“冒険……” ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この週は“冒険”ということについて考えました。
早大4年生で,この5月に最年少で七大陸最高峰制覇を達成した“石川直樹”さんが,ある新聞のインタビュー記事の中で, 『 …自分を冒険家とは思っていません。日常の中にだって冒険はある。例えば、会社を興すのだってそうだし、学生が試験でヤマを張るのも、当事者にしてみれば大きな冒険です…』と語っておられました。
私も“冒険”は誰にでもある…と思っています。冒険の難易度に関係なく,その人なりの素晴らしい“冒険”が…。そのような冒険する心があるから“夢”が広がり,“挑戦”が生まれると思います。私たちが大事にしなければならないものだと思います。
私はいつもスキーレッスンで,スキーに挑戦しうまくなろうとするのも立派な“冒険”だと思っています。そして,そのお手伝いができるのが嬉しいと思っています。
初めは“滑る”という感覚に慣れていませんから,少し滑るだけでバランスを崩してしまいます。それがいつの間にか,滑ることが“快感”になっているのです。これは,「バランスが崩れる=不快」…という概念が,いつの間にか「滑る=快感」という図式に置き換えられたのです。このときに自分の意志として“冒険心”が無かったら“快感”を味わうこともできなかったでしょう。
“冒険”とは挑戦する心の在り様だ…とも言えます。そういう意味では“スキー”は無限の“冒険的要素”が詰まっていると言っていいでしょう。直滑降ができるようになれば曲がる事が…,緩斜面でできるようになれば急斜面が…,低速でできるようになればハイスピードで滑ることが…,整地で滑れたらコブや深雪で……と際限がありません。これ全て“冒険”です。それぞれクリアできたときの喜びや快感は素晴らしいものです。
考えてみると,人間が体を動かして行なう行動は,そのほとんどが“地球の引力に逆らう”という性質を持った「走る」,「跳ぶ」,「泳ぐ」,「投げる」,「蹴る」,「打つ」…などで,“引力に従う”という「滑る」という運動は最近まで無かったように思います。人間の身体そのもので“滑る”ということができない構造になっているから,これは当然のことだったかもしれません。ですから,これまで「滑る」という動きからは「快感」ではなく「不快感」しか感じられなかったように思います。その結果,これまで進化し続けてきた人間の身体に“滑る”という感覚はあんまり育たなかった,と言っていいでしょう。
しかし,「滑る道具=スキー」を用いることで,新しく「“滑る”という感覚」が快感として受け入れられるようになってきたのです。「滑り降りる」という新たな身体運動が,これから人間の本能の中に受け入れられ,育っていく…そんな気がします。地球の引力に耐えるのではなく,素直に引く力に順応し,その力に任せる…。人間のあらたな本能が開発され,そのDNAが子々孫々に受け継がれていく…。
人間が“滑る”という冒険をとおして,新たな身体的能力を人間の本能の中に育てて行く…。宇宙空間に働いている“引力”を,快感としてとらえ,身体の神秘の世界に溶け込ませて行く…。
そんな風に考えると,“スキー”って楽しいですね!(^I^)
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