スキー技能検定

(メルマガ No.0016 10-22-2001 より)

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 “ スキー技能検定 ” ☆☆☆☆☆☆☆☆☆

  先週「ユーザー車検」に立ち会う機会がありました。この車検を見ていてスキーの「検定」について考えさせられました。

  教師日記の10月19日にも少し書きましたが,それまでの検定が見直され,新検定システムが導入されて3年目を迎えます。2年を経過しましたが,新しいシステムの意図したことが浸透し,いい形になっているかどうか?少し疑問に思います。

  「技術の完成度に重点を置いた評価ではなく,実践的能力(安定性、確実性)への到達度,習熟度を評価規準とする。」…と改定されました。また検定基準の中では,こうも述べています。「5級からクラウンまで一貫した技術基準を配列した。技術の形態は,基礎技術(弧を描く運動技術)→応用技術(実用的技術)→発展技術(状況対応技術),という観点。技術の質的内容は,スキッディング→カービング,という観点。技術の難度は,斜面設定による難易度によって判定する」と…。
  このように,はっきり「実践的能力」,「実用的技術」,「状況対応技術」…とうたっているのに,実際の検定の場面では,体操競技のウルトラD,あるいはサーカス的な演技を求めているような気がします。あくまで新システムのキーワードは「実践」であり「実用」であり「状況対応」であったはずです。それが「切れ」や「スピード」などの「性能評価」に置き換わっているのではないか…と感じるのは私だけでしょうか?

  少なくとも級別テストの1級は,「技能到達・習熟の目安および評価の観点」が,「どんな斜面でもコントロールしして確実に滑走できること。具体的には不整地を含む,中・急・総合斜面をスキッディング技術&カービング技術で安定感をもって滑ることができる能力」とうたわれています。しかし,カービングターンが全盛になっているせいでしょうか,ズレが伴うスキーは評価されない…という風潮があるような気がします。スキーの「切れ」や「走り」は確かに技能レベルを判定する際の重要なポイントではありますが,これが要求され過ぎると「ズレは下手」で「切れは上手」という図式になりかねません。しかし実際のゲレンデやオフピステでは切れや走りだけでは対応できません。ズレの要素が大事になります。スキーヤーの「到達度,習熟度を評価規準とする…」のが技能検定というならば,ズレがしっかり意識して出来ることも大事な要素であるべきです。実際に,コブの斜面ではカービングターンよりもズラシの技術の方が有効なことが多いのです。
  このように,カービングターンだけで滑れる斜面が少ない現状を考えると,“スキー技能検定”で評価される技術についてもう少し検討が加えられていいのではないか?と思います。

  「車検」では実走道路においてトラブルを起さない装備の点検が大事な要素です。スピードが出せるか?,素早い方向変換が出来るか?…といったことではありません。安全に安定して走れるか?ということです。レースコースで,その性能を競うための能力,をみることでは無いのです。

  「車検」と「検定」を同じ土俵で論じること,にはかなりの無理があることを承知の上で,あえて技能検定における評価方法について私の意見を述べてみました。

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