“フィーリングスキー” 
          
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                      Chapter 2  直滑降からプルークへ

 Contents  ☆★☆

0013 “感じる”利点

0012 横に滑る
         
(感じる強さ)

0011 横に滑る
         
(感じる方向)

0010 横に滑る
         
感じる場所

0009 直滑降を楽しむ
          
(因果関係)

0008 直滑降を楽しむ
        (滑るイメージ)

0007 直滑降を楽しむ
        
(足裏で感じる)

 



      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0013----
 前回まで,「感じる場所」,「感じる方向」,「感じる強さ」…についてお話してきました。
 もうお気づきの方もおられると思いますが,実はこの三つは,私のレッスンでいつも出てくるフレーズなのです。「足裏で感じて滑る」ためには,具体的にどういうことを意識したらいいのか?ということが大事になりますが,「場所」「方向」「強さ」がそのポイントになります。この三つの要素を意識するということは,ちょっと難しく言えば「足裏に作用するベクトルを意識する」…とでもいうことになるでしょうか。滑っているときの感覚として,一本の力の線をどう意識するか?がスキーの動きと密接に関係してくるのです。
 
では,この「三つの要素で感じる」…を意識すると,どんな利点があるのでしょうか?
 運動やスポーツをするとき,一般的には「フォーム」や「型」を大事にします。上達のための練習でも,フォームを矯正する…というのが普通です。私も中学から高校まで野球をやってきましたが,その練習のほとんどは,「ゴロは体の真中で取れ…」とか「打つときは左肩を残せ…」とか,フォームをどうするか?ということばかりでした。“スキー”でも同じように「ヒザを内に…」とか「腰は前に…」とかの練習用語が多いのですが,これをやればやるほど,意識は「体をどうするか?」ということに集中し,こわばらせてしまうことになってしまいます。肝心な雪面コンタクトはどこかに吹っ飛んでしまい,形がよければ「良し良し!」という評価を受けます。でも内心では「雪とのコミュニケーションは何にもないなぁー」という思いが残るのです。これでは「スキーを楽しむ」ということになりません。前回の「コラム」にも書いたように,スキー技術を論じるときもこのフォームを元にすることが多いのですが,「形」はあくまで「一連の流れのかなのひとコマ」であって,それが全てではない!ということです。人間はひとりひとり,その身体のつくりが微妙に異なっています。ですから同じことを感じていても,そのフォームは人によって違うのが当然なのです。それを皆同じフォームにしよう,とするところに大きな間違いがあると思います。
 「足裏で感じる」ということをやってくると面白い現象に出会います。前回も話しましたが,「○○で感じてみよう…」とか「こういう風に感じてみよう…」,「△△くらいの強さを感じ取ろう…」とすると,身体が自然にその意思に反応し,感じ取るのに最適な動きを始めるのです。単純な例では「つま先で感じよう」とすれば「前傾姿勢」になりますし,「“4”の力を感じよう」とすれば,ヒザがやや内側に入り,「エッジが立つ」のです。これはフォーム優先ではありません。フィーリング優先で,身体の運動がこれについて来るのです。しかも感じよう,感じよう,としますから,筋肉がガチッと硬くならず,情報を伝えるのに最適なリラックス状態になります。同じ前傾姿勢でも,その人が使っているスキー用具や,身体の構造の違いから,前傾の仕方に微妙な違いが出てきます。これこそが「スキーヤーの個性」と言っていいものだと思います。
 また,“スキー”の快感は「ギューーンと切れる感覚」だったり,「深雪でのスキーの返りの感触」だったり,いろいろなフィーリングを感じ取ることでもあります。これらの場面では,いかに感じ取る能力が優れているか?ということがその快感をたのしむ尺度ともなります。つまり,“スキー”をより楽しむためにも,足裏の感覚,脚の感覚,身体全体の感覚,が良いに越したことはありません。そのためにも日ごろから「感じる能力」を養っておくことが大切です。
 「フォーム優先」より「フィーリング優先」の方が,スキー上達の上でも,スキーを楽しむ上でも優れている…そう思います。

      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0012----
 今回も“横に滑る”。本日はその三回目で“感じる強さ”…がテーマ。
 前回,前々回と“横に滑る”…ということで話を進めて来て,“感じる場所”と“感じる方向”のことについて触れました。今回はもうひとつ大事な要素“感じる強さ”がテーマです。
 雪の上にスキーが乗っかっていて,前方に滑って行きますから,スキーには雪からの「力」を受けます。この力=抵抗のことを「除雪抵抗」と呼びますが,その強さがどれくらいあるのか?を感じ取ろう…というのが今回の狙いです。「強さはどれくらい?」といきなり言われても困惑してしまいます。そこで次のように考えてみて下さい。最も弱く足の裏に雪を感じるときを“1”の強さの状態とします。ものすごく強い力を感じて「こりゃ大変!腿が痛い…」というように感じられたら,それを“5”の強さ…とします。この強さは,他の人と同じである必要はありません。自分だけが感じる強さの違い,自分だけの尺度,でいいのです。
 前回の“感じる方向”を変えてみたり,雪質や斜度が違うところを滑ったりすることで,“1”〜“5”まで,いろいろな強さがあることが少しづつ判るようになります。ある時は“2”だったり,ある時はそれよりチョットだけ強い“3”だったり…という違いが…。最初から,これは“1”,これは“4”というふうに感じ取ることはできなくても,「感じ取ろう」とする意識があれば,徐々にその違いが判ってきます。教える側は「こんどは“2”の強さで…」,「じゃあ,次は“4”で…」という風にいろいろな強さを指定してあげるといいでしょう。
 この練習をしていると面白いことに気付きます。生徒さんに「チョットだけ今より強く感じてごらん…」と言うと,ほとんどの生徒さんが,脚を大きく左右に広げたり,ヒザをわずか内側に倒すような仕草を見せるのです。実は,このことが“フィーリングスキー”の特質を表しているのです。次回詳しくお話しますが「感じること」が「動作」につながる…ということです。
 この「雪面コンタクトの違いを数字で感じ,言葉に現す…」という手法は,アメリカの心理学者“ティモシー・ガルウェイ”というひとがテニスやゴルフ,そしてスキーのレッスンをする際に用いた手法ですが,「足裏で感じる」ということに意識を集中させるには,もってこいの方法です。感覚を数字に置き換える…言葉を変えれば「アナログデータ」を「デジタルデータ」に置き換える作業を通じて「意識集中」ができる…ということです。
 他人にスキーを教えたことがある人はご経験されていると思いますが,“スキー”を教えていて,最初直面する問題は「斜面をうまく登れない生徒さんが居る…」ことで,その次は「スキーをV字形にしたまま滑り降りれない生徒さんが居る…」ということです。このどちらも,これまでお話した「足裏で感じる」ということができれば,万全とは言わないまでも,ある程度スンナリといくことなのですが,どうしても「カタチ」で教えようとしてしまいますから,生徒さんの身体はカナズチのように硬くなってしまうのです。
 「感じる動作はリラックスを生む」ということを利用すれば,レッスンもまた違った展開になると思います。

      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0011----
 今回も“横に滑る”。本日はその二回目で“感じる方向”…がテーマ。
 前回は,スキーを少しだけV字に開いて直滑降意識で滑ることで,足裏のいろいろな場所に感じる雪の感触を楽しみました。
 今回は「雪の感触が伝わって来る方向」を意識してみることにします。
 右の図のように足裏の内側の黒いラインに対して,雪の力がやって来てる…と感じられる方向が,どのくらいの大きさの角度かな?ということを意識するのがポイントです。ここでは説明上,右の足裏だけについて解説しますが,実際の現場では左右両方の足裏感覚を同じように意識してください。
 初めは「α」のように,小さい角度で感じるように意識します。次にもう少しこの角度が大きくなり「β」のようになるように意識してみましょう。最初のうちはなかなか感じ取れないかもしれませんが,数回やっている内に,ほとんどの人がこの感覚の違いを感じ取れるようになります。「α」と「β」の違いが足裏感覚の違いとして感じられるようになるのです。テール側を広げるとか,V字形を大きくするとか,「形」を先に作らないことが大切です。あくまで「足裏感覚」を大事にして,「α」や「β」を意識するのです。もしこの感覚がつかみにくい場合は,黒いラインを頭に思い描き,このラインで前方からの雪を「少しだけもらう」,「たくさんもらう」という風に意識してみるといいでしょう。
 結果としてフォームは,スキーのV字角度が,「α」のときは小さめになり,「β」のときは大きくなります。しかし,結果としてのこの「形」を最初に見せてしまうと,その「形」を作ることに神経がいってしまい,足裏感覚がおろそかになります。足裏のフィーリングよりも,形を大事にすることになってしまいますので注意が必要です。
 「α」と「β」の違いが少し判るようになってきたら,つぎは一回の「プルーク直滑降」の中で,この角度を連続して大きくしたり小さくしたり,してみます。下肢の動きが自然に現われ,テールが外側に行ったり戻ってきたりする現象が出てきます。また,中には足裏を中心とした「ヒネリ動作」の見られる人も居ます。そのどちらでも構いません。形はどうであれ,大事なのは足裏の感触です。
 「黒いライン」と「赤いライン」のあいだにできる「α」や「β」の角度のことを
スキー用語では“迎え角”といいます。この段階では,この言葉にこだわる必要はありませんが,足裏の感覚として,「雪からの力が少ない」という「α」と「雪からの力がたくさん来ている」という「β」の違いがあることを感じ取ることが,大切です。
 「雪からもらう力の強弱の違い」は「α,βの大きさの違い」という「因果関係」にあることが判ればこの段階は卒業です。

       -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0010----
 今回からは“横に滑る”で,本日はその一回目…。
 前回までのように,積極的に前方に滑って行く意識を持つことで,足裏でいろいろな雪の表情が感じられたと思います。初めはそんなにこと細かに感じ取る必要はありませんが,次第に経験が積み重ねられ,微妙なフィーリングの違いがわかるようになります。特に,つま先側からかかとにかけて,雪が足裏をくすぐるように通り過ぎていく感じがつかめればいいと思います。
 さて,直滑降では雪の抵抗がスキーのトップからしか来ませんが,実際のターンでは,この雪の抵抗を“斜め前方”から受け止めることになります。そこで,斜め前から受け止める意識とそのフィーリングはどういうものか?ということを学ぶことにします。
 初めは,腰の下でスキーをほんの少しだけ「V字形」に開いた状態を作り,その状態のまま前方に滑り降りてみます。あんまり開き過ぎるとエッジが立ち過ぎ,抵抗が強くなって滑るのが大変ですから,少しだけにします。直滑降でほんのわずかテールを開いた状態でOKです。これを“プルーク”の直滑降=プルークファーレン,と呼びますが,直滑降と同じように,この状態で雪から来るメッセージを楽しむようにします。プルーク状態にすると,すぐブレーキをかけたがる人が多いのですが,そうではなくて,あくまで足裏を通過する雪の感触を感じ取り,楽しむことが大事です。あくまでも「わずかだけV字にして前に進む」…という意識を大事にします。
 直滑降ではつま先で感じられたメッセージが,プルークでは足裏の内側で感じられます。繰り返し滑っていると,右の図の「A」から「C」にかけていろいろなフィーリングが感じられるようになります。「AからC全体」で雪を感じている感触と,「C」のように足裏の後ろ側で感じる感触は違うことが判ります。雪の力を「A」で強く感じた時と「C」で強く感じた時では,スキーの開き具合に変化が出て,滑走スピードが違ってくることも判るはずです。教える立場の人は,「つま先で感じるようにしてごらん…」とか「こんどはかかと寄りで…」,「次は足裏内側全体で…」というようなアドバイスをしてあげるといいでしょう。このアドバイスは,結果的に“雪の抵抗を受け止める”という意識と,“支点感覚”を養うことにつながります。
 大事なことは,直滑降のフィーリングと,少しスキーをV字形に開いた時のフィーリングに違いがあることを感じてもらうことです。そして,そのときどきのフィーリングを感触の違いとして味わい,楽しむことができたら最高です。モチロン,毎度お話しているように,フォームを注意しないことも大事です。各自の骨格,筋力の強さ,使用しているスキー用具によって,表面上現われる「形」は千差万別ですから…。


      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0009----
 今回は“直滑降を楽しむ”の三回目…。
 前にも書きましたが,“直滑降”そのものを楽しめないと,本当の意味で“スキー”を楽しんでいる…とは言えない気がします。斜面が緩かろうと急だろうと,その違いやスピードの違いはあっても,そのレベルレベルで楽しめる…と私は思っています。位置の高い所から低い所へ「地球の引力」に引かれて落ちて行く感覚は,引っ張られている…という思いがあると地球の大きさみたいなものまで感じてしまいます。
 直滑降をどう楽しむか?という手段のひとつとして「ゴールを設定して滑る」というのがあります。最初は初心者に“直滑降”を何回も経験させるための手段としてやっていたのですが,実はこの意識が「斜面移動を積極的に行なう」という意識を養うのに適している…と思っています。どうするか?というと,直滑降で自然に止ってしまう位のところにストックを立て,そこまで滑って行けるかどうか?ということを経験してもらうのです。すると目標ができますから,自分からすすんでその位置まで到達しよう!…という意識が働きます。また,誰がいちばん遠くまで止らずに滑れるか?というような競争の面白さを取り入れた課題もいい練習になります。
 実は,これらの課題を与えると,より遠くへ行こう遠くへ行こう…という意識が働きますから,生徒さんは皆,極力ブレーキをかけないようになります。そして,足裏のどの部分に乗っかった方がより遠くまで行けるのかが判るようになります。つま先に乗るよりかかと気味のほうが良く滑る…ということに気が付くのです。つまり,「滑走距離」と「足裏感覚」はどんな風に関係しているか?という具合に,「感じるフィーリング」と「その結果」という図式で身につけることができます。これを私は「フィーリングの因果関係」と呼んでいます。
 スキーがうまくなる…ということは,言葉を変えると,この「因果関係」をたくさん身につける…ということだ,とも言えます。つまり,いろいろなシチュエーションごとに,そのときどきのフィーリングがどう違うのか?ということが判り,そのフィーリングを引き出すことができれば,それはうまくなっている…ということなのです。いろんな経験を積み「フィーリングの数」を増やせれば,それは確実に上達への階段を昇っている…ということができます。
 あるひとつの状況だけに通用するフィーリングのみで千変万化する斜面を滑ることはできません。また,最近のようにスキー板そのものの性質が多種多様になってきている状況では,その板特有の滑り方ができたとしても,板を替えたらもう滑れない…では,どうしょうもありません。どんな斜面に出ようとも,どんな板を使おうとも,すべり手が大事にし頼るのは「滑走時のフィーリング」です。斜面や板に関係なく,自分が経験した多くの「滑走フィーリング」の中から,どのフィーリングを引き出して生かしているか?が判れば,その状況下での最高の滑りが可能になります。
 話が少し横道にそれましたが,“直滑降”という単純な練習の中にも,これから以降スキーを楽しむ上で大事ないろいろな要素が,数多く含まれていることが解ります。「経験の多さ」を「フィーリングの多さ」にして行く…これはスキーの楽しみの幅を広げてくれるキーワードのひとつです。

      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0008----
 今回は“直滑降を楽しむ”の二回目…。
 “直滑降”では“スキー”の「基本中の基本」と言っていい“滑る”という感覚を身につけることができます。足裏で雪の表情を感じ取ることができ,肌を過ぎる風の心地良さを感じることができれば,“直滑降”そのものが楽しくさえなります。最近は“ターンすること”がメインのスキーが多いのですが,中上級者のスキーヤーも,もっと“直滑降”の楽しさを味わうべきだと思います。(^I^)
 さて,前回お話した,足の裏で感じ,そのフィーリングを上部に伝える感覚は一気に研ぎ澄まされるわけではありません。何回もの繰り返しの中から少しづつ良くなってきます。いろいろなシチュエーションを経験することで,それぞれの状況の違いが感じられ,フィーリングの違いが判るようになります。つまり,「経験の豊富さ」が「違いが判る」ことにつながり,「感度の良さ」となって現われてくるのです。そういうわけで,教える立場の人は,いかに多くのシチュエーションを習う人に提供できるか?ということが大事になりますし,独学で上達しようとする人は,みずからいかに違った状況に挑戦しようとするか?が大切になるわけです。
 慣れてきたら,片足交互上げをして滑ったり,交互に踏み換えて滑走ラインを変えてみたり,少しだけジャンプしてみたり…してみます。その時々の足裏の感覚がどういう風か?どうフィーリングが違うのか?を意識させることによって,足裏の感性が次第に良くなってきます。目で見るだけでは恐怖心が先立つこのような運動も,足裏で感じさえすれば安心!…という意識が働くようにもなるでしょう。大げさに言えば「心眼で雪を観る」という姿勢が少しづつ身についてきます。
 次に大切になるのは,“滑る”というイメージをどう持つか?ということです。“滑る”という言葉から想像するイメージは,ほとんどの方が「滑って転ぶ…」,「試験にすべる…」などのマイナーなものです。“滑る”が“楽しい”に変わるようにしていくことがスキーを楽しむ上で大切になります。
 運動形態として「走る」,「跳ぶ」,「投げる」などの経験はほとんどの方が経験していますが,「滑る」という経験はあんまりありません。それだけにイメージアップするのは難しいのですが,スケーターが凍りの上をスゥーーーと滑る…とか,冬季五輪で脚光を浴びた「カーリング」のへらべったいボールがで氷の上をスゥーーーーと滑っているイメージを思い出すといいでしょう。それでもイメージが湧かないときは,斜面の上からスコップやソリを流し,それが下の方に滑っていくのを見せるのもひとつの方法です。この“滑る”というイメージで大事なことは,滑るもの自体が「ひとつの“塊”となって移動して行く」ということです。
 “スキー”では,この滑り降りるのは「人」と「スキー」です。人の身体がスキー板と一体となって滑り降りる…というイメージを浮かぶようにすることが大切です。「スキー板」と「身体」が別物…では別々の物体が落下しているイメージになり,雪からの情報を的確に脳に伝えることができません。スキー板は,身体と一体となった“雪情報センサー”という感覚で滑れたら最高です。
 上のアニメーションから身体とスキーが一体となって斜面を滑り降りる…というイメージが少しは沸くでしょうか?良く見ていると目が回りますが,スキーヤーが刻々とみずからすすんでその位置を変えて行き,スキーのトップで雪の情報を感じ取っているような気がしませんか?雪の情報を積極的に捕らえていこうとすると,腰の位置が自然にしっかりしてきます。雪に対抗しようとすると「へっぴり腰」になります。「感じ取ろう!」という気持ちでの直滑降は,スキーヤーのフォームを最も理想的なものにしてくれるのです。“感じる”ということが,人間の持つ潜在能力をいかに自然に引き出してくれるものか…ということがわかります。
 “スキー”って,人間の持つ潜在能力がいかに素晴らしいか!…を私たちに教えてくれるスポーツでもあったんですネ!(^I^)

      -------------☆★フィーリングスキー★☆-----------No.0007----
 さて,今回のテーマは“直滑降を楽しむ”の一回目です。
 前回までは「”雪”との触れあい」がテーマでしたが,今回からは,足裏感覚を生かして,どう雪の上を滑るか?ということです。「雪原散歩」でも意図せずに短い距離を滑り,その時足裏がくすぐられる感触を体験していますが,今回からは「みずからの意思で斜面を滑る」ということになります。
 まず,スタートも平らで自然に止まれる優しい斜面を準備します。足裏全体でしっかりと雪を感じた状態から,少しストックで身体を前方にゆっくり押し出してみます。少しづつスキーが前に移動し,斜面の下に滑り始めます。このとき,足裏がくすぐられる感触は雪面散歩の時に経験したものです。それと少し違うのは前方への移動距離の長さとそれによるスピードの速さです。これらの要素を目で感じてしまうと身体がこわばり,硬くなってしまいます。ポイントは図のように,情報を「足裏で感じようとする」ことです。
 足裏で感じようとすると,その情報を上に伝えようとしする筋肉が働きます。足や脚,下半身の筋肉が緊張した状態では,この情報をうまく伝えることができません。赤の線が緑,紫,青などの雪から情報を足裏に伝えてくれ,その後黄色の線のように下半身がそれを脳に伝えます。この情報伝達がうまく行くためには,下半身の適度なリラックスが必要になるのです。これはモノの硬さや暖かさを手で感じようとする時,手の筋肉がギュッと緊張せず,弛緩していることからも判ります。感じ取ろうとする筋肉はリラックス状態を生んでくれるのです。初心者には最も必要なことです。
 フォームを気にする人がいますが,これも自然に任せましょう。フォームをイメージさせるとその「形」をつくることに意識が行き,身体の硬直を生んでしまうからです。
 斜面を登るときのエッジング感覚は「雪上散歩」でしっかり見に付いているはずですから,自然に止まれる地形さえ選べば,あとはこの練習を続けることです。すると“滑っている時”と“滑ってない時”の区別が足裏で感じ別けることができるようになります。つまり,“滑る”と“止っている”の感覚の違いが分かり,滑ることが“苦痛”ではなく“快感”に思えるようになるのです。
 “滑ることの快感”は,筋肉を使って運動をするというよりも,足や肌で雪や風を感じることで,より強く感じることができるのです。まさに“スキーの快感”とは“大自然を感じること”なのです。(^I^)


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