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            Chapter 9    キャスターターン 発展編

 Contents  ☆★☆

0038 面で滑る

0037 センサーキャスター
             
の役割 

0036 キャス
ター
       
それぞれの役割



------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆----- 0038 キャスター・ターン発展編 No.3 
「面で滑る」----

 今回は「面で滑る意識」について,キャスターターンをイメージしながらみてみることにします。
 スキーをする上で「エッジ」を効果的に使うことは大変重要なことです。ある程度滑れるようになれば,このエッジをどのように使うか?ということが大事なテーマになります。ですが,このエッジングも,先ず「面」で滑ることの意味を知ると,その効果を最大に引き出すことができるようになります。キャスターターンはこの「面で滑る」ということを理解するうえでも役に立つ感覚だと思いますので,このことをみてみることにします。  
 良く,「面で滑る」…ということをお話しすると,「雪面にフラットにスキーを置くようにすることですか?」というご質問を受けますが,そうではありません。右の(図38−1)をご覧ください。ターンをしているときの「1番キャスター」の転がりと“重心”とのバランスラインの関係を示したものです。例えば,グリーンの矢のように右サイドにスキーヤーがスキッディング要素で移動しているときでも,足裏の黒い線(キャスター面と言ってもいいかもしれません)と,ブルーの「重心とのバランスライン」の関係は直角,90度に保つように意識します。このように,“重心”とキーキャスターの間に想定するバランスラインと,足裏の面とを直角に保つ意識で滑ることを「面で滑る」と表現するのです。αを90度で…ということです。この角度αが90度より大きくなって甘くなると,足首が緩んだ状態になり,キャスター意識でのターンコントロールができにくくなります。滑走面が雪面にフラットな状態…とはこの状態のことです。また,この角度αが90度より小さくなると,足首を内側にひねり込んだ状態になり,オーバーエッジング状態になり,“重心”とのバランスをしっかり保つ…という点ではリスクが生じて来ます。しかし,時として「α<90度」という状態は小回り系統の滑りで必要になることもあります。これについては後で述べることにします。
 ではキャスターターンではどのようにしてエッジコントロールを行うか?というと,ほとんどエッジをコントロールしようという意識が前面に出てこない…というのが本当のところです。キーキャスターの「1番キャスター」を転がし続けて行くのですが,その方向が決まれば,斜面や雪の状況によって自然に(図38−2)および(図38−3)のようなフィーリング上の違いが表れてくるのです。(図38−2)および(図38−3)の違いはなにか?というと,かかとの側の「3番キャスター」が雪と接しているかどうか?の違いです。(図38−2)の時はまだ「3番キャスター」も雪面に触れているイメージがあります。しかし(図38−3)では「3番キャスター」が空中に浮いていて,雪面の捉え感はありません。「1番キャスター」だけが雪面を移動しているイメージーです。(図38−2)はターンの前半や後半に出て来るキャスターイメージですが,(図38−3)は主にスキーがフォールラインを通過している時,角付けが最も強い時のキャスターイメージです。雪からの抵抗成分が少ないと自然に(図38−2)のようになりますし,スピードが速かったり,他の要因で抵抗が多くなると(図38−3)のようになります。つまり,キャスターターンでの角付け感覚は,雪の状況によって,それとバランスを取ろうとしながらキャスターが転がって行くので,だまっていても,最も適した角付けが自然に生まれてくる…ということなのです。たまたまそれが,「1番キャスター」と「3番キャスター」の捉え感の違い,どれくらいの割合で分散しているか?というイメージの違いで感じ分ける…ということです。
 スキッディング要素では,このαが90度以上,つまり足首が緩んだ状態での滑りだ…という人も居ますが,もちろんそれでもスキッディングは可能ですが,アウトエッジが引っかかる,等のリスクが多くなります。ですからスキッディングの滑りでも,基本的にはこの確度は90度に保ったままにするイメージを大事にします。直滑降から停止,というような滑りの時には,完全な横滑り状態を作りますが,この時は(図38−3)のようなイメージでキャスターの転がりに乗っていることを考えれば,この意味がお分かりいただけると思います。
 キャスターイメージのターンでは,このように,
角を立てずスキーに乗り込んで行く…」という意識が強くなりますから,スキー滑走ラインと重心の移動ラインとの位置関係は離れにくくなり,常にスキーの真上に身体が乗っかっている…というような滑りになります。このような意識でターンを行なうと,雪面を線で切る意識はほとんど無く,エッジで滑ると言うよりむしろ滑走面で滑る感覚になります。ターン前半から腰の位置が高く,ターン中盤に向けても決して自ら角付けを強める意識はありません。
 前回
0038 キャスター・ターン発展編 No.2」では,スキーに対して前後方向(長軸方向)のキャスターの位置の違いイメージでたが,今回は左右(横方向)の捉え感の違いについてお話ししました。




------☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆----- 0037 キャスター・ターン発展編 No.2 
「センサーキャスター」----

 前回は各キャスターの役割の違いについてお話しました。今回はこの内のセンサーキャスターについて詳しく見てみることにします。
 センサーキャスターは,一般的に足裏感覚として捕らえるときには右の図のように,親指の付け根「2」に意識します。始めのうちは,足裏のつま先寄りにこのセンサーキャスターがあるというイメージを持って滑ってみます。ある程度この感覚が分かったら,次に,ターン円弧の大きさによってその位置が変わるイメージを持つことにします。(図37−1)をご覧ください。上の図の「1番キャスター」が(図37−1)では「キーキャスター」に,「2番キャスター」が「S」,「M」,「L」の各センサーキャスターに相当します。「S」は“小回り”のときにセンサーキャスターを意識する位置を示します。そして,「M」は“中回り”の,「L」は“大回り”のセンサーキャスターの位置です。ターン円弧が大きくなるほどトップ近くにセンサーキャスターを意識することになります。
 この意識の違いで何が変わるかというと,自動車で言えば「ホイールベース」の長さが変わる,ということになります。支点のかかと部分にイメージしたキーキャスターからそれぞれのセンサーキャスターまでの距離が違ってきますから,回転半径が変わってきます。
 もうひとつは,身体のウエスト部分から上の対応姿勢が違ってきます。センサーキャスターからの情報を“重心”付近で受け止めようとすることで,バランスが維持できるのですが,もし例えば「S」の位置にセンサーキャスターがあるとイメージすれば,「S」から“重心”に向かう一本の軸が想定できます。この軸は「S」で感じた雪からの情報を“重心”方向に伝える軸ですので「センサー軸」と呼ぶことにします。もしセンサーキャスターが「L」だとすれば,「L」と“重心”との間にセンサー軸ができます。この「センサー軸」は,雪からの情報を的確に受け止めるための軸で,センサーキャスターから“重心”に向かうエネルギーがやって来る道筋…ということもできます。この「S」や「M」,あるいは「L」の部分で雪からの情報を得ようとしますから,ウエスト部分から上,“重心”の付近の向きはそれぞれのセンサーキャスターの方向を向くようになります。雪面移動がしっかりできて,スキーのたわみ状態が作れるようになれば,スキーがたわみますから,もしセンサーキャスターを「S」に想定すれば,ウエストから上部の上半身は「L」に比べると,ターン外側を向くことになり,上半身はねじれた状態になります。逆に「L」からの情報をキャッチしようとすれば正対に近くなります。かつて良くレッスンで用いた“パワートライアングルターン”で,重心付近をパラボラアンテナのようにして情報を受け止める…というのはこの時のイメージです。このように,センサーキャスターをどこにイメージするか?で上半身の向き,つまりその時々の「対応姿勢」が自然に決まってくることになります。そして,キーキャスターを支点としてセンサーキャスターがテコの先端部分として働くイメージが沸いて来るのです。「スキーのトップで雪面を読み取って滑る…」というのはこういう意味です。
 もちろん,スキー板の性能によってこの「S」〜「L」の位置は微妙に違ってきます。ですから,各スキーヤーは,自分ではどの位置にセンサーキャスターを意識したらどの位の回転半径になるか?ということをみなさんそれぞれが,ご自分のスキー板について探し出さなければなりません。
 このように,スキーのテールを支えとして,トップで雪の抵抗を受け止めて行く…という滑りは,スキーの先端で切り込んで行く,という感覚とは全く違う!ということが分かっていただけたと思います。受け止める意識は,圧の方向が手前側へやって来て,スキーが内側に回りこんで来るのに対し,切り込む意識は,圧が向こう側へ働き,雪を外側に押し退ける動きになるため,トップがターン外側に流れてしまいがちになるのです。パッキングされた硬い雪やアイスバーンなどでは,スキーのトーションが充分であれば,雪面をグリップしてくれるので逃げることはありませんが,悪雪や深雪では圧が向こう側に掛かればスキーは外側に逃げてしまい,安定した滑りができなくなってしまいます。
 もし,このセンサーキャスターを“オレンジ”感覚で使いこなせるようになれば,さらに“フィーリングスキー”の極意を身に付けたと言っていいと思います。なぜなら,センサーキャスターの場所だけでなく,その向きや雪から来る圧の大きさまで意識できる…ということだからです。ここまでくれば,つま先から前の部分が全てセンサーのように働くイメージができ上がります。つまり,スキーのセンターから前の部分があたかも長さ約1メートルのセンサー棒のようなイメージになり,その各部位々々でそれぞれ微妙に異なった情報を感じ,それをつま先に伝えるという図式ができあがるのです。
 スキー板をセンサーとして使う…これこそが“フィーリングスキー”の求めるものかもしれませんネ!(^I^)

注:バランス軸,センサー軸,サポート軸…について,【TOK】なりの字句の統一を図るため,ここで初めに使っていた「バランス軸」という言葉を「センサー軸」に変えさせていただきました。(Sept/21/2003)



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---☆★【TOK】の Feelin' Ski ★☆-- 0036 キャスター・ターン発展編 No.1 
「キャスターそれぞれの役割」--

 前回までで,キャスターの基本的イメージについて解説しました。今回は実際の滑りでキャスターをどのように意識したらよいか?についてお話したいと思います。
 右の図は足裏にイメージした代表的な「4つのキャスター」です。実はこの4つのキャスターはそれぞれ違った役割を担っているのです。「1番キャスター」は自分の身体を支えるキャスターで,最も基本となるので別名「キーキャスター」と呼びます。「2番キャスター」は雪からの情報を受け取るキャスターで「センサーキャスター」とも言います。「3番キャスター」及び「4番キャスター」は角付けの切り替え時などで意識することが多いキャスターです。「3番キャスター」は「キーキャスター」的な,また「4番キャスター」は「センサーキャスター」的な役割も担っています。
 普段滑る時は常にこのうちの「キーキャスター1番」に乗り続けることを意識します。こういう風にお話しすると決まって「…ということは後傾ですか?」と聞かれますが,そうではありません。自分の身体を支えるポイントとしてかかと内側を意識するのです。斜面移動して行く時には雪から来る抵抗と,自分の身体の間で「バランス」を取らなければなりませんが,そのバランスを取る足裏の場所を「かかと」に意識する…ということです。例えば床の上に立って足裏全体で身体を支えてみてください。安定してますネ!(^I^) では次に,つま先よりに支点を移してみてください。これで幾分身体が前かがみになりますが,別に不安定ではありませんね?野球やテニスなどをする時の,構えの姿勢での支点です。じゃあ今度はその支点を,かかとの方に移してください。つま先が持ち上がるようにはなりますが,後ろに寄り掛っているわけではなく安定した状態をキープできますよネ!。これが「キャスター・ターン」での支点なのです。要するに「バランスを取るための基軸」を“かかと”と“重心”の間に想定する…ということです。ですから,ブーツの後ろに寄り掛かるものではありません。野球やテニスなど普通のスポーツでは相手の動きやボールなどの動きに素早く対応するため,つま先よりに支点を持っていくのですが,キャスターイメージのスキーはこれとは違う!ということになります。
 「1番キャスター」を「キーキャスター」として,そこでバランスを取りながら斜面移動していくといろいろおもしろい現象が起こります。
 その第一は「ちょうつがい(蝶番)」現象です。他の所でもこの説明をさせていただいていますが,どういうことかというと右のアニメーションのように,がかかとを中心として「ちょうつがい(蝶番)」のようにスキーが動く…ということです。かかとでバランスを取りながら前方に滑って行ったとします。もし前方に雪のかたまりや,小さいコブがあったとします。すると,スキーのトップが圧を受けてアニメーションのように上方に上げられ,足の甲とすねの間にエネルギーが貯まります。そしてコブの頂点を過ぎると,その足首に貯まっていたエネルギーが開放されてスキーのトップが元に戻ろうとします。つまり,トップ部分での雪面抵抗をいろいろ感じ取りながら滑ることができる…ということです。その時「2番キャスター」はしっかり「センサーキャスター」としての役割を果たすことになります。「キーキャスター」に意識を集中することでそこが「支点」となり,スキーの先端部分,トップ部分で雪の表情をしっかり読み取ることができるようになります。そして,コブや深雪斜面では,このちょうつがいが大活躍をすることになります。(^I^) 
 そしてその第二は「外腰の向きがキーキャスターの転がり方向に向く」ということです。例えば「1時」の方向にキーキャスターを転がして行くとします。すると外腰もやはり1時の方向を向くようになるのです。そして,このことが実は雪からの強い抵抗への対処を楽にし,切れの良いターンができる要因にもなります。一般的に言われる「外向」のポジションも二通りあると思っています。ひとつは「腰の向きもウエストから上の向きも迎え角方向を向く外向」と,もうひとつは「腰は正対気味だけれどウエストから上が迎え角方向を向く外向」です。キーキャスターを意識した小回りでは,後者の姿勢が出ます。このことはまた後で解説させていただきますが,いずれにしても「キーキャスター」に乗り続けてバランスを取っていく意識が大変重要になります。(^I^)


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