出逢い…”    (07/23/01 メルマガより)


 “出逢い…”☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 
  わたしの好きな言葉に“出逢い”というのがあります。見ず知らずの人に出
逢ったり,言葉や景色に出逢う…。素晴らしいことだと思っています。
  さて,夏の間,白馬の近辺で山のツアーガイドをさせてもらっています。毎
日あるわけではありませんが,週に二回ほどの割合でいろんな人を山に案内して
います。毎回30人位の人達との出逢いがあり,ここでのコミュニケーションを
楽しんでいます。初めは警戒模様だった人達の心が,次第に解きほぐされていく
過程がなかなか面白いものです。ガイド…どんな人だろう?という不安交じりの
目が,次第に打ち解けて柔和になり,互いに心を開き言葉を掛け合う…。
 この過程で思うことは「人は皆コミュニケーションを望んでいる…」というこ
とです。それぞれ生活する場所やスタイルが異なっていても,人として感動する
ものは同じだし,人とのつながりを欲しています。

 
 私は白馬に住む前,東京でサラリーマンをしていました。いわゆる「脱サラ」でン十年
前,白馬に来たのですが,ある会社の技術系の仕事をしていました。自分の与えられた
テーマ「半導体」について,毎日実験したり,レポートを書いたり…が仕事でした。仕事が
仕事だけに,相手はシリコンとか化学薬品で,人との交流はほとんどありませんでした。
仕事そのものは面白かったのですが,他人との付き合いの幅はほんとうに狭い範囲のも
のでした。スキー同好の人達とのささやかなお付き合いはありましたが,それも限定され
た人たちだけで,いつも同じメンバーでした。
  脱サラをして白馬に来て,スキースクールに籍を置くことになり,イチバン感じたのは
「いろいろな人達との交流が広くなった」ことでした。当時の校長「丸山庄司」さんは良く言
っておられました。「あなた達がスキーをお教えする人にはいろいろな人が居ます。もちろ
ん年齢があなた達より若い人も居ますが,人生の経験を積まれた人徳の深い方も居られ
ます。スキー技術の上であなた達が優れていても,そういう人達に対する礼を失してはな
りません。かえって,逆にお客様に教わる事も多いはずです…」。
  いま思えば,そのとおりでした。もし,私が技術屋として会社に勤めていたら,これほ
ど多くの方々と出遭える機会はなかったでしょう。単にその数の多さだけでなく,いろいろ
な経験を積まれた方や,社会的地位のある方など,いろんなキャラクターをお持ちの方々
と出遭えたことが,貴重なことだと思います。それらの方々から,いろんな啓示を授かりま
した。生き方や考え方,価値観などを学ばせていただきました。常設レッスンで一日5人
の方にお教えして,それが1シーズン80日だとしても,400人の方とお逢いし,お話しで
きる勘定になります。
  その中で,気が合い,お友達になった方もたくさんおられます。「スキー」という共通の
趣味を通して仲間がどんどん出来ました。それぞれ,お付き合いの深さや質は異なるにし
ても,ゲレンデで会えば「ヤァー元気?スキー楽しんでる?……」と話しが弾みます。
  中にこういう方がおられました。年齢は私より5つくらい下の男性の方ですが,その人
は,その周りにまるで「オーラ」が漂っているかのような雰囲気を持っているのです。これ
は初めての経験でした。それほど深いお付き合いではなかったのですが,その話しか
た,考え方,周りの人への気配りが素晴らしく,私もああいう風になりたい!と思いまし
た。ナニがそう思わせたのかは解かりませんが,キリストや仏陀はかくありなん!と思っ
たのでした。あのような影響を他人に与えられる「徳」を持った人が居られるのだなぁー…
と。

  人は考えてみると独りでは生きられない動物です。互いに影響を受け,そして与えな
がら仲間を作り,集団を作り,社会を作っています。スキーだけが突出して仲間作りに有
効だとは思いませんが,出会いを演出してくれる道具であることは確かです。できるだけ
多くの人と出逢い,互いに良い影響を与え合うことができれば,これに優る効用はありま
せん。

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