「スキーQ&A」

ブーツの前傾角について

Question :

 
T.N さん


  Date : 
May,21/2004

 ブーツについてです。私は今○○○○をはいていますが、来シーズンは新しいブーツに変えようと考えています。○○○○は足首に角度がついており、私がはくと膝が始めからかなりはいっています。普通に立った状態で上から第1バックルが見えないくらいです。この状態で私がAキャスターを使おうと思うとお尻が落ちた状態になってしまいます。(使い方が間違えているかもしれませんが)
 そこで新しいブーツはN社の△△△△などの比較的足首の前傾角度の浅いものでキーキャスター、Aキャスターの使いやすいブーツを考えています。フレックスも少し堅めを考えています。先生も書かれていたように特に春の雪で今のブーツでは自然に膝がはいってしまい、テールが流れていました。
 先生はどこのブーツをお履きなのでしょうか。また、新しいブーツ選びに関するアドバイスをいただけたら、よろしくお願いします。

       回答 【TOK】                                                          「スキーQ&A」 Topへ

 “T.N”さん,ありがとうございます。(^I^) ブーツの前傾角があり過ぎて,テールが流れやすい…とのことですが,私も経験がありますのでその感じが良く解ります。
 右の図を見ていただきましょう。靴の前傾角が深いということは,ひざ頭が前に行くという事ですから,おなじ雪面抵抗を受けた場合,その分バランス維持角「α」が大きくなって,バナナシェープの曲がり具合を大きくしないとバランスが維持できない…ということになります。この姿勢が苦しいので,いきおい母子きゅう側に乗ってしまいます。でもそうすると,つま先側が支点になってしまって,“T.N”さんの仰るようにテールがターン外側に流れてしまう…という結果になってしまうわけです。
 ただ,レーシングを目的とし,ほとんど硬いバーンしか滑らないレーサーの場合は,トップから切り込んで行くカービング技術を使うことが多いので,ブーツは前傾角の深いもの,フレックスも柔らかいもの,を使う傾向にあります。この方がより角付け角のコントロールがしやすくなりますが,低い姿勢になりがちで,腹筋などのトレーニングも必要になります。エッジコントロールはしやすいものの雪面抵抗が大きくなりがちなので,スピードはロスしやすくなります。ターン円弧や軌跡のコントロールを大事にし少々スピードを犠牲にしても…というトップから切り込んで行くタイプ…といえます。“T.N”さんのお使いのスキーブーツはこういうタイプのものだと思います。
 一方,レーサーの中にもトップではなくテールで切って行くタイプの人も居ます。このようなスキーヤーは前傾角の浅めのもので,フレックスも硬めのものを使う傾向にあります。かかとでの雪面ホールドがしっかりしてきますので,テールでの切れが良くなります。トップでの捉え感は薄いのですが,ターン円弧よりスピード重視の人には適したブーツだと言えます。
 そこで,レーサーでない,私たち一般スキーヤーはどちらを選択したら良いのか?ということになります。私はテールコントロールが主体の人は前傾角が深いブーツを,トップコントロール主体の人なら前傾角が浅めのブーツをお薦めします。その理由は,私たち一般スキーヤーはいつも硬いバーンだけを滑る環境に無く,いろいろな斜面を滑りますし,疲労も少ない方が良いからです。これまで何度も述べていますが,そのためには高い姿勢で滑ることが理想的です。
 でも,物事には「ほどほど…」とか「中道」…という言葉もありますから,極端に走らない方が良いと思います。できれば前傾角やフレックスを変えられる機構を持ったブーツがあれば,それが一番だと思います。同じメーカーでもいろいろな特性のブーツを作っていますので,メーカーよりも機種にこだわるべきだと思います。
 
 スキー板だけでなく,スキーブーツにも注意を払う…大事なことですネ!(^I^)

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Revised: 2004/11/27 .