“フィーリングスキー” 
          
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                      Chapter 6    三つの“感じる”フィーリング

 Contents  ☆★☆

0028 感じる強さ

0027 感じる方向

0026 感じる場所 


------------☆★フィーリングスキー★☆-------- 0028 感じる強さ ----

  今回は「三つの感覚を研ぎ澄ます」の三回目で“感じる強さ”…がテーマです。
  0012 横に滑る (感じる強さ) で「雪」と「スキー」の間に生まれる除雪抵抗についてお話しました。この抵抗の強さを数字で意識しコントロールすることが,結局は「雪」と「スキー」の間のコンタクト圧を調整することになります。
  プルークボーゲンでかなり滑り込んできましたから,ここではどうやったらこの圧力を自在にコントロール出来るかを学ぶことにします。この圧力調整の仕方には大きく別けて二つの方法があります。
  ひとつは 
0027 感じる方向 で学んだように“迎え角”を変えてみることです。迎え角が大きくなれば雪の抵抗をたくさん受け止めることになりますから,圧力は強くなります。自分から意識してこの“迎え角”をいろいろ変えてみて,その時々のコンタクト感覚がどうなるかをつかんでください。この角度だったらこれくらい…もう少し大きくしてこれくらいならこのくらい…という風に,自分の意識とそのとき得られた感覚を対応させて覚えると効果があります。
  ふたつ目は“エッジ”の角度を変えてみることです。エッジの角度を変える…と表現すると難しくなりますが,要は 0014 オレンジターン事始め でお話した「オレンジ」を足裏のどこに意識するか?ということになります。プルークボーゲンで滑走中に,右図のように@〜BCまでいろいろな所にオレンジを置くように意識してみます。下の三つの絵のように,CやBにオレンジを意識した時より@側に意識した方が,結果としてヒザが内側に倒れるようになります。@の方がスキーの「角=エッジ」が立ちますので,これをエッジ角が大きい,と呼びます。つまりオレンジを足裏のインサイド側=@側に意識すればするほど,エッジは立つ,というわけです。実際の滑りの中で,オレンジをどこに意識するかということ=エッジの立ち方のフィーリングと,
その時々のコンタクト感覚がどうなるかをつかむことも大切です。普通はヒザが内側に入ってエッジが立てば,雪の抵抗が増えますから,コンタクト圧は強く感じます。

  以上二つの方法で,いろいろとコンタクト圧を変化させなが,できるだけ多くの斜面を滑ってみましょう。どういう風にこのコンタクト圧を意識したら,それぞれの斜面で活きるか?が少しづつ分かってきます。実際のスキーイングでは,スキーのズレ方やスピード,ターン円弧の大きさと,圧の強さが大きく関係していることが分かるようになります。

  この段階では,スキーがV字形になっているとかなっていないとか,にこだわらず,緩斜面で結構ですから,「圧を感じる場所」,「圧を感じる方向」,「圧を感じる強さ」に意識を働かせて,できるだけ数多く滑ることにしましょう。足裏を経由して,いろいろな情報やメッセージが届くのが分かるようになります。まさに大自然からの「贈り物」が体験できます。
 
 

------------☆★フィーリングスキー★☆-------- 0027 感じる方向 ----
  今回は「三つの感覚を研ぎ澄ます」の二回目で“感じる方向”…について。
  0011 横に滑る (感じる方向) で足裏で感じるということのひとつに,「雪の感触が伝わって来る方向」があり,その基本的なことをお話しました。スキー用語の“迎え角”という意識が大事なこともお話しました。ここではこの「感じる方向」についてさらに詳しく見ていきたいと思います。
  プルークボーゲンが出来るようになって,少しづつスピードが出せるようになると,この「スピード」はスキーのV字形の開き具合の大小と関係があることに気付きます。大きいV字形の時の方が小さい時に比べてスピードが遅くなります。ちょっとスピードが出すぎたかな?と思ったらこのV字を大きくするように調整するのですが,このとき大事なフィーリングがあります。それは「脚を開きだすことによってV字を大きくする」という意識でなく「足裏のオレンジを中心にスキーのトップが内側に,テールが外側に…」という意識を持つことです。つまりオレンジを中心にしてプロペラのようにスキー板が回転するイメージを持つことです。
  このやり方には大きく別けて二つの方法があります。ひとつは自分の力を使って,オレンジを中心にスキーのトップが内側に,テールが外側に「ヒネル意識」で回す方法です。これを「回旋」という人もいます。特に「自分でスキーを回す」という意識の人に多く見られます。【Doスキー】的な方法と言えます。
  もうひとつは,雪の力で回るのを待つ方法です。自分で回そうとしなくても,オレンジを踏んで斜面を移動して行けば,No.0016でお話したように,スキーの前後差が生きて自然にオレンジを中心として回ることも可能なのです。(右図参照)【Letスキー】的な方法です。
  ここで“迎え角”について考えておきます。この“迎え角”意識はこれからスキーをする上で非常に大事になる意識で,特にスピードコントロールと密接な関係にあります。スキーが斜面を滑って行けば,雪から「除雪抵抗」という形でエネルギーがやって来ます。この雪からのエネルギーをどれくらいの幅でスキーが受け止めるのか?ということを意識することに他なりません。この角度「α」が大きければ大きいほど雪の力をたくさん受けますからブレーキがかかった状態になり,スピードが遅くなります。逆にこの角度が少なくなり「直滑降」に近い形になればスピードは速くなります。
  この角度「α」が大きい,小さいという違いは,実際には「胸や上体がどれくらいスキーに対してねじられているか?」というフォームで現われます。しかし,大事なことは,この形を先に作ることではなく,「α=迎え角」を足裏で意識することです。この意識を無視して形だけを真似ることは,雪面コンタクトを不安定にしターン円弧が安定しません。上体や下肢のフォームはそのスキーヤーの骨格的な特質,使用しているスキー板の特性によって微妙に異なり,同じフォームになる事はほとんど無い,と言っていいでしょう。
  ここでは,自分で意識して足裏の「α=迎え角」を変える練習を積んでください。“フィーリングスキー”で大事な「感覚を研ぎ澄ます」ためにはうってつけの練習になります。


------------☆★フィーリングスキー★☆-------- 0026 感じる場所 ----

 前回までの練習でだいぶプルークボーゲンに慣れてもらえたと思います。今回はさらに足裏の感覚を研ぎ澄まし,足裏の微妙な違いを感じ取る練習をしたいと思います。
 0010 横に滑る (感じる場所),0011 横に滑る (感じる方向),0012 横に滑る (感じる強さ)で,これからスキーをして行く上で大事になる感覚,感じる“場所”,“方向”,“強さ”の三つの要素の基本をお話しました。そしてそのあと,オレンジを足裏に意識しそれがどのような風につぶれているかを,をイメージしました。実はこのオレンジを意識するということが,足裏に意識を集中させるひとつの方法だったのです。ここではさらに,この三つの感覚を研ぎ澄ますことにします。

 1.感じる場所 :

  足裏のどこにオレンジを置くかということはスキーの安定感と深いつながりがあります。
  右の図のAのところにオレンジを置いてプルークボーゲンをしてみると,スキーのテール部分が不安定になります。もし自分の力を重心方向から足裏のオレンジめがけて加えるようにすると,トップ部分が雪にもぐりこみ,テールが外側に出て行きやすくなり,比較的クルクルと回れます。これを【Do】の要素のプルークボーゲンと言います。これでもプルークボーゲンはできますが,安定感に欠けます。しかし雪の力を受けるだけだとスキーの前後差があんまりありませんから,ターン円弧は大きめになります。
  また,Cの部分にオレンジを意識するとテールの捕らえがしっかりとしますがスキーのトップ部分がフラフラします。自分で力を雪面に加えようとするとトップが外側に逃げていってターンになりません。しかし,雪の力を受けるように斜面を進んで行くと結構回ってくれます。
  いちばんスキーが安定しているなぁーと感じられる場所はオレンジがBにある時で,安心してスキーに乗っていられます。
  同じ場所にオレンジを意識しても,そのオレンジにみずから力を加えるのか,それとも斜面移動で雪から力をもらうのか?ではターンの質が違って来ます。
  どうしてこのようなフィーリングの違いが出るかというと,それはオレンジの位置が変わることで,スキーのトップ部分とテール部分が受ける力のバランスが変わることによるものです。
  このオレンジの位置関係と,【Do】と【Let】の関係を表にしてみると次のようになります。

荷重点(支点)
オレンジの位置
oスキー】
自分の力をオレンジに加える。
etスキー】
雪の力をオレンジを経由してもらう。
A−D
 トップが雪に沈み込み,テールが外へ出やすくなりクルクル回る。
 テールがフラフラし安定感に欠ける。
A−L
 トップとテールの長さの差が小さくなり,ターンする力が弱くなって,大き目の回転弧になる。
B−D
 力を加え,押す意識だけではスキーがサイドスリップしがちだが,Bを中心とした「ヒネリ」の運動を行なうと切れの要素のターンができる。
B−L
 スキーが最も安定し,スキーの前後差が生きて,スキーの性能を最も生かした楽なターンができる。
C−D
 テールの捕らえが強くなり,トップがフラフラしてターンにならない。
C−L
 積極的に斜面移動ができれば,トップが雪の抵抗を受けることができるので,ターンしやすくなる。スピードが少ないとトップ部分が不安定になる。


  オレンジ位置をどこに置くか?ということと,どういう意識でオレンジをつぶすか?という意識の持ち方で,ターンの質は大きく変わります。【Doスキー】意識も,【Letスキー】も共に大事な意識です。どちらが重要でどちらが重要でない…ということではありません。スピードや斜面条件によって,いろいろ使いこなすことが大事です。
  オレンジの位置をいろいろ変え,その時々のフィーリングがどう違うか?試しながら,スキーを楽しんでみましょう。意識を足裏に感じることの意味が少しづつ分かるようになります。


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