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(スキー心理学)
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「生物の多様性」

File 0032
by ”Dr.N”  2005/11/07

  「生物の多様性」

 11/4:ある仮説、11/6:フィーリングスキー誕生の瞬間、11/7:運動音痴なんていない。
この数日間のTOK先生の日記で書かれていた内容に関して感じたことを書いてみます。

  TOK先生はフィーリングスキーの中で「その人の身体の特徴を生かした滑り」を提唱されています。それは「生物の多様性」に大いに関連する話だと思います。ではなぜ生物には多様性があるのでしょうか?同じ日本人でも背の高い人もいれば低い人もいる。顔の形や背格好だってさまざまです。他の民族を含めると同じホモサピエンスでありながら本当にその姿・形は多種多様ですね。
 生物の多様性・・それは生命の進化を伴なった”地球環境の変化に対応する為の防護策”だと私は認識しています。

 最近、院内感染のニュース等で「細菌の中に抗生物質が全く効かないものが発生している」という話題を聞かれた方も多いでしょう。例えると、有名な抗生物質ペニシリン。その配下でもほんのわずかながら生き残る細菌がいる。生き残った細菌の子孫のほとんどがペニシリンに強い。細菌は短期間で遺伝子の突然変異が発生する為、中には親菌よりペニシリンに強いものが発生する。そして更に強いものだけが生き残る。ペニシリンの投与を繰り返すうちに細菌は世代を重ね、全くペニシリンが効かない種に変化する。同じ事を他の抗生物質でも繰り返して行くと、全ての抗生物質が効かない最強の細菌が生まれるのだそうです。(最後に決め手になるのは人間の免疫力だけだそうですが)

 これをスキーに当てはめると(笑)有名なデモに5人の子供があったとして、その環境で育ったとしたら、内3名は親の遺伝子を受継いでまぁまぁスキーが上手。1名は親よりもセンスがある。しかし、残念ながら1名はスキーが下手・・となるのは大いに想像できる所ですね。するとそのセンスのある子の子・孫・ひ孫・・と世代を重ねるとスーパーデモの誕生!・・・とはならないのが面白い所で、人間の遺伝子の突然変異は数世代に一回との事です。しかし、同じ遺伝子を有する家族が似たような滑りや能力を有するのは理解できる事ですし、その中から突如、凄い能力をもったスキーヤーが登場しても不思議はありません。

 しかし、こんな事を書くと”スキーセンスの無い人間は何をやってもダメじゃないか?”と思われるかもしれません・・が、決してそんな事はありません!あなたがスキーを続けている以上、センスが無いとは言えないのです。全くセンスが無ければスキーは続けられないからです。「スキーが好き!」これが一番のセンスかもしれませんね!
むしろ、できない事を欠点として悩むより、それを「生命の多様性」と認識して、それを生かす滑りをすれば良いと思うのです。

 例えば、私はフリーダイビングのスタティックという種目(プール等での静止潜水)で5分10秒という自己記録があります。私にとってフリーダイビングは比較的センスがあったスポーツだと思っていますが、実の所、父親は玄海灘育ちで遠泳は得意。私自身は小学生時代は息継ぎが苦手でプールでは潜ってばかり。当然、学校での水泳の成績は悪いのですが、その欠点のお陰で潜る事が好きになり、夏休みは毎日の様に海で潜る生活。こんな下地があったからこそ成人になってからフリーダイビングを始めてからとんとん拍子に能力が向上したのだと思います。
 この潜るという行為、人間の潜在能力という観点からいくと、練習さえすれば誰でも3分は水中で息を止める事ができると個人的には思っています。それは霊長類では人間だけが「潜水反射」という体内反応を有するからです。それを上手に引き出せば軽く3分は大丈夫。人によっては5分も大丈夫でしょう。それはあたかもTOK先生が「能力を付け加えるのではなく、引き出すのだ」と書かれた内容と一致する話だと思うのです。私の場合、残念ながら苦手な息継ぎはまだ克服できてませんので、息継ぎのできる遺伝子がほしいところですが・・。

 話は大きく変りますが、その「能力を引き出す」という内容に関して、先日、興味深い内容のテレビ番組を見ました。NHKスペシャル. 立花隆 最前線報告. 「 サイボーグが人類を変える」です。
 人間の運動を補助するパワースーツ(年内に実用化)、人間の腕の神経信号を読み取って動く義手。直接、大脳に電極を埋め込む人工の目や人工内耳。埋め込んだ電極によって直接大脳に信号を流し、性格をもコントロールすることが可能になった現実。大脳とコンピューターを直接結ぶ技術・・などが紹介されていました。

 その中で、スキーと関連して興味深かったのは義手と人工内耳です。それらは自分の意思によってダイレクトに神経信号で動作するだけでなく、逆に義手で触った触感やマイクの音声が人間の神経信号に合うよう変換され、直接、神経または大脳に伝えられる・・というものでした。信号を伝える電極の数は神経の本数には及ばないものの、それらを使っていくうちに義手や人工内耳と自分の身体との一体感が発生するのだそうです。

 それを見て真っ先に思いついたのが、スキーのソールに「触感センサー」を多数取りつけて、直接足裏の神経につなげる・・という代物です。こうすればスキー全体が足の裏として感じられるのではないか?!なぁんてつまらないことを考えたのです。
 しかし、ふと思いました。道具が自分の身体に一体感をもって感じられるようになる事・・それは何も神経に直接センサーをつながなくてもできるじゃないか!普段、足裏で直接いろんな事を感じているではないか!これってTOK先生の「足裏感覚・センサー」の話じゃないの?!と思ったのです。

 実際、義手などを道具として操作している段階での脳の動きは、いろんな部分が反応して非常に忙しい状態ですが、身体の一部として自然に認識できるようになった途端、使われるのは脳のごく限られた部分となり、反応もより強いものになるそうです。これらの事から、数の限られた電極からの少ない情報でも脳が適応し、道具を自分の身体の一部として認識できる事と、足裏で集めた情報を脳が勉強する事によりスキー(道具)を身体の一部の様に感じる事、この2つは”脳の学習”という点で同じ話だと思ったのです。またそれとは別に、たくさんある神経も普段は一部しか使われていないのではないだろうか?それらが全て活性化すれば、今まで以上の感覚が得られるのではないか?そんな事を再認識した次第です。

 とりとめもなく長々と感じた事を書きましたが、ここ数日間で自分の内なる世界に無限の可能性が秘められている事を強く感じました。
 問題はどうやったらそれを効率的に引き出す事ができるのか?という事ですね。

 もし専門家の方がお読みになって、間違いを感じたならご指摘下さい。)




                                        (2005/11/07 UP)

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