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Ski Technique

bO009

by
“Prof.YM”

  
  技術選 小回り・整地(人口ウェーブ含む) について
06/17/2002  



09-00 ”Prof.YM” 
       6月17日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


テーマ趣旨と皆さんからのご意見

               黒の文 ⇒ ”Prof.YM” さんのご意見
               
青色の文 ⇒ 皆さんからのご意見
               
紫色の文 ⇒ 皆さんからのご意見(参照) 


「技術選 小回り・整地(人工ウエーブを含む) について」

 6月になり各地で30度を超え、真夏には40度を超えてしまうのではと心配しているProf.YMです。 皆様いかがお過ごしですか?でも私の場合、不思議と暑くても毎日スキーのことを考えてしまいます。頭の中にはシーズンOFFはないようです(笑)。

 さて今回も、前回の「技術選大回り」に引き続き、「技術選小回り(整地)」について考えてみたいと思います。今年の技術選は、はじまる前から『小回り種目をどのようにすべるか?』が各選手や、スキー雑誌等に取り上げられていたように思います。具体的には、整地小回りはカービング要素!というような意見・特集が多かったように思います。それでは、実際に私が技術選を見た感想から少し書いてみたいと思います。

 予選1日目 小回り・中斜面・人工ウエーブ (名木山ナイターゲレンデ)

この種目は今年から始めて採用された人工ウエーブ(名木山の中斜面に7〜8m間隔で腰程度の深さの横ウエーブ)での小回りでしたが、技術選の数日前から人工ウエーブが作られ選手や一般スキーヤーにも解放されていましたので、練習などを見ていてどのような滑りになるかはある程度予想はしていました。自然のコブ斜面とは違い、ウエーブではあるけれども圧雪された斜面ですので、やはりカービング要素の強いものに高得点が出るように予想していました。しかしかなり深いウエーブですので、当然普通の整地斜面よりも圧変化が激しくやってきますのでそこでの処理が重要になっていたように思います。1番わかりやすい例では、竹田征吾選手、272ポイント(28位)とジャッジ1人平均90点以上の良い得点は出ていますけれども、この種目2回程大きな失敗をしています(失敗してこの得点ですので滑りは非常に良いものでしたが)。2回とも同じパターンの失敗ですが、滑走中に大きく腕(ターン中の外腕〔谷腕〕)が上がってしまいました。原因は、竹田選手はスタートからほぼすべてカービング要素で滑ってきましたが、徐々にスピードが上がり外力が増してきたところでウエーブの最も圧が増す部分(尾根頂点)とターンの最も圧が増す部分(フォールラインから切り替え部分)が重なってしまう場面で、雪面からの圧を受け止めきれずに腕(上体)が上がってしまっていたように思います。普段あまり滑ることの無いこのような条件では、竹田選手といえども外力にあったエッジングができずにミスにつながってしまったように思います。トップの得点を出した藤井選手は他の選手よりやや深めのターン弧でやはりカービング要素の強いものでしたが、スキーと体(重心の位置)を離しすぎることなくスキーと一緒に体が落下していくことができ、下から見ていても非常に迫力のある滑りだったように思います。
逆に得点が伸び悩んだ選手は、ウエーブを警戒しすぎてすべてスキッディング要素で滑ってしまったり、ウエーブでリズムが狂わされてしまったりしていたように思います。またウエーブ頂点からウエーブ谷部分に入るときに、体がついていかずに重心の位置がうしろに残ってしまい、ウエーブ谷部分でのスキーの雪面コンタクトが無くなってしまっていたように思います。そうなってしまうとウエーブ谷から尾根に向かう部分でいっきに圧を受けてしまい圧を吸収しきれないでミスをしてしまったように思います。

予選2日目 小回り・急斜面・整地 (名木山大壁)

名木山の大壁・整地での小回りは昨年も行われた種目ですが、今年は昨年よりさらに多くの選手(ほとんどの選手)が150〜165cmのショートカービングスキーを使用していました。滑りも昨年と比べ多くの選手がカービング要素を出そうとした滑りになっていたような気がします。具体的にはスタンスを広くして、切り替えの部分での抜重要素をできるだけ少なくしてすばやくスキーの角付けを切り替え重心を谷方向へ積極的に落としていくパターンの滑りの選手に高得点が出ていたように思います。逆に上下の動きを大きく使ったいわゆるスキッディング+カービング要素(以降スキッドカーブ)のパターンの滑りは260ポイント以上の高いポイントは出ていなかったように思います。スキッドカーブの滑りでは、スピードコントロールがしやすく安定した滑りができるというメリットはありますが、その反面、下から見ていてなかなか落ちてこない(落差が稼げない)というデメリットはどうしても出てしまうと思います。やはり今の技術選、よりハイスピードで迫力のある滑りが求められている中では得点的には伸び悩んでしまったように思います。
また高得点が出た上位選手は、やはり斜面の攻め方(戦略)もしっかり考えられていたように思います。はじめから全開でスタートしていくのではなく、出だしの数ターンはやや深めのターン弧にして、斜面の状況、雪質や斜度感、エッジのかかり具合など感じながら様子を見ていき、中盤から後半にかけ徐々にスピードをあげ、またターンスペースを縦長に変えカービング要素を強くアピールしていたように思います。

決勝 小回り・中斜面・整地・カービング要素 (名木山ナイターゲレンデ)

この種目も昨年と同じ斜面で行われていますので、選手のほうにも初めて行われた昨年のような戸惑いは無かったように思います。滑りの要素が規制されているのでベース的にはどの選手も同じ動きになっていたと思います。予選の種目のところでも書いたように、スタンスを広くして、切り替えの部分での抜重要素をできるだけ少なくしてすばやくスキーの角付けを切り替え重心を谷方向へ積極的に落としていく動きだと思います。
この種目で上位選手と下位選手の最もわかりやすい違いは重心の位置の動きだと思います。下位選手は上に書いたような抜重要素(不必要な上下動)を抑えようとするあまり、ターン中(舵取りから切り替え)のすべての部分で重心の位置が同じ(あるいは少ししか動けない)になってしまっていたように思います。スタンスを広くしてポジションを低く構えているので、重心の位置が後ろになったままターンしてしまっていたように思います。そうするとどうしてもターン前半部分でのスキートップの捉えが甘くなりスキートップから切れ込んでいくカービング要素が出せないでいたように思います。ここでも重心の位置の前後の動きが特にポイントになっていたように思います。
またターン弧の深さについては藤井選手・猪又選手などが深いターン弧で滑ってきましたが、今年のジャッジの傾向としては深いタイプのものよりも、竹田選手や宮下選手(宮下選手は自分の考えていたカービング小回りとは違うが、得点の流れをみて竹田選手を真似て滑りましたとコメント)のようなすばやく切り替えた軽快なリズムのものに得点が出ていました。今後この「カービング小回り」がどのような方向に行くか非常に楽しみです。掲示板にも書きましたが、アルペンSLスキーの規定も変わるようですし・・・。

決勝 小回り・急斜面・整地 ジャンプ台ランディングバーン

今年のランディングバーンは昨年と違い、気温の上昇によって春特有のザラメ雪(かなりザブザブ)になっていましたので、整地という設定ではありましたが非常に滑りにくい条件でした。自分から強くエッジングしてしまうパターンの滑りはどうしても雪が逃げていってしまうので、スキッド要素、止めるエッジングになってしまっていたように思います。ランディングバーンは強力な落下力がありますので、その力をできるだけ止めないようにターンしていくことがポイントになると思います。
高得点の上位選手は、やはり今まで書いた小回り種目同様に、スキーと一緒にしっかり体(重心)の移動ができていたように思います。特徴的には、切りかえからターン前半部分でのターンポジションが非常に早く作られているので両スキートップからのターン始動が確実に行われていたように思います。ターン前半がこのようにうまく決まっているので、ターン後半部分でもカービングスキーの持っている性能を十分に発揮することができ、非常にきれいな丸いターン弧に仕上げられていたように思います。ポイントとしてはターン前半部分にあると思います。私が滑っている小回りの感覚も、「エッジングは谷回りだけ」というくらいの感覚で滑っています。実際には山回り部分もエッジングしてはいますが、できるだけ早くターンを終わらすイメージで滑って次のターン始動がちょうどいいタイミングになってくると思います。得点が伸び悩んでしまった下位選手を見ても、エッジングのタイミングがどんどん遅れていってしまい、ターン後半にエッチングが集中してしまった非常に窮屈なターンになっていたように思います。こうなってしまうと、やはり重心の位置が後ろに残ってしまったり、X脚になってしまったりと、どんどん両スキーをトップから使えなくなってしまっていたように思います。高得点の宮下選手や猪又選手は、軟雪の中でも雪面から来る圧をしっかり感じ取り無理なエッジングをすることなくランディングバーンという急斜面を非常に安定したターンをしていたように思います(連続写真等のどこのコマをとっても、その状況にあった重心の位置がしっかり作られていますよね)。

以上、技術選整地小回りについて考えてみましたが、いかがでしょうか?技術的解説といよりもなにか個人的感想のようになってしまいましたが・・・。
皆様も技術選を見た感想、個人的に好きな選手、好きな滑り、技術選の種目についての意見など何でもかまいませんのでぜひぜひ掲示板のほうにお書きください。よろしくお願いします。
                                            (06/17/2002)


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