおり, 『 …最近の「内向内傾」カービング理論を見ていると…正対を通り越して内向してる分、より悪い状況かもしれません。』というのも理解できます。スキーヤーの中には,意識として「スキーのトップをターン内側方向に角付けする」という人も居られるかもしれませんが,舵取り期でこの意識を強く持ち過ぎると,その角付けされた部分を中心とした回旋力が生まれ,テールが横に出て行かないともかぎりません。「佐々木明」の滑りは,ターン後半にみぞおちから上部の外向姿勢ができているので,ターン始動期にその開放が行なわれ,下半身が戻されて,その胸の向きの所まで,つまりスキーが胸の向きと同じ向きになる所まで戻っています。でもこれは上半身をフォールラインにキープしようとしているから,あるいはスキートップから受ける抵抗に上半身が対処しているから自然に起こる「戻り」現象であって,ターン始動期に上半身をターン内側に内向内傾で持って行っているのではありません。大事なのは,これ以降の雪面の捉え方の意識です。この時に身体全体を内向内傾にするのではなく,腰から下の向きを行きたい方向に向け,スキーから来る圧をしっかり上半身で受け止めることです。自ら雪面に圧を加えたり,荷重したり…という意識は持たない,と彼も言っています(Ski Journ○lの12月号21ページ:【荷重ゾーン】)。またさらに,21ページ【加圧ゾーン】では,彼は私と少し違って意図的なエッジングを意識しているようですが,この時の大きな圧に耐えるため,ウエストから上部の外向傾の必要性についてコメントしています。この【加圧ゾーン】での意識の違いは,タイムを競うスキーと,安全・安定を第一に考えるスキー,との違いだと私は思っています。
いずれにしても,「佐々木明」の滑りをみて思うことは,彼の滑りにはわれわれの基礎スキーでも参考になる要素がたくさんある…ということです。そして,彼のイメージで,またまたキャスター・ターンの意味が深くなった感じがしている【TOK】です。(^I^)
Oct./24/2003 (金曜日) 晴れ
昨日,下界は寒い雨でした。里は雪ではありませんでしたが,兎平から上部は雪が降り,109から上部は白くなっています。(^I^) 一気に晩秋の気配です。でも,頭をスポーツ刈りにしたため,寒くてフードが必要!(^o^)
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さて,今日は「コブの大回り」です。今シーズンからテクニカル,クラウン・テストで「パラレルターン・大回り/不整地」が新しく検定種目として加わりました。不整地ですからコブだけとは限りませんが,検定バーンがコブ斜面に設定されることも考えられますので,その対応はしておくべきでしょう。また,なにも検定…ということだけではなく,いろいろな斜面を滑って楽しむ…という意味でも,コブ斜面を大回り系で滑ることは意味のあることだと思います。
機械力が導入される前は,ほとんどのゲレンデがコブで一杯でした。ですから,好き嫌いに関わらずコブ斜面を滑らなくてはならなかったのです。そういう意味では昔のスキーヤーの方が,コブに馴れていたと言えます。このところ斜面が整備され,カービングスキーの台頭もあって「コブの大回り」をする人はほとんど見受けられませんでした。でも今シーズンは結構この練習をする人が見られそうですネ!。
さて,「整地大回り」と「コブ大回り」…どこが違うかというと,大きく次の二つのことが挙げられるます。
@コブでは雪面抵抗が一定でなく,バランス要素を乱す要素が格段に多くなる。
A整地では斜面に対する角付け角,エッジング量がそんなに急激に変わることはありませんが,コブ斜面では滑走ライン上に次々にコブが不規則に現れてきますので,その時々でエッジング量が大きく変動してしまう。
先ず@のバランスの変化にどう対応するか?ということからみてみましょう。上下のバランス維持…という意味では,コブの凹凸に関係なく,凹凸の中間点を平面と見立て,“重心”の軌跡をある高さでキープしながら滑走ラインを描くようにします。深雪の大回りと感じが似ているのですが,“重心”から下の脚の動きをコブの凹凸に反応する自動車のサスペンションのように使うのです。そのためには,コブに合わせた脚の伸縮を自分の意思で「伸ばそう」とか「曲げよう」とか意識し過ぎないことです。ある程度雪面コンタクトが犠牲になることは覚悟し,そのコンタクトよりも“重心”の上下の変動を少なくする意識を優先させます。
また,前後左右のバランス維持ですが,決してスキートップ部分に自ら圧を加えないことです。トップで押さえてしまうと,そこが中心になってテールがブレ始めます。特にコブ斜面では,スキー全体が雪面とコンタクトしているわけではありませんので,このテールのブレが左右のバランスを崩してしまうのです。また,スキー前方に荷重し過ぎると,コブにスキーが突き当たった時に,テコの原理が働いて,その荷重点が支点となって重心が前に行き,前後のバランスを崩してしまいます。この左右前後の二つのバランスの乱れを防ぐには,かかと支点で滑る意識を持つことです。右のアニメーションのような意識での滑りです。スキー板のトップにかなり大きなコブの衝撃を受けますので,そのショックをやわらげる意味でもかかと支点とした滑り,つまりキャスターイメージでの滑りが有効になります。
次にAの急激なエッジ角変化にどう対応するか?ということです。角付けに頼り過ぎると,コブの状況によっては,瞬間的に大きな角付けになってしまう場合があります。もしこのような場面で,カービング要素の強い板を使っていると,その角付けが効きすぎ,ターン円弧が自分が想像したよりも極端に小さくなってしまうことがあります。つまり,ターン円弧の大きさが違ってしまう…ということです。これでは大回りになりませんので,あんまり角付けに頼らない滑りが要求されます。エッジで滑る意識よりも面で滑る意識が大事になるのです。またさらに,大きなコブ斜面では,あるコブの頂点から次のコブの頂点までゲレンデシュプルングの要領で飛ぶことが必要になることがあります。この時も角付けを意識しているとうまく飛べません。面で捉えていれば脚を重心方向に引き上げて飛ぶことが可能です。以上の理由で,「角」よりも「面」意識が重要になるのです。
わたしはこのような意味で,「コブの大回り」こそ「キャスター・ターン意識」で滑るべきだと思っています。キーキャスターのかかとに乗り,センサーキャスターで変化の大きい抵抗を受け止めて行くので,コブのショックをモロに受けることはありません。むしろスキーのトップ部分がコブのショックを吸収してくれる働きをしてくれます。また舵取り期では「二輪」意識を持ちますが,この時の角付けはターンに必要な最小限度の角付けになります。どちらかというと面での滑りに近いのです。また,コブでは恐怖心から身体がスキーに置いていかれそうになるのですが,キーキャスターに乗り続けよう,という意識もありますので,身体が遅れてしまうこともありません。コブで威力を発揮できるのであれば,それ以外の不整地でも効果的があるのは当然です。
またまた,キャスター・ターンの宣伝か?と思われるかもしれませんが,ぜひ一度皆さんもキャスター意識で「コブ大回り」に挑戦してみてください。(^I^)
Oct./23/2003 (木曜日) 晴れ
今日はまあまあの天気に回復しました。紅葉が白馬の里に下りて来ました。そういえば,昨年は10月末に平地でも大雪が降ったんでしたネ!?。今夜半から冬型だそうですから,ひょっとすると里にも小雪が舞うかな?(^o^)
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さて,今日は「小回り要領」の三回目で,コブの要領です。
コブも原則的には上体のフォールラインキープなのですが,それに加えて“重心”を中心とした脚のストロークが大きな意味を持ちます。一昨年,教師のトレーニングの時に,八方尾根で撮らせてもらった「グッキーの小回り映像」(1.82MB)及び(300KB)をUPさせてもらいましたのでご覧下さい。スキーを愛する皆さんの為ですので,グッキーもきっと喜んでくれると思います。(^I^)
この映像を見ると良く分かりますが,コブの滑り方の中でも「外向傾」は大事です。そして,それと同じくらい“重心”の上下動をできるだけ少なくすることが大事なのです。この映像の中で二箇所の停止箇所がありますが,この部分,「脚を懐に抱え込む」のと,コブとコブの間の谷間で「脚を伸ばす」のがコブの滑り方の大きな特徴と言っていいと思います。この二つの動作で,“重心”の上下動が起きないようにしているのです。つまり,ストロークを大きく使うと言うことですが,その時極力“重心”を上下動させない…ということです。コブの頂点でこの抱え込みの意識を持ち,頂点から谷に掛けてはスキーを横方向にスライドさせながら雪面を捉えて行きます。上体の向きをフォールラインに向け続けることと,雪面コンタクトを出来るだけ失わないようにキャスターイメージで斜面移動を心掛けることは前回と同様です。
この練習は,先ず,低速で構いませんから,コブの頂点でできるだけ脚を抱え込むことから始めてください。そしてその折りたたんだ脚を谷にめがけて伸ばして行きます。もちろん最初は低速の横ズレ感覚でこれを行ないます。頂点で脚の抱え込み,谷で横ズレの脚の伸ばし…です。最初から深いコブではうまく行きませんから,初めは小さいコブで練習しましょう。でも,脚のストロークを使うことに専念し過ぎて,斜面移動することを忘れてはいけません。あくまで斜面移動することによって,コブの頂点から来る圧に対処した結果,重心方向に圧を受けて脚が縮む…ということなのです。前二回の整地での小回りに加え,縦方向の脚のストロークが加わったのが「コブの小回り」なのです。キーキャスターでの移動と,センサーキャスターでの抵抗の捉え感がつかめれば,“重心”中心にスキーが上下・前後・左右に,自在に動き回ることでしょう。(^I^) キーキャスターを意識することでスキーの走りがキープできますし,それがあればセンサーキャスターで雪からに圧をしっかり感じ取ることができます。コブの頂点で圧が強く感じられたら,その圧が強くなってセンサーキャスターが壊れないように脚を抱え込めばいいのです。コブの頂点を過ぎたら今度は圧が無くなって来ますから,この圧を失わない様に,センサーキャスターで雪からの圧を感じ取る様に,脚を伸ばしてあげます。脚の曲げ伸ばし,という形や動きを真似るのではなく,あくまでもセンサーキャスターで感じ,それを元に圧のコントロールをしよう!という意識が大切です。この時,決してつま先を支点にするようにしてはなりません。テールが外に出て行ってしまうだけでなく,トップがコブに突き刺さって,身体がターン外側に投げ出されることになりかねません。あくまでかかとのキーキャスターに乗って移動する意識が大事です。その方が強い圧変化にも対応できるのです。また,二輪⇒四輪⇒二輪⇒四輪…のキャスター意識は整地での小回りと同様です。
次回は,コブついでに「コブ大回り」についてお話します。
Oct./22/2003 (水曜日) 曇り
今日も曇り空…時々小雨模様の白馬です。秋の小雨…どことなく寂しい気がします。
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さて,今日は「小回り要領」の二回目です。昨日は「自己主張ターン」と「ゲロゲロターン」を例に,ターン後半の外向傾の大事さを話しました。今日はその外向傾で得られた力をどう次の局面につなげて行くか?ということになります。
最も簡単な方法は,外向傾ができるターン後半の最後の瞬間に,角付けを一気に強め,その反動を利用して抜重し,ネジレエネルギーを開放させて反対方向にターンして行く方法です。この滑り方はスピードをコントロールしながら,小回りの要領を学ぶ時に使われますが,一気に圧が開放されるので,スキー板が横方向に移動しやすくなると共に重心の上下動が多くなり,バランスを崩す欠点があります。またターン前半に雪面とのコンタクトが失われるので,ターン後半に圧が一気に掛かりやすくなり,急斜面では斜面下方に落ちやすくなります。でも,小回りの入門としては大事な要素でもあります。この滑り方ができれば,「バッジテスト2級合格レベル」と言っていいでしょう。
では「1級合格レベル」の整地小回りとはどういうものか?ということですが,簡単に言えばターン後半の「一気度」を減らした小回りをすることです。誠に手前味噌的で申し訳ないのですが,キャスターを意識した小回りをすると一気度はかなり無くなります。「キャスターイメージ・小回り」をお送りした,ADSL用のファイル(1.23MB)とISDN用のファイル(180KB)をご覧ください。キャスターの転がりに乗って行きながら身体のネジレ状態を作るので,スキー板が停止することが無く,ジワッーとしたエネルギーの貯めができ,その開放も二輪⇒四輪⇒二輪…のように比較的ジワーッと起こり,圧変化が急激に起こっていません。圧変化が急激で無い分,上下動も少なくなり,ターン前半の雪面コンタクトもキープできるのです。スキー板もどちらかと言うと横方向ではなく縦方向に動きます。
斜度が急になれば,落下スピードが増してくるので,いかにキャスター意識で滑っても,ターン後半のエネルギーはかなり多くなって来ます。ということは,四輪⇒二輪の時のエネルギー伝達が急激にならざるを得ないので,ターン前半の捉えは少なくなってきます。しかし,いくら少ないとはいえ,一気度が高い滑りに比べればかなり捉えは残っています。また,二輪⇒四輪の意識があるので,腰の下をスキーが通過するクロッシングの時にスキーが走り,あたかも弓の矢が左右の飛んで行くような滑りになって来ます。こうなればもうテクニカルやクラウンの整地小回り…ということができます。(^I^)
小回りのターン前半では,スキー板はやや斜め前方向に,横ズレ状態で移動して行くのですが,キャスターイメージがあると,これが結構スムーズに行くと私は思っています。この時にキーキャスターとセンサーキャスターでの捉え意識があることが,ターン後半に圧を集中させてないことになり,急斜面でも斜面下方に落ちないことにつながっていくのです。
次回はコブの小回りについてお話したいと思います。
Oct./21/2003 (火曜日) 曇り
今日は曇り空の白馬です。髪が少し伸びていたので,床屋さんに行ってバッサリ切って来ました。そしたらスッキリはしたものの頭の周りが寒い! 頭で秋のヒンヤリとした気候を楽しんでいる【TOK】です。(^o^)
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さて,今日は皆さん関心事の「小回り」についての話です。小回りの基本的なことからコブでの注意点まで,今日から数回にわたり解説したいと思います。
今シーズンから検定の種目に「小回り」が入ったことから,いろいろな方から,このことに付いてご質問をお受けします。これまで数年にわたり「カービング」を主体とした検定が行われて来ました。その結果,スキーを縦に走らせる,とか,内向内傾とかいうことが盛んに言われて来ました。そうすることがカービング要素を出しやすいからです。しかし,小回りでは内向内傾では思うように滑れません。このことが多くの皆さんに不安を与えている要因だと思います。
「小回り」は,回転半径が小さいターンです。半径○○メートル以内…などという決まりはありませんが,一般的には回転円弧の直径が2メートル位でしょうか?。スキーの長さが1m60cm〜1m70cm位が今の主流ですから,ターン前半から後半まで全てカービング要素で…というのは,斜面がかなり緩い所を浅回りで滑るとか,スキーの「R」が極端に小さいとかで無い限り,かなり難しいと思います。どうしても,ターン前半はスキーがスピン状態で雪面をなでる形で行かざるを得ないと思います。そして中盤で雪面をしっかりグリップし,後半でそのエッジングを緩めて身体とスキーの入れ替えを行うことになります。
ターン前半の雪面をなでる局面では,上半身と下半身の間の「ネジレ状態」が元に戻る力,つまり,「捻られ−戻り」の力が大きな原動力になります。フォームで言えば「外向姿勢」が大きな意味を持つということです。実は,カービングターンに慣れてきた人の多くは,この外向姿勢のできない人が多いのです。この外向姿勢は自分で作るものではありません。上半身を常にフォールラインに向けて置けば,ターン後半にスキーが回り込んでくれるので,自然に出来上がる姿勢なのです。
また,両スキーで雪面を捉えるのがカービング…というような言葉に惑わされ,内スキーに乗り込みすぎるため,外傾の少ない人も多く見られます。内スキーに乗っていると,重心が次のターン方向にクロスして行くのを妨げてしまうのです。ですから身体とスキーの入れ替えが遅くなったり,ギクシャクしたりして,ターン前半になかなか移って行けないでいるのです。これでは小回りがうまくできるはずがありません。
以上,小回りで大事な「外向傾」のコツを取得するために,私は「自己主張ターン」とか「ゲロゲロターン」というのをレッスンで使っています。これをご紹介します。
「自己主張ターン」…というのは,フォールライン下方にいる誰かに,「俺は○○だぞ!」と言いながら,自分を売り込みながら滑るものです。自分を売り込もうとする時は,胸を大きくその訴える人の方向を向くのが普通です。横を向いたり,顔をそむけては自己主張ができません。ウエストから上部の上半身を積極的に自分の売り込み先に見せて行くぞ!…という決意でフォールライン方向を向く意識を持つのが「自己主張ターン」です。
一方,「ゲロゲロターン」というのもあります。チョッと汚い…と思われるかも知れませんが,このイメージ,結構効きますよ!(^I^)。どうするか?とういうと,ターン後半にターン外側のスキーの外側に「ゲロっ吐き」をするイメージを持つのです。大事なスキー板ですから,その上にゲロをするわけにはいきません。その板の外側にするのです。今そこの場所に立って,この「ゲロっ吐き」をやってみてください。どうですか?外向傾が自然にできていませんか?この「ゲロゲロターン」をターン後半でイメージして行えば外向傾がしっかりできますから,あとはその外足の角付けを緩めていけば,スキーは腰の下を通りながら,胸の向き,つまりフォールライン方向を向こうとします。
以上のように,先ず小回りをしっかり行おうとしたら,上半身と下半身の間にネジレ状態を作ることと,外傾を意識することです。
次回は,「ターン前半の意識」と「圧のやり取り」について考えてみることにします。(^I^)
Oct./20/2003 (月曜日) 快晴 (^I^)
今日もイイ天気です。(^I^)
昨日,またお誘いを受け,青木湖でカヤックを練習してきました。10月も下旬に入ろうか…という時期ですが,カヤックは面白い。「体験」を通し越して,「練習」の段階に…。(^I^) どこが面白いか?というと,なかなか思い通りに行かないところ,です。コツがつかめたり,ポイントが分かって来ると,水の表情がいろいろあることに気付きます。その水をどう掴み,どう会話するか?というような楽しみが増えてくるのです。スキーヤーが雪の表情の違いを見極めるのに似ています。…ということで,来年春にはカヤックの練習が楽しみな【TOK】です。(^I^)
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さて,今日は,過日UPした「ビデオ映像」に対する皆さんのご意見を紹介しながら,私のコメントを述べたいと思います。(^I^)
Oct./17/2003 の映像を見られた方数人から,「交互操作的で,内スキーが雪面から上がってしまっているけれど…」というご指摘を受けました。確かに映像では角付けの切り替えが終わってから,内足が上がる場面がみられます。私はこれはこれでいいと思っています。足裏のキャスターを意識して滑った結果,「身体の特徴・用具の特性・自然条件」に合ったかたちでこのような運動及びフォームが出て来ている訳ですから…。もしこのように内スキーが上がってしまうことが,スキーヤーのバランスを崩したり,不安定なスキーの動きになったりすれば,これは改善の余地がありますが…。でも,そうでなければ,結果として現れたフォームにこだわることは,像の足や鼻を見て,全体としての像の姿を見ていないのと同じ過ちを犯すことになりかねません。
また数人の方から,「キャスター・ターン…想像していたものとは,全然違いました。本当に雪の抵抗もらっているんだなあと…」というコメントいただきました。想像するのと見るのとでは多分,大きな違いがあると思います。でも,私の映像の滑りを見て,滑りの形や運動を真似るのは絶対にイケマセン!私の身体の特徴が大きく出ているからです。日記にも書きましたが,私の実兄の滑りは私の滑りともの凄く良く似ています。両親が同じですからDNAが似ているのからです。でも皆さんと私はDNAの組成は違っていますから,同じフォームや運動になり得ないのです。ですから,映像ではフォームを見るのではなく,滑りから伝わってくる滑走フィーリングを感じて欲しいのです。皆さんも,キャスターイメージで滑れば,皆さんは皆さんなりのフォームが必ずできてきます。大事なことは,フォームにこだわるのではなく,自分自身の滑走フィーリングを会得することです。そうすれば,自分自身の個性ある滑りが生まれてくるはずです。キャスター・ターンはその入り口のイメージなのです。
「…今年から1級はコブが入るので,1級を受ける友達,私はコブで悩んでいます。ぜひコブの映像も…」というコメントもいただきました。…でも,残念ですがコブの映像は撮っていなかったので披露できません…申し訳ありません。でも,1級には「コブ」…と仰いますが「不整地」という表現になっていますよね?。もちろんコブは不整地のひとつですが,コブとは限っておりません。ですからあまりコブコブ…と神経質になられない方がいいと思います。キャスターをイメージして滑れば,センサーキャスターが生き,脚の伸縮も自然に出てきます。先ずは「小回り」をしっかり練習されることだと思います。
以上,みなさんから寄せられたご意見の集約と,私のコメントでした。
Oct./19/2003 (日曜日) 晴れ
昨日は,お客様を白馬の近辺をご案内して来ました。そのため教師日記 オ・ヤ・ス・ミ でした。(=_=;) でも,おかげさまで,普段はあまり行かない白馬のお勧めスポットを訪問できました。多分,ガイドが居なければ通り一遍の観光案内本に書かれている,いわゆる「名所を巡る旅」で終わってしまうと思うのですが,私みたいな者でも,そうではない場所,隠れたイイ所にお連れできました。天候も良かったので本当に喜んでいただけました。良かった良かった!(^I^)。
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さて,今日はビンディングのプレートについてのお話です。“H.T”さんから次のようなご質問を頂きました。 『 …質問なのですが、プレートを装着することによるメリット、デメリットを
教えていただけないでしょうか?又ビンディングのみで高さを稼ぐ場合と、プレートを装着した際の、メリットデメリットがありましたら、参考までに教えて下さい…』…という内容でした。私もプレートのことに関して,少しは知識がありますが,それほど詳しいことは分かりません。そこで,このことに詳しい“K.S”さんにこの事について伺いましたら,次のようなお答えを頂きました。多分,この日記をご覧の方の中にも,プレートのことについてお知りになりたい方が居られると思いますので,今日はこのお答えを披露させていただきます。以下,“K.S”さんからのお答えです。
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プレートの種類によって、メリット、デメリットも変わってきます。なかなかヒトコトでは説明できない部分がありますが、大まかに言うと次のようになると思います。
【メリット】
@スキーの振動を抑えて、高速でもスキーが安定する。
・・・ 短いスキーであっても、長いスキーのような安定感を出せる。
A高さを稼ぐことで、スキーに、よりフラットに力を伝えやすくなる。
・・・ ひざからエッジへの角度が、滑走面に対して直角に近くなるので、フラットにスキーを踏みやすくなる。(荷重しやすい)
Bスキーをきれいに“たわませる”ことができる。
・・・ ブーツの下にできるフラットスポット(たわみにくい部分)を解消できる。
【デメリット】
@スキーのレスポンスが鈍くなる。
・・・ 足の裏からスキーまでの間の介在物が多くなるので、力の伝わりにタイムラグを感じる
A雪面からのショックが大きくなる。(怪我をしやすくなる)
・・・ フラットに踏めるようになることで、コブやウェーブ、ミスカービングした際の急激な雪面反力なども,逆にひざに伝わりやすくなる。
Bスキーがたわみにくくなる。
・・・ スキー+プレートで全体の厚みが増すことになり、フレックスが硬くなる。
C重くなる。
【メリット】と【デメリット】の中にはまったく相反する要素がありますが、これはプレートの種類による違いです。例えば、スキーの振動を抑えるタイプのプレートは、重く、スキーがたわみにくくなり、レスポンスが悪くなる傾向があります。最近では少なくなりましたが、金属の一体型プレートでスキーに貼り付けるようなプレートがこのタイプになります。同じ金属の一体型プレートでも、スキーとの間に遊びがあるタイプでは、たわみにくくなる事はなく、逆にフラットスポットを解消してくれる効果があり、スキーがよくたわむようになるものもあります。(レスポンスは悪いですが・・・)
また、【メリット】と【デメリット】のAはプレートの種類はあまり関係なく、プレートの高さに依存してきます。競技のルールでプレートの高さの規定があるのには、選手のケガを予防していこうという意味があります。樹脂のセパレートプレートは、この高さを稼ぐことが主な目的になると思います。最もスキー本来の性格に影響を与えないタイプのプレートですので、スキー本来の乗り味を変えたくなければ、セパレートタイプがベストでしょう。ビンディングのみで高さを稼ぐというのは、このセパレートタイプと同じことだと考えれば良いと思います。
今一番種類の多いプレートは樹脂の一体型のプレートだと思います。このタイプは、樹脂の種類やプレートの構造に違いを出すことで、プレートを装着するメリットとデメリットを狙ったように設計したプレートだと言えます。金属一体型に近いものから、樹脂のセパレートに近いものまでたくさんの種類に分けることができるので、選択が難しいプレートでもあります。
いずれにしても、プレート単体で良い悪いということはなく、あくまでスキー、ビンディング(ビンディングも種類によってスキーの性格が変わってしまいます)とセットで選択していかなくてはならないと思います。うまくプレートを組合せることで、スキーの性格を思い通りに変えることもできますから、使用するスキーとビンディング、スキーヤーの指向、体
力、技術レベルなどを総合的判断してプレートを選んでいかないと、逆にスキーの性能を殺すことにもなりかねません。そう言う意味では、スキーメーカーの推奨するプレートを使用するのはリスクが少ないといえるのではないでしょうか?また、オリジナルなプレートとスキーの組合せで、思い通りの乗り味にセッティングするというのも、なかなか楽しいと思います。
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“K,S”さん,ありがとうございました。プレートも「付ければいい」…というものではないようですネ!(^I^)。私の感じでは一般スキーヤーにはあんまり必要ないのではないかと思っています。“K,S”さんが仰るように,スキー板と一体型のものは別として…。私は【メリット】と【デメリット】の@,レスポンスの良さを最も大事にしていますので,簡単に言えば,プレートを付けるということは,「高下駄」を履いたような感覚に,また付けないときは「雪駄」を履いた感覚に近くなると思います。足裏感覚を大事にしたい私としては,プレートを付けるメリットより,付けないメリットを選ぶようにしています。(^I^)
Oct./17/2003 (金曜日) 快晴 (^I^)
今朝は本当にイイ天気の白馬です。「三段紅葉」が本当にきれいです。(^I^)
今日はお客様をご案内して,これから大町の高瀬川渓谷の紅葉狩りに行って来ます。きれいだろうなぁー!!!(^I^)
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さて,今日はキャスターイメージの映像…の最終版で,「キャスターイメージ・大回り系」をお送りいたします。ADSL用のファイル(1.5MB)とISDN用のファイル(210KB)です。
前回まで小回り系の映像を数回に渡ってお送りいたしました。今回は大回り系です。キャスターをイメージして滑る時は,実は大回りも小回りも,キーキャスターの転がり方向とセンサーキャスターを意識する場所が異なるだけで,あんまりその滑り方の意識に違いはないのです。センサーキャスターをスキー板のトップに近い所に意識し,キーキャスターを12時に近い向きに転がすイメージが強ければ自然にカービング系の滑りになり,身体の運動やフォームもそれに合ったモノが独特な形で現れて来ます。また,センサーキャスターをつま先付近に意識し,キーキャスターを12時ではなく,2時,3時の方に意識すれば,これは自然に小回り系になるのです。ターン円弧の構成,歯切れの良さ,滑りの安定性…これらは,キーキャスターの転がりをどちらに,どれ位の速さで転がして行き,センサーキャスターをスキーのどこに意識しているか?によって自然に生まれきます。
今回の映像では,雪面に自分で働きかけをしていないのがご覧いただけると思います。。足の裏にキャスターが付いていて,そのキャスターが雪面上をコロコロ…,あるいはゴロゴロ…と回転している様にみえると思います。センサーキャスターの“探り”に身体が自然に反応して脚が自然に伸び縮みしてしています。センサーキャスターがどんな情報を身体に伝えようとしているのかな?という意識を持って雪面を探ることが,身体全体を柔らかいスプリングのように反応させてくれるのです。このような感覚で斜面を滑り降りて行くと,雪がスキーヤーを回してくれている…というのが少しづつ分かるようになります。雪を征服する感覚ではなく,まさに同化する感覚なのです。
何度もお話していますが,滑り方にはいろいろあって,キャスター・ターンだけがターンではありません。しかし,雪から大きなプレゼントを頂いて,その力で大自然の中を滑り回る…というキャスターイメージの【Let】的な滑り方をマスターすることは,きっと皆さんのスキーライフを豊かにし,そして生涯スポーツとしての“スキー”の位置づけを明確にしてくれる…そう信じています。(^I^)
今回で一応「キャスターイメージの映像」のUPを終了といたします。ご覧頂ありがとうございました。皆さんからのご感想など頂ければ幸いです。(^I^)
Oct./16/2003 (木曜日) 晴れ
昨日はちょっとした冬型で,山には雪が…。その雪の白と,山の紅葉の赤と黄色,そして平地の緑が彩る「三段紅葉」が丁度合致しました!(^I^) いい景色です!(^I^)
昨日は「犀川」でカヤックをしてきました。波にあおられ4回の「沈没」でした!(^I^) …でも,カヤックも楽しい! いくら「沈」しても寒さを感じませんでした。直ぐにうまくならないところがスキーと似ていて,やる気にさせてくれます。
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さて,今日はキャスターイメージの映像…小回りの最終版で,「キャスターイメージ・小回り」をお送りいたします。ADSL用のファイル(1.23MB)とISDN用のファイル(180KB)です。これまで数回にわたり,小回りの映像をお送りしてきましたが,今回はその「まとめ」です。
小回りにもいろいろな滑り方があります。いつも思うのですが,陸上の短距離競技「100m」を見ていると,ひとりとして他の人と同じ走り方をしている人はありません。腿を高く上げる人に上げない人,手の振りが大きい人に小さい人,ひじで曲がっている人に曲がっていない人…。それぞれ違うフォームなのですが,それぞれに速い!。でも,そこに共通していることがあります。腿をぜんぜん上げない人も居ませんし,手を振らない人も居ない。手を上げたり手を振ったりはするけれど,その形は様々で,その人なりの身体の特徴が生きています。スキーの小回りもこれに似ていて,そのフォームは微妙に違っています。でも共通していることはあります。その共通していることとは…前回話した「胸の向きがフォールライン方向」にしっかり向いている,ということです。あとは「ターンに必要な圧をどう作るか?」…ということになります。この圧の作り方で,その後の角付けの切り替えの様子も,次のターンの前半の様子も違ったものにはなりますが…。これには様々なやり方があります。急激に自分から踏み込んで作る人,雪面の力を利用する人,その混合系の人…といろいろです。ここでの「キャスターイメージ」では,極力「斜面移動によって【Let】的な圧を利用する」…という考え方で小回りを見てきました。その完成形として今回の映像があります。
より回転半径を小さくしようとしていますので,動作が速くなって,舵取り期あるいは角付けの切り替え期の「圧変化」は大きくなっています。スピードが速くなったり,急斜面に行けばこの圧変動はさらに大きくなります。しかし,意識の中で,できるだけ「二輪⇒四輪⇒二輪⇒四輪…」をイメージして滑っているのがご覧の映像です。滑っている時の留意点は,「キーキャスターの転がり方向!」,「センサーキャスターの位置を土踏まず付近に!」,「二輪から四輪への移動のタイミング!」,「四輪の“3番キャスター”での捉え意識!」,「ターン始動期のキーキャスター」…です。特に,もう少し大きな抵抗が欲しい時には,「キーキャスターをインサイドに!」ということを意識します。こんなにたくさんのことをどうやって意識できるの?と思われるかも知れませんが,だから“キャスター”なのです。特に,一番重要な役割をするキーキャスターに意識をどう集中するか?ということです。このキャスターがどういう風に斜面上を移動しているか?ということをイメージしながら滑るクセを,緩斜面やスロースピードの時から練習で身に付ければ,その時々の条件に合った滑りができるようになります。そしてその時の身体の運動やフォームは貴方独自のものです。(^I^)
途切れの無いリズミカルな運動,滑らかな重心の落下と上半身の安定,的確なスピードコントロール…こういう点をこのビデオでご覧いただければ嬉しいです。それにしても,この小回り…私の実兄と良く似ています…。DNAがほとんど同じ,兄弟なんですネェー。(^I^)
Oct./15/2003 (水曜日) 晴れ
ここのところ,天候がコロコロ変わります。昨日は夕方から雨になりましたが,その雨も上がり,明るい太陽の日差に紅葉が映え,美しい景色の白馬です。(^I^)
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さて,今日は「小回りのノンストックトレーニング映像」をお送りいたします。ADSL用のファイル(1.19MB)とISDN用のファイル(170KB)です。
以前お話したように,ノンストックトレーニングの目的は「足裏感覚」を研ぎ澄まし,「【Let】的感覚」に慣れることにあります。この映像では三つのことが顕著に現れていまので,それをご覧ください。
その第一は,斜面移動によって雪面からの抵抗を,あたかもタオルを絞る時のように徐々に受け止めている…ということです。キーキャスターの転がりに乗って行く意識がありますので,急激なエッジングによって一気に抵抗を求める運動は少なくなるのです。このことが滑り全体のリズミカルな動きとダイナミックさを生んでいます。ストックを使うとどうしても一気に角付けを強める運動になりがちで,運動が途切れ途切れになってしまいます。ノンストック滑ることにより,一気滑りとは違った感覚の滑りを体験することができると思います。ビデオでは,キーキャスターに乗り込み,斜面をどんどん降りて来て,雪面抵抗をセンサーキャスターで受け止めることでターンしているのが,良くご覧いただけると思います。急激なエッジング操作が無いということは,強靭な脚力を必ずしも必要としない…ということなので,女性の方やシニアの方にもできる小回りの滑り方だ,ということもできます。
その第二は,胸の向きがフォールラインの方向をしっかり向き続けている…ということです。ですから,その結果として,ターン後半に下肢と上半身の間に大きなネジレ状態が生まれることになります。前回話したように,このネジレで貯まったエネルギーが,四輪から二輪になった時に開放されので,スキーの方向を,それまでのターン方向とは逆の方向に回そうとする,「キッカケとしての力」として働くことになるのです。このターン前半の局面は,ネジレの軸だけを考えると,貯まったエネルギーが解き放たれる局面なので,どちらかというと快感が感じられる時でもあります。このターン前半が苦しい…という人は上半身がしっかりフォールライン方向を向いていなかったから…ということができます。
その第三は,角付けの切り替え後に一気にスキーのテールが外側に出て行っていない…ということです。キャスターを二輪から四輪,そして次の二輪に乗ろう…という意識があるので,四輪の局面をしっかり取ろうとする意識が働くからです。ですから,瞬間的なエッジングの時のような,スキーの動きが横から横への動きでは無く,キャスターの転がり方向,つまり二輪の時の進行方向を維持した形で,腰の下をトップ方向へ通り過ぎて行く動きになります。ビデオをみると,それまでターンをリードしてきた方のスキーが,角付けの切り替え時に,結構勢い良く左右に腰の下を通過して行くのが分かると思います。私のレッスンでは,このことを「斜めの直滑降」と呼ぶこともあります。前にも話したように,このような弾むような運動は,自分の力でやっているのではありません。二輪から四輪に乗ろうとする意識があるために,スキーが雪面にフラットになって走り始めることから,自然に起こることなのです。重心を次のターン内側に移動させる…という意識もまったく無く,二輪から四輪に乗ることを意識しているだけです。ですから“重心”の軌跡が滑らかになり,その下をスキーが左右に次々と通過して行ってくれる…という「クロッシング」での切り替えができているのです。また,小回りは大回りに比べ,円弧が小さく,雪面からの圧も,ネジレのエネルギーも,短時間に集中しますから,四輪に乗っている時間はほんのわずかな時間で,瞬間的になってきます。クロッシングの後は,「ネジレ−戻り」の力を利用しながら,次の外足のキーキャスターに乗り込んで,2時〜3時方向もしくは10時〜9時方向に雪面を転がしながら,斜面移動して行くイメージを持てばOKです。
この「ノンストック」でのトレーニング…その目的を考えると,“フィーリングスキー”の修得には非常に効果的な練習だ…ということもできます。機会を見つけて実践されることをお勧めいたします。(^I^)
Oct./14/2003 (火曜日) 曇り
今朝は朝早く陽が射していましたが,9時頃になってやや雲が…。
皆さんのこの連休…いかがお過ごしでしたか?。私はおかげさまで夜はビアホールが忙しかったのですが,日中は時間を見つけてスポーツを楽しみました。11日はカヤック,昨日はテニスを楽しみました。昨日は体育の日でなんとか運動を!と思っていたので,いい気持ちでテニスができました。(^I^) でも,汗をかくのってホント…イイ気分ですネ!(^I^)
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このところ皆さんから「ビデオ映像」についてのご意見を頂戴しております。「いろいろ参考になる…」という趣旨のお便りが多く,胸を撫で下ろしております。(^I^) 私のような体力の無い者の滑りですが,「体力だけに頼っていない滑りで,これからのスキーの楽しみ方にある方向性が見えた…」というお褒めの言葉もいただき,恐縮しております。ありがとうございました。
さて,今日もビデオ映像をお送りします。「キャスターイメージ・迎え角No.2」で,いつものようにADSL用のファイル(2.47MB)とISDN用のファイル(360KB)です。
今日のテーマは昨日の続きで,大回り系ターンと小回り系ターンの違いをより鮮明にしていきたいと思います。この両者の違いは,キーキャスターをどの方向に転がして行くのか?という意識に掛かっていると言って過言でありません。今回は「中回り的イメージ」と「小回り的イメージ」を二つUPしました。この二つの滑りで気付くことは,それぞれのターンにおけるウエストから上,上半身の向きが舵取り期で異なっていることです。左ターンを例にとってみてみると,気持ちの上で,中回りでは1時方向にキーキャスターを転がしているのに対して,小回りでは2時方向の意識を持っています。その結果センサーキャスターに向かってくる抵抗の方向が,中回りでは1時方向のやや外側からとなり,小回りでは2時方向のやや外側になります。結局,中回りに比べて,小回りの方が舵取り期の後半は上半身の向きがターン外側を向くことになり,スキーの前後軸に対して上半身のネジレが大きくなります。つまり,二輪に乗り込んで行っている最後の局面では,中回りに比べて小回りの方が,下半身と上半身とネジレの程度が大きいということです。
この二輪状態から四輪状態に意識を変えるとどうなるでしょうか?上半身の向きを二輪で雪面を捉えていた状態にキープしたまま,二輪から四輪にイメージを変えると,この身体のネジレ状態を元に戻そうとする力が働きますから,四輪のキャスターは上体の向いている方向,つまりこれまでのターン方向と逆の右方向に回り込もうとします。二輪状態で斜面移動して来たことによって,「身体のネジレ」というエネルギーが下半身と上半身の間に生まれて来たのですが,このエネルギーが,四輪意識を持つことで開放され,身体が最も安定している状態,「正対」になろうとするのです。これが「ネジレ−戻り」の力を利用するということです。ネジレの程度が強ければ強いほど,元に戻ろうとする力も強いわけですから,小回り系のように回転円弧を小さくする必要があるターンでは,キーキャスターの転がり方向をつま先側ではなく,小指側,2時〜3時方向に意識することが大事なのです。中回り系の滑りと小回り系での滑りの違いをこのビデオでじっくり見ていただきたいと思います。特に小回り系の滑りでは,ターン後半,急激にエッジングをするのではなく,斜面を移動しながら下半身と上半身の間にネジレのエネルギーを貯めているのが分かると思います。(^I^)
このように四輪意識になることによって,ネジレが開放されてスキーは胸の向きを向こうとします。これ以降はSept/20/2003の日記でお話したように,四輪から次の二輪の意識を持つことで外スキーでの捉えが可能になりますから,それに乗り込んで行けばいいわけです。乗り込んで行く方向は?…もちろん中回りでは1時もしくは11時方向に,小回りでは2時〜3時方向もしくは10時〜9時方向です。(^I^) 二輪から四輪,そして次の二輪…というところも良くご覧ください。決して四輪から二輪の局面でも焦っていないのが分かると思います。前のターンの後半に貯まったネジレのエネルギーは開放しているものの,上下方向に圧を抜いていないことも見て取れると思います。外足にイメージしたキーキャスターで雪面を探りながら,その転がりに乗って行っているのも分かってもらえるでしょう。キャスターイメージがあると,スキーは滑り続けていますから,ガツンガツン…とした滑りではなく,ギュゥーンギュゥーン…というイメージのターンになるのです。
Oct./13/2003 (月曜日) 小雨
今朝は小雨模様の白馬です。昨日は朝方だけ少し雨がありましたが,9時前にはその雨も止み,まあまあの天気でしたが…。天気予報によると,今日は回復が遅いようで…せっかくの体育の日なのに残念です…。でも,この小雨の中でも今日は身体を動かすヨ!(^I^)…体育の日だもん!
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今日はビデオ映像「キャスターイメージ・迎え角」をお送りします。例によってADSL用のファイル(1.33MB)とISDN用のファイル(200KB)です。
さて,今日は何をご覧頂くかというと,ターン円弧の大きさを決めることに密接な関係のある「キーキャスターの転がり方向」と「迎え角」の関係についてです。キーキャスターの転がり方向を,右の図の時計を例にとって説明することにします。先ず大切なことは,キーキャスターが何時方向に進んで行るか?という意識をしっかり持つことです。例えば1時方向に行くとすれば,その方向は,スキーのトップ位置の方向の12時(零時)と,キーキャスターを転がして行こうとする方向の1時との間の角度で,30度の角度を持った向き…ということになります。
このビデオの例では,舵取り期での転がり方向は1時近く(ブルーのライン)を向いているように見えます。つまり二輪で雪面を捉えて舵取りをしている時,キーキャスターを転がして行こうとしている方向は左ターンでは1時の方向,右ターンでは11時の方向…ということです。もし,この時のキーキャスターの転がり方向をレッドラインのように12時30分にしたとすると,ターン円弧はもう少し大きいものになります。斜度は緩斜面ではありませんが,スピードがゆっくりしているので雪面を「探る」動きが現れ,少しストレッチ的な運動が出ています。
ここで,左ターンを例に考えてみましょう。キーキャスターを1時なら1時の方向に転がして行こうとするのですが,センサーキャスターが雪の抵抗を受けるので,キーキャスターの部分を中心として「テコ」のような力が働き,スキーのトップは左内側に入り込んで来ます。自分は1時方向に行っているのに,センサーキャスターの向き,つまりスキーのトップは左に向きを変えてしまうのです。つまり,時計の真ん中を中心として,時計全体が左に向きを変えた状態になる…ということです。この時,もしスキーヤーが最初に決めた方向にキーキャスターを転がすイメージを持っていると,時計全体は左に回っているのにキャスターの転がり方向が変わっていませんから,その向きは1時から2時…3時と大きく変わってしまうことになります。ですから,もし,スキーのトップが左に向きを変え始めたら,キーキャスターを転がして行く方向も,その向きを変え始めた時計の1時方向をキープするように付いて行かなくてはなりません。つまり,キーキャスターの転がり方向はいつもセンサーキャスターの行こうとする方向を追い続ける感じになります。このような意識があると,外腰の向きはセンサーキャスターの方向に行こうとしますので,ローテーション的にターン内側を向くことになります。しかし,ウエストから上部はセンサーキャスターが受けた,雪からの力が掛かって来る方向を向きますので,腰の向きに比べて外側を向いています。腰の向きはセンサーキャスターの方向,ウエストから上の上半身は迎え角方向…ということになるわけです。
このことを良く考えてみると,つまり…舵取り期では「親指の向き(スキーの長軸の向き)」・「キーキャスターの転がり方向」・「ウエストから上部の上半身の向き」は同じでない…ということがわかります。この三つの向きが同じでないことが,実は「小回り系」の滑りで重要な意味を持つことになります。次回はそのことをお話します。
Oct./12/2003 (日曜日) 曇り
今朝は少し小雨が降っていましたが,その雨も9時前には止みました。行楽にお出かけの方も多いと思いますが,天候…回復して欲しいですネ!(^I^)
さて,昨日午後からカヤックに行って来ました!(^I^) 「白馬アウトドアスポーツクラブ」の方から,誘いの電話があり,青木湖で紅葉の湖面カヤッキングを楽しんできました。紅葉の最盛期にはまだ少し早かったのですが,一部の木々が黄色や赤に染まり,その影が湖面に映って最高のシチュエーションでした。その鏡のような水面をカヤックで水を二つに割るように進むのは本当に素晴らしい体験でした!。以前から「一度やってみたいなぁー!」と思っていた青木湖のカヤック…。実現できて本当に良かったと思います。
実はこのカヤック,“スキー”と本当に良く似ていると思います。特に,底の無いふわふわした雪の中を落ちていっている感覚と似ている…と最近思うようになりました。エッジングがギュッと効かない雪面を降りて行くときは,自分の身体の軸をしっかり意識して進むことが必要なのですが,カヤックも同じ感覚です。頭を中心として艇(身体の尾骶骨付近)に伸びていると思われる軸をしっかりイメージできないと,艇はふらふらしてしまいます。スキー以上に水面と艇とのコンタクトはあやふやなので,その艇がどの様な抵抗を水から受けているか?をイメージできないとコントロールができません。またさらに,ほんのわずかな風があっても,湖面の水はその風の方向に少し流れているらしく,直進はできません。スキーでいうと横滑り状態で目的地を目指すことになります。カヤック…これも奥の深いスポーツだと思います。はまってしました!(^I^)
水の状況をよく読んで楽しむカヤック…スキーをイメージしながら約2時間楽しませてもらいました。(^I^)
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さて今日はビデオ映像「キャスターイメージ・ノンストックトレーニング」をお送りいたします。ADSL用のファイルとISDN用の小容量ファイルを準備しました。
ノンストックトレーニング…ということですが,ストックを持たないと,バランスの取り方が非常に難しくなります。たったあれだけの重さのストックですが,こんなに役に立っているんだ!とつくづく思い知らされます。特に【Do】的なスキーをする時は,自らの力を雪面に加えようとしますから,いきおい“重心”の前後左右への変化が多くなって,ストックに頼ることが多くなります。ですから,このビデオのようにノンストックで滑ってみると逆に【Let】感覚での滑りが体験できるのです。バランスが取りにくいので,できるだけ身体を動かさないようになり,結局,ターンに必要な圧を雪の力を得ることで作ろう…という意識になるからだと思います。
私はこの滑りを足裏感覚を研ぎ澄まして行っています。キャスターの二輪⇒四輪⇒二輪⇒四輪…の繰り返しです。キャスターの転がりに乗り続けていこう!という意識があれば身体が遅れる…などということはめったに起こりません。起こったとしてもリカバリーが簡単です。何かをやろう!とするから,身体が,特に上半身が,ふらふら動いてしまい,後傾になったり左右に倒れすぎたりしてしまうのです。単純に素直に「キーキャスター」の上に乗って行こう,自分の行きたい方向に転がして行こうという気持ちがあれば,人間の身体は自然にそれに最適な運動を起こしてくれます。
時々,このようなノンストックでのスキーをしてみてください。すると,次第に足裏感覚が目覚め,研ぎ澄まされて来ます。そうすれば,人の居ない緩斜面などでは,目をつぶった状態で滑ることも可能です。雪の状況を足裏で感じながら滑ることの意味が解るようになり,スキー板のいろいろな部分でどのように雪をキャッチしているか?にまで思いが馳せられる様になります。これこそが正に“フィーリングスキー”なのです。足裏のセンサー細胞で感じ取ったデータを元に,身体の全細胞がハーモニー良く協力して反応し,自分が求める行動を的確に実現してくれる…そんな感じのスキーイングになるのです。(^I^)
Oct./11/2003 (土曜日) 曇り
今日から体育の日を含んで三連休の人も多いと思います。皆さんはどのようなご計画ですか?
昨日は急用ができてしまい,教師日記 オ・ヤ・ス・ミ でした…(=_=;)。おいでいただいた方には失礼しました。
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さて今日のビデオ映像は「キャスターイメージ・パラレルNo3 」をお送りいたします。ファイルサイズ1.09MBとファイルサイズ 160KBです。「キャスターイメージ・パラレルNo.2
」よりさらに斜面が急になったり,スピードが出たりした時のものです。キャスターを意識していろいろな場所を滑っていると,プルークボーゲンから始まってこの段階まで,楽しみながら結構スンナリ到達できるものですが,その進歩の程度にこだわると,面白くなくなりますので,緩斜面などを気楽に滑られた方がいいと思います。キャスターを転がして行く,あるいはキャスターの転がりに乗っていく…という意識が次第に身について来ますから,ブレーキをかけて,つまり角付けを使ってターンしよう…という意識が少なくなっていることに気付かれることと思います。自分の自分の行きたい所へ行こう行こう…という気持ちが働いていますので,積極的な斜面移動が行なわれ,ターンに必要な最小の角付けで円弧のコントロールができているのです。
このように,ブレーキをかけてターンコントロールするのではなく,積極的に斜面移動をしようという気持ちが強くなると,そのスピードに合った構えが自然にできてきます。特別に「アッ!スピードがこれくらい出たから,構えを深くしないと!」とか「手を下げないと!」…といった自分の滑走フォームに気をとられなくていいのです。ただ,気をつけないといけないのは,キーキャスターをどの方向に転がして行っているのか?ということだけはハッキリ意識しなくてはなりません。つまり,雪の抵抗をどの方向から受け止めているか?という意識を失わない,ということです。今回の映像は,この行きたい方向が時計で言えば,右ターンでは11時30分方向に,左ターンでは12時30分方向を向いています。前回の映像は,右ターンが11時00分方向で,左ターンが13時00分方向でしたから,今回の方が少しづつズレ要素の多いスキッディングからカービング要素の滑りに変わっています。キーキャスターの転がり方向が12時に近くなればなるほど,つまりスキーのトップ方向に転がして行こうとすればするほど,カービング要素の多いターンになる…ということです。
何度も話していることですが,キーキャスターを転がす…という意識があるとターン外腰がスキーのターン方向よりやや内側,スキーの先端方向を向くようになります。一見すると腰の先行動作のように見えますが,これもキーキャスターを転がして行こう!という意識があることによって自然に現れる身体の運動です。「あの人はああいう風に腰の先行動作を使っているから私も…」という形の物真似は意味がありません。私の経験では,身体の特徴・用具の特性・斜面条件の三つの条件でその形が決まってきます。ですから,皆がみな同じだけの腰の先行…ということにはなりません。流れに乗っていて,滑りが安定していて,雪との会話を楽しんでいるようなスキーができていればそれでOK!です。(^I^) 力強い滑りだけれど,どこか安定性に欠け,危なっかしい…ではいけません。
今回の映像で,角付けの切り替えを終わったあとに,ターンの始動期に内スキーが雪面から離れている部分がありますが,スピードが出てくるとこのようなことは結構あります。二輪⇒四輪⇒二輪…の意識があれば,これはこれでOKです。よく「交互操作ですか?」と聞かれるのですが,二輪⇒四輪⇒二輪…意識ですから「交互操作意識」ということになります。でも交互操作だけれど,両足は互いにハーモニーをとりながら連動して動くので「同調運動」になります。そして,二輪⇒四輪⇒二輪…の意識が自然な「ベンディング」をもたらしていることもお分かりいただけると思います。
Oct./09/2003 (木曜日) 快晴 (^I^)
今日は本当にイイ天気です! よくよく見てみると北アルプスの稜線にウッスラと雪がのこっていますネ!(^I^) ところで,八方尾根…今年の初滑りはいつごろになるのでしょうか?(^I^)
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さて今日もビデオ映像をお送りいたします。前回は「キャスターイメージでの基本・その1」をお送りいたしました。今日はその続きで,もう少しスピードが出た時の映像です。「キャスターイメージ・パラレルNo.2 」ファイルサイズ 1.72MB,とファイルサイズ 0.240KBです。
ややスピードが出ているために,雪からの抵抗がけっこう得られるので,「探り」の時の脚の伸びが少なくなっています。その結果,前回の「キャスターイメージでの基本・その1」に比べて“重心”の上下動が少なくなっています。また,二輪⇒四輪⇒二輪⇒四輪…の繰り返しで,みずから雪面に働きかける意識が少ないので,上体の前後左右への動きもほとんどありません。つまり上半身が上下・前後・左右に必要以上に動かない静かな状態にキープされています。そして,“重心”の移動軌跡上に上半身がそのまま乗っかった形で移動しています。また,前回のパラレルに比べると,ストレッチ的な要素が無くなり,よりベンディング的な要素の滑りになっているのが分かります。そして,スキー板はこの“重心”を中心とした円錐形の底辺に沿って回っているように見えます。この時のターン外脚の動きは,滑走スピードが違うので,その力感に違いはありますが,キャスター意識のプルークボーゲンの外脚の動きと全く同じです。プルークボーゲンの時と同じようにキーキャスターの転がりに乗って行こうとしているだけですから,動きが同じになって当然ですが…。
もうひとつ,腰の下をスキーが通過する時間が短かくなっているのにも気付きます。スキー板が素早く腰の下を通り過ぎて行っています。これは舵取り期でのエッジングがキャスター二厘意識から,切り替え時のキャスター四輪意識に変わるため,角付けが緩くなって,スキーが雪面をフラットに踏むようになるからです。このように重心が次のターン内側に移行するものに比べ,どちらかというとスキーが腰の下を通過することによって角付けの切り替えが起こっているように見えます。私は,前者の“重心”を次のターン内側に移動させて行なう意識の角付けの切り替えを「クロスオーバー」と言うのに対して,後者の様に,スキーが腰の下を通過することによって角付けの切り替えを起こすものを「クロッシング」と呼んで区別しています。実際の場面では,重心が斜面上を移動せずに停止している…などということはあり得ませんので,重心も動いているし,スキーも動いているのですが,その要素としてどちらが強いか?という意味での区別です。この角付けの切り替えの局面で,「二輪」から「四輪」に移行する際に,スキーが前方にギューンと走っている様子を,イメージとしてしっかり覚えておくと,きっとみなさんのお役に立つと思います。(^I^)
さて,ここまでのキャスターイメージの滑りを見てみると,その全てに共通していることは,プルークボーゲンも基礎パラレルも,足裏にキャスターがあるような雰囲気がしっかり感じられる…ということです。前回もお話したように,「角」で滑る意識よりも「面」で滑る意識が強いために,このように「ずれにうまく乗ったーン」…というイメージになるのです。これまで,カービングターンのキューンという場面を見慣れた人には物足りなさを与えるかもしれませんが,キャスターをイメージした【Let】意識のターンでは,滑走スピードが遅い時には雪からの抵抗が少ないので,このような滑りになるのです。
Oct./08/2003 (水曜日) 曇り
今日は白馬三山の山形は見えているものの,平野部の上に雲が掛かっていて,スッキリしていません。
ところで,昨夜「原辰徳」の最終試合がありました。そしてその後の,阪神球場でのセレモニー…。阪神ファンも混じっての,原に対する惜別の声援…。かつて野球をしてきた【TOK】にとって,ちょっと感動的なシーンでした。巷ではいろいろ言われていますが,私も巨人フロントのやり方に憤りを感じています。原監督の辞任会見の席に次期監督が同席…考えられません。でも,阪神の「星野監督」…自ら花束贈呈を買って出た,というのはさすが「男・星野仙一!」。…少し浪花節調の【TOK】でした。(^I^)
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さて今日はイメージビデオ,「キャスターイメージ・パラレル導入」をお送りします。1.3メガサイズと190キロサイズの両方を準備しました。
前回の「プルークボーゲンの2態」でもお話しましたが,プルークボーゲンでキャスターイメージを持ってじっくりと何回も滑っていると,スピードに呼応して,いつの間にか「V字」が「//状」に変化してきます。良く「V字」で滑っているのは技術が未熟だから…というような言われ方をしますが,私はそうは思いません。「V字」で滑ることも,悪雪,コブ,急斜面など,いろいろな斜面を安定して滑るためには大事なことです。普通はスピードが速くなってくれば自然に「//状」…つまりパラレル状態になってきます。特にキャスターイメージのターンではそうなります。(^I^)
この映像を見ると,“重心”がやや上方に伸びているのがわかります。一見すると,上体が上下しているから【Do】的要素ではないか?…と思われる方も居られるかもしれません。でも,よくよく見ると“重心”が上下することでスキーに圧が掛かって回るのとは異なることが分かります。キーキャスターを自分の行きたい方向に転がして行き,その結果雪面から抵抗を受けてターンしています。プルークボーゲンの時と外脚の動きが同じであることでそのことが分かります。この斜面は緩斜面なのでスピードがあんまりありません。ですから雪からの抵抗も少なく,しっかりと効率よく受け止めるようにしなくてなりません。二輪⇒四輪⇒二輪…と雪面上をキャスター移動させながら雪面を「探る」ようにすることで,効率良くこの抵抗を受けることができます。カタツムリが障害物を探っていくような仕草に似ています。脚が伸びて雪面に力を与えているように見えるけれど,実際は雪の抵抗を探る動作なのです。スキーヤーの運動が上から下への運動ではなく,下から上の方への動きであることがそのことを物語っています。探る動作かそうでないか?という視点で見ると,前回の「プルークボーゲンの2態」のどちらに近い滑りか,お解かりいただけると思います。ちなみに「探る意識」によって起こるこのようなストレッチ的な運動の場合は,もし急激に大きな抵抗が来たりした場合,いつでも脚をたたみ込むことができます。カタツムリが触覚を縮めるように…。しかし,【Do】要素での脚の伸びの時は,たたみ込めませんので,大きな衝撃力となって身体に跳ね返って来ます。【Let】要素の滑りの特徴のひとつは「探る」「受ける」「感じる」…ということにあるのです。
次に角付けの切り替えを見てみましょう。ここで一番気付くのは,二輪から四輪への移動,そして四輪から二輪への乗り移りがゆっくり大きく行なわれていることです。急激な角付けの切り替えは行なわれていません。スキーと重心の入れ替えが滑らかに行なわれているのですが,そのためには次のターン内側に身体を入れ込む動きがあってはいけません。スキーが捉えた雪面からの抵抗と“重心”とのバランスを,舵取り期だけでなく角付けの切り替え時にも取る意識,つまり四輪のキャスター全部でしっかり雪面上を転がっている意識が必要になります。その結果角付けの切り替え時からターン始動期に至る過程が大きくゆったりしているのです。
またさらに,舵取り期の様子を見てみると,スキー全体がキャスター移動をイメージさせるような,滑らかな斜め前移動をしています。ターン外側の手の人差し指がご覧いただけると思いますが,この指の方向がキーキャスターを転がそうとしているその方向です。その方向に行こうとするとセンサーキャスターが雪面から抵抗を受け,キーキャスターを中心とした「テコ」作用が働き,ターンが起こるのです。転がり続けるキャスターに,しっかり腰が付いて行っていることから,スキーと“重心”との間のバランスが適切に取れているのが分かります。もし,ターンの大きさを変えたければキーキャスターを転がして行く方向を修正しながら進めばOKです。ターン円弧の大きさを調整する時,キーキャスターの位置を横方向に移す意識を持つことで,つまり角付けをやや強めたり弱めたりすることで行なうことも可能ですが,それは極力やらないようにします。その理由は,角付けが強くなり過ぎるとスピードが落ちてしまい,特に緩斜面では滑り続けることができなくなってしまうからです。あくまで雪面抵抗を自分で作り出すのではなく,雪の力で!…という意識が大事です。
この映像の滑りは,俗に「ずれに乗って滑る基礎パラレルターン」といわれるものですが,スキー板の下に4つのキャスターがイメージできましたか?それがイメージできれば,「基礎パラレル」は卒業です。(^I^)
Oct./07/2003 (火曜日) 曇り
今日も曇り空で少し寒いです。昨日月一の健康管理日で松本まで行って来ました。松本と白馬…気温差が約5度くらいありました。白馬って寒いんですネ!ハッハハハハ……(^I^)
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さて,今日は映像をお送りします。実は数ある映像の中からイロイロなものを取り出してキャスターイメージとの関連で皆さんに見ていただこうと思って気楽に考えていたのですが,掲示板で“H.O”さんから「…しっかり基本がわかる映像のアップを理論的な順序で…」というコメントをいただき,少々うろたえております。(^I^) …と言うのは,あらかじめホームページ上でUPする予定で順序立てて映像を撮っていたわけではないからです。天気の良い日に,時間を見つけて,実際の自分の感覚での滑りが,どう傍目に見えるのかなー?ということを確認する意味で撮ったのがほとんどです。ですからある程度飛び飛びになってしまうことがあるのは勘弁いただきたいと思います。
また,私の滑りは宮下征樹君や他の若い教師の滑りに比べれば,とてもとても若さもありませんし,精彩のあるものではありません。ですから本当に私の滑りを見ていただいてそれが役に立つかどうかははなはだ疑問でもあります。しかし,私がこれから以降,映像でお見せする滑りは,ハツラツさは少ないものの,皆さんのスキー技術を高める上で,参考になるものを含んでいるものと確信しております。そういう意味で,私の滑りを皆さんに披露するのはある意味でお役に立てるのではないか…とも思います。ですから,上手い下手を見ていただくのではなく,私の解説の要素を見ていただき,その時々の滑走フィーリングやイメージに思いを馳せるトレーニングをしていただきたいと思います。
前解説が長くなってしまいましたが今日は「プルークボーゲンの2態」を見ていただきたいと思います。約2メガのADSL用の映像と,ISDN用の映像を準備しました。これをご覧頂きたいと思います。
オレンジを踏み込む意識,つまり【Do】的な要素で行なったプルークボーゲンと,キャスターイメージの【Let】的な要素で行った時のプルークボーゲンを比較の意味で並べてみました。これから以降,キャスター・ターンを行なっていく上で現れてくる大きな特徴が,実はこのプルークボーゲンの運動の違いとして現れているのを見て欲しかったからです。足裏に意識したオレンジを,ジュースを雪面に絞り出すようにして踏み込む動作の滑りは,脚が極端に伸び,“重心”の位置が上下します。しかし。キャスターをイメージしたプルークボーゲンは外脚こそ少し伸びる動きはあるものの,ほとんど“重心”の位置が上下していません。
【Do】的要素のプルークボーゲンでは,雪面に力が加わった分,その反力が角付けの切り替え時に“重心”方向に戻ってくるため,このように“重心”の位置が上下し,それに合った形で上半身が上下あるいはやや前後に動いてしまいます。一方,キャスターイメージの方は,キャスターが二輪,四輪,二輪,四輪…の繰り返し意識なので“重心”の上下動が現れません。その結果上半身の姿勢も上下前後に動くことが無く,安定したある形にキープされています。スキーヤーの安定した滑りを考えた時,どちらがより合理的かが分かります。
また,ターン最中の外腰の向きに注目してみてください。オレンジ意識の【Do】的要素のものでは,踏み込む時に,ひざの動きに連動して,腰が曲がりながらややターン外側を向くようになります。つまり腰から上の外向姿勢が出てくるのです。しかし,キャスター意識の【Let】的要素のものは,腰がターン方向に付いて行っているように見えます。極端に言えば,腰がターンをリードしているようにさえ見えます。腰が回り込むように進行方向を向き続けているのです。これは,「かかと内側のキーキャスターを自分の行きたい方向に転がしていこう」とすることによって生まれる自然なフォームです。しかし,腰は一見ローテーション的に回り込んでいるものの,ウエストから上部は適度な外向が保たれています。実は,このことがこれから先,「スキーの切れ」に大きく関わってくることになります。
またさらに,【Do】要素のプルークボーゲンは,この意識を持ったままプルークの大きさをせばめ,パラレルに移行しようとしてもなかなか上手くいきません。ところが【Let】要素のプルークボーゲンは,これがスンナリ行なえるのです。迎え角方向にオレンジを押して行こうとすると,内スキーがどうしてもその支えとして必要なのですが,キャスターの転がりに乗って行こうとする場合は内スキーに頼らなくて済むからです。そして,ある程度プルークボーゲンに習熟し,スピードが少し出るようになれば,キャスターイメージのプルークボーゲンは自然にパラレルへと移行することになります。(^I^)
プルークボーゲン…なかなか味のある種目です。「これが上手く演技できるようになれば,一人前!」…と言われるのが分かる気がします。
Oct./06/2003 (月曜日) 曇り
今日は気温が13℃。少し寒い気がしますが,少しづつ少しづつ,その感覚に慣れて来ました。徐々に冬の身体に変身しているんでしょうか?(^o^)
今朝,新聞を読んでいたら「流れる水は決して腐らない」…という言葉が出ていました。よく言われる言葉ですが,どことなくハッ!としました。酸素がいい具合に混じっていれば水は腐らない…。自分の生活も,イロイロ吸収していれば,常に活き活きしていられる。自分の考えだけに固執せず,いろいろな意見を聞いているんだろうか…?そんなことを思いました。
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さて,今日は“Wicky”さんからいただいた E-mail のご紹介です。
『 …Wickyと言います。 TOK先生はいつもイロイロなことを素直に感じそれを言葉にすることを実践されていますね。これってなかなか出来ないことなんですよね。素晴らしいです。だからスキーのページなのになぜかそこからイロイロな世界を感じさせて頂いています。Sept/12/2003の日記を読んでいて勝手に感じた事を書いてしまいました。あしからず。
そうですね、過程、行程そこで体験したこと感じたことってどんな事でもとても大切ですよね。よく親は自分の子供に同じ失敗をしてもらいたくないがために、レールを引いてみたり、危険を退かしてみたりして、その子が成長し易くしてしまいますが、それって子供にとってはいい迷惑ですよね。やはり自分でやって学んだ事しか身に付きませんから。机上の空論をいくら雄弁に語っても、所詮自分が虚しくなるだけです。だからこそ失敗ってすごく大切であり、成長の糧だと思います。失敗できるうちはどんどんそれを経験した方が良いと思います。いずれいやでも失敗できなくなる歳が必ず来ると思います。(こんな事常識だよ等と言われると絶対失敗等出来ませんよね)そんな時でも失敗を恐れるのでなく、変なプライドを捨て、初めてやるものには失敗は付き物であり、そこから学ぶと言うチャレンジ精神こそ成長の基だと思います。スキーも人生も一緒ですかね、人それぞれの骨格、体型があり、全ての人に個性がありそれでOKのはずなのに、私達は、何を怖れて、何を、誰と、比べているのでしょうかね?その比べる物差しは何なんですかね?世界に一人しかいない自分と言う人間を本当に愛していれば、他と比べる事なんか出来るわけが無いんですよね。やはり自分自身を信用できず、自分自身を愛し続けられないのが原因ですかね。
なんかイロイロ書いてしまいましたが、私はJTのコマーシャルがとても好きです。「イロイロであること」とても素敵だと思います。スキー界(この業界に限らず)結構、机上の空論で敵対してくる人や団体が有ると思いますが、実際にスキーの楽しさは千差万別であり、イロイロな楽しみ方が有ってOKだと思います。スキーを楽しんで、好きになってもらえるよう私個人としても(大したことは出来ませんが)、イロイロな方面から応援させて頂きたいと思います。頑張って行きましょう。スキー万歳!!!…』
Wickyさん,E-mail ありがとうございます。どうでもいいようなことをイロイロな思いで感じるクセがついたようです。オレンジターンとかキャスター・ターン等と言っているからでしょうか?(^I^)
「初めてやるものには失敗は付き物であり、そこから学ぶと言うチャレンジ精神こそ成長の基…」と仰るとおり,ある所まで達するためにはその過程があり,普通だとこの過程を少しでも早く済まそうとする。でも,この過程での失敗や一見無駄なような経験が後で役に立つ…ということが良くありますネ!。良く「無駄,むら,無理」の3Mが良くない…と言われますが,私はこの三つのMの価値が解るようになれば本物かな?!という気がしています。そう思うことで心が楽になりますし,何をやっていてもそれが必ず役立つんだ!という自信になり,積極的にものごとに取り組む姿勢を生むことになる…と。(^I^) よく無駄なことをやってしまう【TOK】としては,こう思うことで落ち込むのを防いでいるのが本当のところです。(^o^)
「私たちは…何を、誰と、比べているのか…」…。極端に言えば,なにごとも手っ取り早いのは「コピーを作ること」です。教育の現場や製品作りでもそのような例がたくさん見られます。ひょっとすると“スキー界”でも…?。でもそれって怖いですネ!。そしてそういうことに慣れてくると,人と同じだと安心して居られる。違っていると「変わり者」扱いされて,集団から追いやられる…。しかし,人はそれぞれDNAも生活環境も異なっていて,もともと同じにはなれない。だからこそ個別の考え方があり,個々の生き方がある。それが個性であって大事なことなのに,コピーを作る社会に浸かっているといつの間にか,他と一緒でないことに不安を覚えてしまう…。でも,“スキー”をしていると,俺は俺でイイんだ。コレが俺の滑り…みたいな感覚が生まれてくることがあります。他人と違う自分が見えてくる瞬間が…。生徒さんにも時々こういう方が居られます。こういう人の滑りを見ていると,滑りの上手下手を抜きにして,オーラみたいなものが見える気がします。
“スキー”をとおして「“個”の素晴らしさに気付く」…。時々,そういう意味で“スキー”って凄いスポーツだなぁー…と感じる時があります。
「個としての自分が在る人」って素敵ですね! (^I^)
Oct./05/2003 (日曜日) 晴れ
今日は気温は少々低いものの,秋晴れの白馬です。私の教師仲間の“H”さんがパラグライダー初挑戦!と張り切って行かれました。好天気でなによりでした。何かに挑戦する…歳に関係なく,いくつになって前向きに!…見ていて気持ちがイイですネ!(^I^) 皆さんも「挑戦」…してますか? 自戒を込めて…(^o^)
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昨日の日記について,何人かの方から E-mail や掲示板で,「キーキャスターを内側に移動する…」の意味がつかめない…というご指摘を受けました。あいまいな書き方だったかもしれないと反省しております。(=_=;) みなさんご存知のように「キャスター・ターン」はあくまで「イメージの世界」の滑り方です。実際にキャスターが足裏やスキーの滑走面に在るわけではありません。そこに想像するわけです。ですから,昨日のキーキャスターを内側へ…というのも,キーキャスターが少しづつその位置を内側内側へと移り変わってって行く…というイメージを持ってください,ということです。イメージとして持つということですから,物理的にそんなことは起こりえない,オカシイ…ということは当然あり得ることです。その移って行くキャスターに乗り込み続けようとイメージすれば,自然にひざは内側に傾く動作を起こしますヨ!…ということなのです。
ちょっと実験をして見ましょう。今皆さんが居られる場所に立ってみてください。目をつぶり,先入観を持たず,頭を真っ白にして,とにかく右足裏のキーキャスターに乗っかっているとします。そして,そのキーキャスターが,今在る位置から左のほうに1センチ移ったら?…とイメージしてください。OKですか?では,またさらに2センチ移ったら?…3センチ移ったら?…という風にイメージしてください。あくまでキーキャスターに乗っていようという意識があれば,皆さんの右ひざは内側に傾いていませんか?私は確実に傾いているのですが…。
イメージ…というのはそういうことなのです。そこにあるキャスターやオレンジに,思いをいかに馳せることができるか?ということなのです。実際にそんな物が足裏に在るわけではありません。ですから,理屈に合わないとか,物理的でない…というのは皆さんが思われるとおりです。しかし,先ず手始めに,言われたようにキャスターをイメージしてみて欲しいのです。何度かこれを繰り返していると,「キャスターより私はゴムマリの方がイメージとして合っている…」とか,「3番キャスターより4番キャスターの方が私にピッタリ!」というように,私の語り口とは違うそれぞれその人その人に合った言葉やイメージが浮かんで来るはずです。このことを私は「教師の言葉を自分の言葉に翻訳できた!」と言っています。こうなればキャスターイメージは卒業です。スキーの技術の引き出しが充実できたことになります。そうなる過程として,イメージやフィーリングを豊かにする訓練をしなければなりません。そのキッカケのイメージを先ずキャスターで…ということです。
イロイロな斜面状況によってそのイメージも,またそれによって感じられるフィーリングも微妙に変わります。ですからいつでも同じフィーリングのキャスターターンができるわけではありません。斜度や雪質が違えば,さらに使っているスキー用具によって,その場面々々に合ったフィーリングが感じられ,それに呼応してイメージも変わってくるのです。つまりキャスターが感じ取る感覚は様々だし,イメージもどんどん膨らんでくる…ということです。しかも,その感覚は人それぞれ微妙に違う…という性質を持っています。でもその基本として,かかとにキーキャスターがあり,つま先側にセンサーキャスターがある…ということだけはしっかり意識するようにします。
皆さんもキャスターターンを通して,いろいろ豊かなイメージを膨らませてください。私は,このようなスキーは「人間の感性をもの凄く豊かにしてくれる!」と思っています。(^I^)
Oct./04/2003 (土曜日) 晴れ
今日は山の頂は雲に隠れていますが,トップページにも書いたように,沢筋に真っ白い雪が吹き溜まりのように残っています。少しゆっくりしていた草木も,あわてた様に山の上から衣を赤や黄色に換え始めました。(^I^) 紅葉の始まりです。
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今日は,10/1の「大回り・クロッシング」(約800KB),および10/3「キャスターイメージ・プルークボーゲン」(約160KB)と,二回にわたって見ていただいた「映像」についてのフォローです。実は“H.O”さんから次のような E-mail をいただきました。
『 …10月1日の「大回り・クロッシングの映像」大変参考になりました。ありがとうございます。実は自分の持っているキャスターターンのイメージとだいぶ違いました。切り替え前の4輪の状態はもっと長いのかと思っていましたが、一瞬ですね。私の持っていたイメージは、切り替えの時両足に均等に乗っているのを確認してから(両足とも4輪になっているのを確認して)次の外足に乗る、というものでした。外足が4輪になるのは最後に少しだけで、次の外足は、最初から2輪ですね。過去の記事を読み直したらきちんと書いてありました(^_^;) 自分勝手な思いこみは怖いです。映像により間違いに気づきました。先入観を捨て、もう一度キャスターターンの記事を拝見させていただきます。
ところで切り替えのイメージで、しっくりこないものがあります。かかとイメージです。2級を取るころは、後傾はいけませんと言われ、実際ビデオを撮っても後傾なのでとにかく前に乗ることを意識していました。1級を取るころは(先シーズン)、切り替え直後からターン前半は、トップに体重を移すようなイメージ、あるいは親指で押しつけるイメージでした。そしてトップが自然に内側に回り込むのを待っていました。ターン中盤から後半は板の真ん中を押し続けるかんじ。板が体の内側に入りこんだら次の外足の親指を押しつけ、切り替える。でもキャスターターンはターン前半から踵(キーキャスター)ですよね…???。
また、ある方から、切り替えの直後からターン前半で、外足の踝を雪面に押しつけるように内側に倒す方法を習いました。この人はターン前半は前荷重、後半は踵荷重だと言ってました。この方がターン前半から雪面をとらえられたと思います。しかし…キャスターターンは積極的な角付けをしていませんよね?。自分の中で、この2つの意識をはじめ、感覚が異なる滑り方が数種類存在しており、うまくミックスできていません。更に加えてキャスターターンが大きな比重を占めています。感覚がいろいろ異なるので、混乱してきました。
私の今までの意識とキャスターターンは別のものとしてとらえ、滑りの方法(バリエーション)を増やす、という意識で捉えた方が良いのでしょうか?(DoとLetの違い?) それともこれらの方法は理論的には同じもので、表現又は導入方法あるいは感覚が違うだけなのでしょうか?
「キャスターイメージ・プルークボーゲンの映像」、TOKさんの解説にもあるように、切り替え時の四輪イメージが良くわかります。実は、最初この映像を見たとき、ターンの中盤くるっと体で回しているように見えました。(前から見た映像) また、ターン外側の腕でリードしているようにも見えました。でも、ターン前半からの2輪を意識しながら何回か見ると、letスキーの感覚が判ったような気がします。単に映像を眺めるだけでは駄目ですね。…』
どうしても言葉や図だけの説明では捉えきれない部分があるのですね。それがこれらの映像で少しでも明らかになれば嬉しいことです。(^I^) 角付けの切り替え時の四輪部分はあっという間…は全くそのとおりです。滑り手の意識としてはかなり長いイメージなのですが,実際滑ってみると瞬時です。
かかと支点意識⇒かかと過重⇒後傾…という図式は,多くのスキーヤーが想像することですが,キャスター・ターンは,そうではありません。よく読んでもらえばわかると思いますが,スキー板トップ部分で雪面からの抵抗を受けるように斜面移動すれば,かかと支点でも後傾にはならないのです。“H.O”さんが仰るように,「トップに体重を移すようなイメージ、あるいは親指で押しつけるイメージ…」では,「圧」の向きが身体から雪への向きになってしまいます。このように,ターン外側へ向いたの圧が掛かると,スキーをその方向に押しやることになってしまって,春先などザラメ雪ではトップが帰って来ない滑りになってしまうのです。キーキャスターを支点として斜面移動して行くことの重要性がまさにここにあります。
キャスター・ターンでは積極的な角付けをしていない…。積極的な角付け…というのが,エッジングを強める…という意味であれば,そのとおりです。自分から雪面に働きかけるエッジングは行ないません。どうしてか?というと,そうしてしまうと,何度も言うように「むこう向きの圧」が掛かってしまうからです。キャスター・ターンの大事なところは,斜面移動による抵抗の捉え…ここから生じる「雪から重心方向に向かってくる圧」にあります。ですから,もしそれまでの圧以上に大きな圧を得たいならば,Sept/22/2003の日記でお話したように(右図のように),キーキャスターを白線方向に移動させるイメージを持つことです,そうすればチェック的な急激なエッジングではなく,滑らかな角付けができ,手前側への圧を得ることができます。スキーがターンを起こすには「圧」が必要だけれど,その「圧」には向きがあり,それを意識して滑るのがキャスター・ターンだ…ということができます。かかとや指を押し付ける…というのはまさに「向こう向きの圧」を作っていることなのです。この向こう向きの圧は持続性がありません。向こう向きの力を加えた時に,一瞬雪面の捉えが良くなった気分になりますが,それが持続しないのです。手前向きの持続性のある圧をキープするには「斜面移動」しかないのです。
“H.O”さんの混乱の解決策は,仰るとおり「DoとLetの違い」に気付かれ,それを意識して滑ることだと思います。向こう向きの圧優先⇒【Do】。手前向きの圧優先⇒【Let】。この両者は意識とすれば別ものです。言葉は悪いかもしれませんが,「やるか?やられるか?」という言い方もできます。「やられる」というのはどうも積極性が無いんじゃないか?…と仰る方がおられますが,むしろ私は「積極的なやられ」だと思っています。
昨日のプルークボーゲンの映像…掛け値なく,キャスターイメージだけのプルークボーゲンです。キーキャスターを転がして行く,あるいはキーキャスターの転がりに乗って行く…というイメージで滑ると,自然にこのような滑りになります。よくよくご覧いただくと,動作が自然に下から,足元から起きているのが判ると思います。キーキャスターの転がりに,自分の身体全体が素直に反応し,センサーキャスターが適度に雪面からの抵抗を受け続けていく…。その結果として外脚が伸びたり,外腰がターン方向にゆっくり回り込んだりしていますが,このような身体の動作はあとからでき上がるもので,身体の運動を先に行なっているのではありません。
「見た目」と「滑り手の意識」…この違いはもの凄いものがあると,私は思っています。キャスター・ターンは「滑り手の意識」を大事にした滑り方のひとつです。このイメージをキッカケとして,皆さん独自のフィーリングやイメージを作られるたら本当に面白いと思います。そのような「フィーリングやイメージを語り合う会」を,できたら2004シーズンの終わり頃にでも開きたいと思っています。皆さんもそれに向けてぜひいろいろなイメージをご研究下さい。(^I^)
Oct./03/2003 (金曜日) 晴れ
今日は朝方山に雲が掛かっていましたが,昼近くになって少しその雲が取れてきました。(^I^) でも気温は依然として15℃近辺…少し肌寒いです。
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さて,今日はいろいろな滑走イメージの中の「プルークボーゲン」をキャスターイメージでお届けいたします。
私は常々,プルークボーゲンの中にも美しい優雅な滑りがあると思っています。無駄な力が入らず,身体の使い方も自然で,雪との会話を楽しんでいるような,そんなプルークボーゲンです。
キャスターイメージでプルークボーゲンを行なうと,そのような滑りに近くなる気がしています。(^I^) 「キャスターイメージ・プルークボーゲン」(約160KB)をクリックしてみてください。外足,キーキャスターとセンサーキャスターの二輪での捉えから四輪全部での捉えに移行していく過程が見ていただけると思います。その結果外足の伸ばし押し出しはほとんど見られません。あくまでキーキャスターを自分が行きたい方向に転がして行き,その結果センサーキャスターが雪の力を受け止め,スキーの進行方向を決めていきます。次のターンに入りたいと思ったら,その二輪での捉えを四輪に変えていけばいいのです。映像の途中で一旦停止の画面がありますが,ここが「四輪全体での捉え」の場面です。右スキーがちょうど“重心”とのクロスをしている局面で,その時左足はすでに角付けがされている状態です。このようにすると,ちょっと目には,それまでの外足を腰の下に引き込んでいるように見えますが,実際は四輪を意識しているだけです。ですから四輪になっても雪面コンタクトの「圧」そのものはあんまり変わらないのです。圧は平らになった四輪のほうの足に多く掛かっていますが,外スキーがすでに雪面からの抵抗を受け始めるので,そちらの方のターン力が優って次のターンが始動されるのです。外から外へ…という押し出しのプルークボーゲンではなく,二輪四輪⇒二輪四輪…というキャスターがゴロゴロ転がっているという意識のプルークボーゲンです。
もうお気付きになった方も居られると思いますが,この外脚の動きはベンディングの時の外脚の動きと同一のものです。ただV字にスキーを開いているのでベンディング…という風に見えないだけで,この時スキーが平行状態であれば,緩斜面パラレルのベンディング要素の滑りそのものです。
このように,たかがプルークボーゲンなのですが,ターンコントロールと角付けの切り替え要素がしっかり勉強できるボーゲン…されどプルークボーゲン!なのです。(^I^) 足裏に四輪を意識し,それを自由自在に使いこなす…緩斜面も楽しくなること請け合いです。皆さんもぜひお試しを!(^I^)
Oct./02/2003 (木曜日) 小雨
今日は小雨になってしまいました…(=_=;)。スタートページにもUPしましたが,8時頃きれいな「虹」が見えました。右端から左端まで全部つながった美しい虹でした!(^I^)。 こういう虹を見ると,どこと無く得した気分になりますネ!。
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さて,今日は私的なことで申し訳ないのですが,私のプライベートレッスンについて…。
9/25及び9/28にもご案内させていただきましたが,今シーズンは「教程」と「検定」が改定になること,そしてスキースクールの他の公務が増えたことにより,レッスンの現場にでる機会が少なくなってしまいそうです。教程や検定が実際どの程度の改定になり,それを的確に皆様にお伝えするにはどうするべきか?という形が今の段階で見えておりません。もしかすると大変な作業になるかもしれませんし,あるいは想像以上にスンナリ事が運ぶかもしれません。しかしながら,一応スキースクールの中で両セクションの部長を拝命している身といたしましては,最も忙しくなる事態を想定しておかなくてはなりません。
私がある程度責任を持って行なわなくてはならない仕事と,他の役員にお任せできることをいろいろ勘案してみました。そしてそれを表にしたのが「2004スケジュール表」です。こんな表を皆さんにお知らせするのは,気恥ずかしい気もしますが,ホームページ上で語っていることを実際の雪上で…というご希望も多く,皆様一人一人からのお問い合わせにお答えするにも,時間的制約があって,大変なのが実情です。そういう訳で,どこかの誰かには「偉そうに!」と言われそうですが,この表を公開させていただきました。(=_=;) 多分,この表のような公務が実際にあるとは思いませんが,それが明らかになるのはどうしても間際になってから,あるいは各行事の担当者が決まってからです。ヒョッとすると,ほとんど空きに変わる可能性もあります。そういう訳で,私の予定変更が出た時,それをいち早く皆さんにお知らせするページを設けました。これも大げさなようで気がひけますが,【TOK】スケジュール変更がそれです。
すこしでも,現場の教師から“スキー”を愛する皆さんへ役に立つ情報を…ということで始めた On Line Ski School
ですが,みなさんのおかげで,結構多くの方にご覧いただけるようになりました。大変ありがたいことです。ですが一方,私が発信する全く個人的な情報が,一人歩きを始め,スキーに関わるいろいろな方々に,ご迷惑をかけることになりはしないか…という心配も感じます。多くの方にご覧頂けばいただくほど,その責任を感じます。Inter Net
での情報発信の功罪をこのごろ思うようになりました。
でも,皆さんからレッスン希望のご連絡を頂くと,「少しは為になっているかな?」という気持ちになり,勇気を奮い起こすためのエネルギーをいただいている気持ちになります。(^I^) ほんとうにありがたいことで,教師冥利に尽きます。
このような省みる気持ちを常に持ちながら,これからも皆さんのお役に立てるよう努めてまいりますので,よろしくお願い致します。
Oct./01/2003 (水曜日) 快晴
今日からいよいよ10月です。初冠雪があって,2004シーズンも本格稼動…という気がします。(^I^) 気が引き締まりますネ!
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さて,今日から新しい月に入りました。あとシーズンインまで約二月ですので,今月はいろいろなイメージを皆さんにお届けしようと思います。参考になれば幸いです。
今日は「大回り・クロッシング」(約800KB)をお届けいたします。Windows Media Player でご覧下さい。スキーヤーは還暦間近の【TOK】です。キャスターイメージの要素が結構出ていると思いますので,お恥ずかしい滑りですがご覧下さい。
先ず,“フィーリングスキー”の「No.0041クロッシング」でお話した,ターン中盤の二輪転がりから後半の四輪転がりの部分です。この時の雪は春の雪で,雪面が少し柔らかいので,ターン中盤から後半に掛けて,圧が強まった所で少し足元の雪が崩れています。しかし一気に加圧がされるよりは二輪⇒四輪の意識が働いて,外スキーが身体の下に入り込んで来ています。意識としては腰の下,“重心”の下に入り込んでから次の外足のキャスターに乗り込んでいるのですが,時間的には結構早く移行しています。言葉で解説すると,結構時間があるように思いますが,実際はこのような滑りになる…ということです。
次に,四輪ホールドが終わり,外足の二輪に意識が移った時点で,打ち足が結構浮いた状態になっています。本来なら雪面から浮かない方がベターなのですが,滑走スピードや雪質によっては,それまでの外スキーは抵抗が開放されますのでこのように浮くこともあります。浮く,浮かないが問題ではなく,ターンをリードする外スキーがしっかり雪面を捉えられているかどうか?が大切なことです。
キャスター・ターンでの大事な要素のひとつ,「外腰の向き」ですが,大回りですので,その向きがスキーのトップ方向に向いています。これがカービング要素を生み出す大事なポイントです。ただし,ウエストから上部はややターン外側に開き気味です。わたしは実際のターンでは,カービングターンでもウエストから上はこのような状態のほうがイイと考えています。上体全てがターン内側を向くより,このことがほんのわずかですが,次のターン始動を楽にしてくれると思っています。ターン外足のキーキャスターに乗り込んで行こうという意識を持てば持つほど,このような姿勢が現れてきます。自分でこのようなフォームを作ろうとしているのではありません。
またターン中盤で,外脚と内脚の軸の傾きが同じで無く,それぞれのバランス軸が“重心”に向かって伸びるような角付けになっています。わたしはこれはこれでOK!だと思っています。これは外スキーのテールがターン外側に逃げてしまってできる。「三角窓」とはわけが違います。外スキーでの捉えがしっかりできていて,そのバランス軸が“重心”に向かっているのです。そして,内スキーも外足のキャスター意識によって自然に雪面を捉え,そのバランス軸の向きも“重心”を目指しています。ひざの角度は両足平行になる方がイイ…という意見もありますが,そうなってしまうと,内スキーで捉えた雪からのエネルギーは“重心”以外のところに向いてしまい,効率の良いターンはできないと思います。
この滑りは,フォームや姿勢のことを優先して滑ったものではありません。あくまで「キャスター」を足裏にイメージし,それに乗り続けて行こうとしている滑りです。“重心”がしっかりスキーに付いて行っている滑りだと思います。(^I^)
Windows Media Player …見れない方…ごめんなさい…。(=_=;)
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