【TOK】のビデオ解説  File0005

Canada スキー No.5

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ターン前半の長さ

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  今回も“Koba”さんの協力を得て,その3回目...“ターン前半の長さ”ということについて...。
 前回と同様,前半の“TypeA”(赤字のテロップ)と後半の“TypeB”(ブルーのテロップ)を比較して,その特質を考えてみたいと思います。
  “TypeA”の映像の,ターンマキシマムの停止画面からフォールラインまでの「フレーム数」(※脚注)を数えると,「20フレーム」でした。一方“TypeB”の映像は「30フレーム」でした。滑走スピードが違いますから,一概にこのフレーム数の「多い」,「少ない」で比較するのは,少し冒険ではありますが,コレに注目してみる価値はあると思います。
 両方とも「小回り」の映像なのですが,滑り方に大きな違いがあります。“TypeA”はマキシマムからフォールラインまで,どちらかと言うと“抜重的”にスキーのテールがターン外側,右方向に動いています。それに比べ,“TypeB”はマキシマムが過ぎて一瞬抜重的になるのですが,直ぐに次の外スキー「右足」での雪面ホールドができていて,スキーがトップ方向に移動しながらフォールラインに向いて来ています。谷回りの部分をしっかり滑っている...というのが分かります。
 また“落差”...という観点で観てみると,“TypeA”はこの落差が小さく,“TypeB”は大きくなっています。円弧の大きさは結果として“TypeB”の方が大きくはなりますが,単位滑走長当たりのスキー方向の変化率が少なくなります。例えば,1メートルスキーが進んだとき,どの位スキーの方向が変わっているか?ということで見れば,“TypeB”の方が,スキーの向きの変わり方が少ない...ということです。このことは,横方向のバランスを崩す要因が減る...ということで「安定した滑り」にダイレクトにつながってきます。深雪や悪雪で,威力を発揮します。(^I^)
 実は,皆さんにレッスンをしていて,思うことがあるのですが,「小回り」をやろうとすると,ほとんどの方が“TypeA”の小回りをイメージして滑って来られます。「マキシマムからできるだけ早くフォールライン,できればターン後半まで持って行きたい!!!」という風に思っておられるのです。小回りだから,一刻も早くスキーの向きを変えなくちゃ...という思いがあるのは分かりますが,小回りの滑り方はそれだけでは無い...ということなのです。むしろ,その様なイメージが勝ち過ぎると,ターン後半に「圧」が集中して,スキーがガガガァーッとターン外側にズレやすくなって,バランスを崩してしまいます。こういう方は“落差”を使った滑り,つまり「雪の抵抗を受けてターンする...」ということができないのです。こういう方にはぜひ“Koba”さんのように,“TypeB”の滑りを心掛けることをお勧めします。“小回り”というのは,あくまで「回転円弧の小さいターン」であって「クイックターン」とは違う...ということです。
 “Koba”さんが,Canadaキャンプで,このような滑りをされるようになったキッカケは,多分“お習字ターン”だったと思うのですが,「雪面に小さい円弧の○を描く...」というイメージが伝わって来るのは圧倒的に“TypeB”の方です。“TypeA”は「ギュッ,ギュッ...」と筆をつぶして滑っているイメージです。
 みなさんも「筆の穂先=穂首」で雪面に○を描く...というイメージで滑ってみられてはいかがでしょうか?習字の「筆」を足裏にイメージし,その筆先で,静かな気持で丸い円弧を書くつもりで滑るのです。直ぐに,この要領がつかめるとは思いませんが,「自分の身体は“筆”なんだ!」というイメージをしっかり持って,何度か滑っている内にその感じが分かる様になると思います。(^I^)(^ ^)

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  さて,今回は“TypeA”と“TypeB”の比較をしてみました。チェック的滑りとそうでない滑り...と言うこともできます。ターン前半の長さ,ということでその滑りの違いを観ることができます。どちらが良い,悪い...ということではなく,どちらもできるようになると素晴らしい!!!...と思います。ターンの仕方の違いが,滑りの質の違いとなって表れて来ていることにも注目したいと思います。
 小回り...が苦手な方はぜひこの映像を参考にして,イメージトレーニングをして欲しいと思います。必ず来シーズンは「小回りの名手」になることができるでしょう!!! (^ ^)

July 15 '05  

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※脚注:フレーム数
《画像》 frame。情報伝送の単位。フィルムや続き漫画の“一こま”。ですから,ここではマキシマムからフォールラインまで“何こま”掛かっているか?という,その“こま数”のことを指し,多いとそれだけ時間が掛かっていることを示す。

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