白い色とスキー


(メルマガ No.0012 09-24-2001 より)

  
“ 白い色とスキー ”  ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

  今“初秋”…この季節は,北アルプスに最も“白”というカラーが少ない時期でもあります。山肌はグレートーンが基調で,重い感じの緑がその下部を覆っています。でも,もう一週間もすれば山のいただきには白い雪が来て,様子が一変します。空の青が白い雪に映え,重い緑色が鮮やかな緑の雰囲気をかもし出すのです。
  まだ時期が早いのですが,やがて紅葉が終わって枯葉や枯草が地面を覆います。植物がその生命を終えた寂しさと,それらの赤茶けた色とが相まって,どことなくわびしい気持ちになります。でも,ある日雪が舞い,それらの草や葉は一瞬のうちに“白”い世界に覆われます。赤茶けた景色がまたたく間に“ホワイトワールド”に変わるのです。それまでのどことなく寂しい気持ちが失せ,「明るくまぶしい世界」が登場します!。毎年繰り返されるこの情景に出あう度に“白という世界”の虜になります。
  “色”は人間の気持ちに大きな心理的影響を与えます。それだけに“色”のつく言葉も「色々」たくさんあります。(^I^)。色による心理状態の把握やカウンセリングなども行なわれています。
  “白”という色は,清潔で清楚なイメージを与え,くもりのないクリーンさを印象づけます。ほかの原色には無い明るいインパクトも持っていて,シンプルで明快な印象も受けます。また空間的な広がり,大きさも感じさせてくれます。私たちが“スキー”を楽しむ時,きっと心のどこかにそういった癒し的効果のある「白い世界との遭遇」を期待する気持ちがあるのだと思います。
  また“白”という色は他の色を引き立てる効果もあります。白,グレー,黒を「ニュートラルカラー」と言うそうですが,彩度(色の鮮やかさ)や色相(赤や緑などの色の系統)とは違って明度(明るさ)がその基盤となり,他の色を際立たせ強調する性質があります。人間が本来持っている願望の中に「目立つ存在」でありたいという気持ちがありますが,私達スキーヤーの心の中には,それをかなえる意味で「白い雪の世界」の中にその身を置く人も居るでしょう。白い雪がわれわれスキーヤーを一層引き立ててくれるのです。
  こう考えてくると,「雪が白い」ということは,私達スキーを楽しむ人間にとって本当に大事なことなのかもしれません。もし,雪が赤や緑だったら…あなたはスキーをしているでしょうか?
  
  またたく間に,周りの景色を魔法のように白一面にしてくれる雪…。
  また,もうすぐ白い世界がやって来ます。

09-24-2001 

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