2002 指導員研修会


(メルマガ No.0023 12-17-2001 より)

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  今週のコラム “ 2002 指導員研修会 ” ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

  14日から16日まで,志賀高原熊の湯スキー場で「2002スキー指導員研修
会」が開催されました。今回はこの研修会で私が感じたことをお話したいと思い
ます。

  「指導員研修会」は,毎年シーズンインの前にひとつのテーマを取り上げ,
今シーズンはこういう事を考えながら指導活動を行なっていこう…ということを,
指導員が互いに研修する場です。ややもするとSAJ中央からの伝達…という捕
らえ方をしがちですが,今年ははっきり「テーマはテーマとして,それを各指導
員が自分の言葉に置き換え,自分のパーソナリティーを加味して,実際の指導現
場で生かして欲しい…」という指摘がありました。

***** 理論テーマ *****
  「マネジメント技術」「人間関係技術」「内容指導の技術」…ということで,
生徒さんの立場に立った指導を原点に据え,効率的なレッスンをするにはどうし
たら良いか? いかにして信頼を受ける指導者になるか? スキーに対する興味
を持続させ,意欲的に学習に参加してもらうには指導者自身がどう人間としての
魅力を磨くか? 等々がテーマになりました。

***** 実技テーマ *****
  カービングスキーの台頭により,ターン要領を学ぶことが比較的容易になっ
たが,これをさらに推し進めて,連続ターンをいかに短時間の内に覚えさせられ
るか?を目指して欲しい,との指摘がありました。
  ターン始動局面,舵取り局面,仕上げと準備の局面,それぞれでの滑走感覚
や操作要領を的確に生徒さんに解説し提示することで,「知らず知らずのうちに
スキーが上手になった…」というような指導を目指して欲しいとのお話もありま
した。
  今回は言葉の上で,クロスオーバーでの「ニュートラル・センターポジショ
ン」,始動局面での「トップコントロール」,舵取り仕上げ局面での「テールコ
ントロール」という用語を使うことの説明もなされました。
  言葉で説明し,体で師範し,感覚やイメージでの補助説明を充実させ,ある
程度標準形的なスキー操作を目指して欲しいとのお話もありました。
  雪上の研修では,上記の要点を踏まえて,「ニュートラル・センターポジシ
ョン」「トップコントロール」「テールコントロール」についての解説とデモの
演技による具体的な師範,が行なわれました。その後,各班に分かれ実技研修を
行ないました。

***** 【TOK】の感想 *****
  先ず,昨年と大きい違いだなぁー…と思ったのは「左右への傾け操作」に付
いてです。昨年あれほど言われた「軸を傾ける,角付けをする」という言葉は,
ほとんど語られませんでした。むしろ,その様な体軸の左右への傾けよりも,前
後軸の調節でターンを誘導し調節することをテーマに据えた印象を受けました。
  特にニュートラルポジションから,ターンしようとする側のインサイドエッ
ジを雪面に押し込んでいくフィーリングの「トップコントロール」は,結果的に
雪面とのコンタクトを大事にしながら適度な角付けを生む…と感じました。また,
ターン終盤の「テールコントロール」は,その押し出す,もしくは落下によって
抵抗を受けるその向きが,3次元的にコントロールされるならば,面白い考え方
だと思いました。
  同じスキー教師の中には「コントロール」って,一体ナニ…?という疑問を
持った人もいたようですが,私は「足裏センサーのアンテナの向く方向」…とい
う風に解釈しました。例えば「トップコントロール」は,ターンを開始するため
の圧をターンしようとする内側の足裏…外足なら親指,内足なら小指…に雪を感
じるセンサーを意識し,雪面とのコンタクトを求めていく感覚です。「テールコ
ントロール」は,ターンをどこまで維持して修了させるかをイメージし,それに
合うようにターン内側のかかと側にセンサーを意識し,コンタクトの強さや方向
を意識することです。コントロールとは「意識の働きかけ…」と理解すれば解か
りやすいと思いました。
  しかし,実はここで大事なことがある…と思いました。ただ単に親指にやか
かとにセンサーを意識するだけでは,そこが「支点」となってテールやトップが
回り込んでしまう危険性がある…ということです。トップやテールの圧はあくま
で「着力点」あるいは「作用点」での圧,としてとらえないと,そこが「支点」
になってしまいやすい…と感じました。「トップコントロール」の時は雪面の圧
を捕らえる場所より後方のどこかが,また「テールコントロール」では圧を捕ら
える場所より前方のどこか,が支点になって“テコ”のような力が働いているイ
メージが大事だと感じました。ただ単に力を働かせる場所,力を受ける場所…で
は解決しない問題が起こりそうに思いました。
  ただ,これまで何度かあったような,「こうでなければならない」あるいは
「ああでなければならない」という議論ではなく,指導員が生徒さんの志向やゲ
レンデ状況にあったそれぞれの指導を心がけることが大事だ…との指摘が再三さ
れていましたので,各教師はこの感覚を生かしそれぞれの個性を活かした指導活
動ができるのではないかと思いました。今回言われた「トップコントロール」や
「テールコントロール」…きっとゲレンデで多く聞かれる言葉になると思います
が,このSAJの提示を各教師がどう捕らえ,どう指導に生かしていくか楽しみ
でもあると思いました。

  厳寒の中での「指導員研修会」でしたが,初滑りとも重なり,じっくり足裏
感覚を研ぎ澄ますことのできた3日間でした。  

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