【TOK】のビデオ解説  File0011

Canada スキー No.11

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筆の払いでイメージ一変 !!!

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  今回もこの春 Canada に同行したメンバーのおひとり,“Shi”さんにご登場頂きます。(^_^)v (*^^)v
  まず,“Shi”さんの滑りをご覧ください。ビデオをご覧になって,BeforeとAfterでどう変わったか?...皆さんなりに評価して欲しいと思います。その後で【TOK】の解説をお読みください。“スキー”に対する眼力を養うのに良いトレーニングになります !!! !(^^)!
  ………
    さて,どこがどう変わったでしょうか? (*^^)v
  .........
  普通,私たちが映像を見て感じるのは,「ひざの使い方がうまいねぇー...」とか,「内倒し過ぎじゃない?」,「テールを横に動かしてる...」といった形や運動の特徴です。このように先ずはビデオの中からBeforeとAfterで違っている要因を見つけ出す眼力が必要です。いろいろな違いを箇条書きに挙げてみることです。ですが,作業をそれで終えてしまってはいけません。フォームがああ違う,運動がこう違う...という比較だけで終わってしまいます。つまりフォーム的なことに目が行き,その滑りの本質的な“深さ”にまで思いが届かないで終わってしまうからです。違いの羅列後の「どうしてそのような違いが現われてきたか?」...という“分析”が必要なのです。すると,そのスキーヤーが描いているイメージが観えて来ます。そして,『私たちが映像を見て感じる「うまさ」や「美しさ」は“フォーム”にではなく,その背後にある“その人の滑りのイメージ”にこそ在る』...ということが分かってきます。
  今回の“Shi”さんの大回りをご覧になって分かるように,確かにBeforeとAfterの違いはビデオの中でもテロップで説明しているように,「内倒と外傾」なのですが,それは外見上現われてきた「形」でしかありません。大事なことは何が要因となってその違いが出てきたか?ということに思いを馳せることなのです。どういうイメージで滑ったからこう形や運動が起こったのだろう?ということを考えることなのです。
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  さて,では“Shi”さんの滑りの“違い”はどういうところにあるでしょうか?
@ストレート内傾が外傾のある滑りになっている。
  Beforeではストレート内傾が見られ,時々内足に乗りすぎてスキーが不安定になっています。Afterでは,それほど顕著ではありませんが,Beforeに比べればあきらかな外傾が見られます。この外傾が現れたということは,言葉を換えていえば「外スキーに乗り込めるようになった」...ということでもあります。内倒のため荷重分散されていたスキーが,外スキーのたわみを産むスキーイングに変わったのです。この「たわみ」が出てくるとスキーは切れ始めますし,走るようになります。
A角付けの切り替えが抜重動作から滑らかな動きに...
  ターン後半に圧を貯めて,その圧を「ギュッ...ギュッ...」という風に,急激に上方に抜く動作がBeforeでは見られます。それが,Afterでは一気に抜重...ではなく,「ギューン...ギューン...」という様に,徐々に次の外スキーに圧が伝わって行っています。角付けの切り替え時の滑りに滑らかさが出てきました。その分「ひざの動き」がスムーズになりました。
Bターン後半“バナナシェープ”が現われてきた。
  “バナナシェープ”というのは一般的には「外向傾」というのですが,これがAfterではBeforeよりもより深くなりました。つまり,懐が深くなりました。“バナナシェープ”が出て懐が深くなると「前後バランス」を保つのが楽になります。それだけでなく「圧を押さえ込む」のではな
く,「圧を身体の方向に飲み込む」ことが可能になり,圧コントロールが容易になるのです。
Cターン前半が長くなった。
  【TOK】のビデオ解説 「File0010」でも解説したように,ターン前半が大きくできるようになりました。これはAやBの要因が生き,雪面コンタクトがうまく行われるようになった結果,可能になったことだと思います。

  以上だいたい四つの特徴が見られます。
  では,
何が要因となってその違いが出てきたか?ということを考えてみたいと思います。
  @とAはあきらかに“お習字ターン”のイメージが効いていると思います。一本の筆を交互に右,左,右,左...と使う意識が出てきたこと,そしてその運びを“フィーリングスキー・お習字ターン”のように“払うゥー...書くゥー”としたことで,「外スキーへの乗り込み」と「滑らかな角付けの切り替え」が可能になったのです。
  Bの“バナナシェープ”が現われてきた...ということですが,これについては以前,「ババナシェープは、結果として現れるのか、形を最初から作るのか?」というご質問がありましたので説明しておきます。“バナナシェープ”は形を作るのではなく,バナナが湾曲しているのをイメージするのが先です。形をビシッと決めるのではなく,自分の身体があたかも「バナナであるかのごとくイメージする」のです。作るのとイメージするのとどう違うの?と疑問に思うかもしれませんが,形を“作る”とバナナの形はある形に限定されてしまいます。ところが“イメージ”すると,バナナの曲がり具合やその向いている方向は,雪の抵抗によって微妙にその形を変えて現われてくるのです。冷凍バナナと柔らかなバナナとの差の様なものです。この様な「柔らかなバナナ」がイメージできると,懐が深くなり,ビデオ解説 「File0007」や「File0009」のような“バナナシェープ効果”が現われてくるのです。
  Cのターン前半の大きさ...はこれら上記の要因が生きた結果現われた滑りです。いくらターン前半を長く大きく...と思っても,急激な角付けの切り替えをしたり,自分から踏み込みすぎたりすると,この様な滑りはできません。滑って行くスキーヤーと雪との間に生まれる“圧”をしっかりイメージしコントロールできないと,ダメなのです。そのためには「筆のしなり具合」がどうイメージできるか?ということが大事な要素になります。

  
“Shi”さんも他のメンバー同様, Canada では“お習字ターン”と“バナナシェープイメージ”を徹底的に練習しました。何度も言うように大きなスケールのスキー場では,コセコセしたスキー技術は通用しません。「あるイメージを持って斜面に相対したとき,どういったフィーリングが雪から伝わってくるか?」というスタンスが大事になります。あくまで,自分の力を伝える !!!...という意識ではなく,雪がどんな情報を与えてくれるの???...という意識です。“Do Ski”ではなく“Let Ski”なのです。
  この05シーズンの4月...春ですが Canada は結構降雪に恵まれました。ご参加いただいた方々には十分お楽しみいただけたと思っております。また来年も機会がありましたらご一緒しましょう !!! (^ ^)(^I^)

Aug. 14 '05 【TOK】   

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